北海道ろぅかる記③:すすきの最古の駄菓子屋「藤川菓子店」閉店
すすきの市場の札幌最古と言われている駄菓子屋「藤川菓子店」が、2026年1月末をもって閉店されました。理由は店主の久家亮寿(すけとし)さんが、亡くなられたからだそうです。
私は以前、ある観光メディアで札幌の駄菓子屋さんという記事を書いたことがあり、その時「藤川菓子店」を取材しました。時を止めたような空間と、にこやかな笑顔を浮かべていた久家さんの印象がいまも強く残っています。
すすきの市場

すすきの市場は1958年(昭和33年)に設立。すすきのの中心街に、いまもほぼ当時の姿のまま残っています。
すすきの市場の前身は、大正十一年に設立された「札幌第二公設廉売市場」。今回noteを書くにあたり、きちんとした出典を載せようと調べたのですが、札幌第二公設廉売市場もすすきの市場も、資料らしき資料の出てこないこと!
やっと札幌市中央図書館のデジタルアーカイブにて、正式な資料を見つけました。
これによると札幌第二公設廉売市場は、「公設市場は、(大正)十一年六月第二公設市場が南六条西四丁目の元遊廓火防線にも開設され」とあります。その後昭和に入り、アパートが併設されたすすきの市場として生まれ変わったようです。非常に歴史ある市場なことに間違いはありませんね。


藤川菓子店

藤川菓子店は、1918年(大正7年)から創業しており、120年近い歴史があります。そのため札幌最古の駄菓子屋と呼ばれているようです。年代は不明ですが、ある時からすすきの市場にお店を移したそう。

しょうがせんべいや豆菓子など、昭和感あふれるお菓子がケースに並び、昔と変わらない量り売りを行っていました。はじめて訪れた時には、そのレトロな趣きに懐古的な感情より、むしろ歴史的な場所を訪れたときのような刺激と感動を覚えました。

ベレー帽をかぶったダンディなおじいさん
店主の久家さんは、取材当時(2022年)すでに御年95歳でした。黒いベレー帽に白衣という風変わりなスタイル。しかしとてもダンディな雰囲気を漂わせて、お店に佇む姿はまるで映画のワンシーンのようでした。
こちらの急な取材にも快く対応してくださり、いろいろなお話を聞かせてくれました。95歳とは思えない快活な口調に驚いたものです。

もともと藤川菓子店は、久家さんたちが営んでいるおつまみの卸売業の取引先だったそうです。当時の藤川菓子店の店主さんが高齢になり、跡を引き継いでほしいといわれ、父の久家亮寿さんと息子の亮一さん二人で受け継ぐことを決意。だから店名が「久家」ではなく、「藤川」なんですね。お店に滞在しているのは、主に亮寿さんでした。

変わらない場所があり、変わらない人がそこにいる、という安心感は誰もが求めるものだと思いますが、久家さんはまさにそんな魅力に溢れていました。誰かが訪ねてくれる限り、お店を続けていきたい、と、話されていた久家さんの穏やかな笑顔が、いまも印象に残っています。
藤川菓子店の歴史的な価値も含めて、いつかまた再取材したいと考えていたため、閉店は非常に残念ですが、知ることができてうれしかった取材先のひとつです。
文章:小糸あき
写真撮影:文(ふみ)
※この記事の内容や写真は、取材当時(2022年)のものになることをご了承ください。
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