あんなに辛かった前職を、今では「楽しかった」と思えるようになった理由
辞める直前の3か月間。
毎朝、毎晩、電車で涙を流していました。
誰かに何かを言われたわけではありません。
ただ、仕事のことを考えていると、気づけば涙があふれていました。
「もう限界なんだな。」
自分でもそう感じていました。
それでも、「私が休んだら仕事が回らなくなる」という思いが強く、自分のことは後回しにして働き続けていました。
そんな前職を、今振り返ると不思議なことに、「辛かった」だけではなく、
「楽しかった」という気持ちも残っています。
どうして、あんなに苦しかった仕事を、今はそう思えるようになったのか。
当時の自分と今の自分を重ねながら振り返ってみました。
あのまま働き続けていたら
当時の私は、朝7時の電車に乗り、夜20時頃に帰宅する毎日を送っていました。
上司と呼べる人はおらず、部署内にも気軽に相談できる人はいませんでした。
同じ仕事を担当する同僚はいましたが、
ご家庭の事情もあり、負担を増やしたくないという気持ちから、
なかなか頼ることもできませんでした。
気づけば、「自分が頑張れば何とかなる」と思い込み、一人で抱え込むことが当たり前になっていました。
今でも時々、
「あのまま我慢して働き続けていたら、どうなっていたんだろう。」
と考えることがあります。
でも、その答えはきっと「続けられなかった」です。
あの頃の自分を客観的に見れば、
遅かれ早かれ体を壊し、強制的に休まざるを得ない状況になっていたと思います。
「辞める」と決めたら、景色が変わった
転機になったのは、「辞める」と決めたことでした。
退職日というゴールが見えた途端、
それまで苦痛だった仕事への向き合い方が少しずつ変わっていったのです。
引き継ぎでは、仕事内容だけではなく、
「なぜこの業務が必要なのか」
「どんな背景があるのか」
そんなことまで丁寧に伝えていきました。
さらに、
「どうすれば仕事が止まらず、みんなが働きやすくなるのか」
そんなことを、引き継ぎを受ける方たちと一緒に考える時間もありました。
不思議だったのは、その時間がとても充実していたことです。
「最後だから、きちんと残したい。」
「この人たちが困らないようにしたい。」
そんな気持ちが自然と湧いてきました。
苦しかった仕事そのものが変わったわけではありません。
でも、仕事の意味や、自分の向き合い方は大きく変わっていました。
引き継ぎを通して、
一緒に仕事を進めてくれる人たちがいたからこそ、
安心して次へつなぐことができました。
そして、辞めると決めたからこそ見えた景色が、確かにあったのだと思います。
辛い仕事の中にも、残ったものがある
振り返ってみると、私は昔から人との縁に恵まれてきました。
前職を辞めた今でも、戦友のように思っていた人とは定期的にごはんへ行っています。
考え方や仕事の進め方が似ているその人と話していると、
当時の苦労話でさえ笑い話になります。
仕事そのものは大変だった会社もありました。
それでも、人とのつながりだけは今も残っています。
これまで働いてきたどの会社にも、
今でも連絡を取り合う人が少なくとも一人はいます。
会社という場所との縁は終わっても、人との縁は続いていく。
それは、一緒に悩み、一緒に頑張った時間があったからこそ生まれたご縁なのだと思います。
「私という人間を知ってくれている人がいる。」
そう思えることは、今の私にとって大きな財産であり、自信にもなっています。
過去の経験の意味は、時間とともに変わる
もちろん、「辞めなければよかったのかな」と思う瞬間が、今でもまったくないわけではありません。
でも、あの限界のまま働き続けていたら、
今こうして前向きに過ごせてはいなかったと思います。
そして何より、前職を「辛かった会社」とだけ思い出すこともなかったでしょう。
苦しかった経験の中にも、
やりがいや達成感があり、
一緒に頑張った人たちとの温かい思い出がありました。
経験そのものは変えられません。
でも、その経験の意味は、時間が経つことで少しずつ変わっていくのだと思います。
もし今、仕事が辛くて苦しい毎日を過ごしている人がいたら、
今はまだそう思えなくても大丈夫です。
いつか時間が経ったとき、
あの経験の中にも意味があったと思える日が来るかもしれません。
あの頃の自分が必死に頑張ってくれたから、今の私があります。
だからこれからも、
過去の自分を少しずつ肯定しながら、新しい一歩を踏み出していきたいと思います。
