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中医協総会(第641回)の資料

中央社会保険医療協議会 総会(第641回)の資料が薬局に届きました。リノは令和8年度(2026年度)改定の概要資料に目を通していますが、「賃上げ」「物価高騰」「DX」「オンライン診療受診施設」など、多岐にわたる項目と複雑な数字が並んでおり、全体像と自分の業務への具体的な影響がつかめずに困っています。そこで、数字とルールに強いサエコに要点を教わりに行きます。


登場人物

リノ (Rino) —— 悩み多きZ世代の新人
NukoNuko薬局に勤める24歳の新人薬剤師。「患者さん一人ひとりに寄り添いたい」という理想を持つが、山積みの事務作業に忙殺され、自分の存在意義を見失いかけている。

サエコ —— 「隠れギーク」事務リーダー
クールで無駄を嫌う医療事務のリーダー。職場では能ある鷹として爪を隠しているが、実は自宅で自作PCを組みDiscordを使いこなすIT上級者である。


リノ:「サエコさん、今お時間よろしいでしょうか? 実は、第641回中医協の資料を読んでいるのですが……。『賃上げ』とか『オンライン診療受診施設』とか、新しい言葉や数字がたくさんあって頭がパンクしそうで。今回の改定で、私たち薬剤師や薬局全体にとって、結局何が一番重要になるのか教えていただけないでしょうか?」

サエコ:「お疲れ様です、リノ先生。はい、時間は大丈夫ですよ。今回の第641回総会の資料ですね。確かに項目は多いですが、大きく分けると『人(賃上げ)』『経営環境』『構造(オンライン)』『業務の質(対人・DX)』の4つの軸で整理すると分かりやすいです。まず、リノ先生が一番気になるであろう『賃上げ』の話から整理しましょうか。」

リノ:「はい、お願いします! ニュースでも賃上げの話はよく聞きますが、具体的にどうなるんでしょう?」

サエコ:「まず数字の事実として、今回は勤務薬剤師には3.2%、そして私のような事務職員には5.7%のベースアップ(令和8・9年度)を実現するための措置が講じられます。これは単なる努力目標ではなく、診療報酬上の評価として組み込まれるんです。」

サエコ:「具体的には、『外来・在宅ベースアップ評価料』のような仕組みが検討されていて、その点数設定の中央値は処方箋1枚当たり3.9点という試算が示されています。なぜこれが必要か分かりますか?」

リノ:「えっと……他の業界でも賃上げが進んでいるから、医療現場も合わせないと人が集まらないから、でしょうか?」

サエコ:「その通りです。人材確保は急務ですから。ただ、これには条件があります。以前のように『何となく給与に反映』ではなく、賃上げ原資が適切に給与や賞与に反映されているか、実績を詳細に把握する仕組みになります。その代わり、事務負担を減らすために、法人単位での合算や届出の簡素化も図られることになっています。」

リノ:「なるほど。つまり、国が点数としてあげる分、確実にスタッフの給料に反映させなさい、その代わり手続きは少し楽にしますよ、ということですね?」

サエコ:「その理解で合っています。そして、経営環境という点では『物価高騰』への対応も含まれます。物件費などの増加に対応するため、基本部分で+0.01%、さらに緊急対応分として+0.01%の配分があります。補正予算では、店舗数に応じた交付金(5店舗以下なら23万円など)も支給されるんですよ。」

リノ:「お金の部分はよく分かりました! あと、気になったのが『オンライン診療受診施設』という言葉です。これって、薬局の中にオンライン診療用のブースを作ってもいい、ということですか?」

サエコ:「そこは注意が必要です。原則として、薬局とオンライン診療受診施設が『一体的な構造・経営』であることは禁止されます。なぜなら、特定の薬局への患者誘導や誘引につながり、医薬分業の独立性が損なわれる恐れがあるからです。」

リノ:「あ、そうか。隣のブースで受診して、そのままその薬局で薬をもらう流れが固定化しちゃうとダメなんですね。」

サエコ:「はい。場所の提供の見返りに利益を提供することも禁止です。ただし、医療資源が少ない『へき地』にある薬局だけは例外として設置が検討されています。これは地域医療を守るための現実的な配慮ですね。」

サエコ:「次に、リノ先生の毎日の業務に直結する『調剤報酬の見直し』と『医療DX』についてお話しします。ここは非常に重要です。」

リノ:「はい、一番気になるところです!」

サエコ:「まず基本方針として、『立地依存からの脱却』がより強く求められます。単に病院の近くにあるだけでなく、かかりつけ機能や在宅医療への貢献が評価されます。具体的には以下の点が強化されます。」

  • かかりつけ・対人業務: 服薬管理指導料や、重複投薬・相互作用防止加算の見直し。

  • 在宅: 医師と薬剤師の同時訪問による介入の評価。

  • 安定供給: 後発品やバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進と患者説明の評価。

サエコ:「そして、これらを効率化するために『医療DX』が進められます。電子処方箋での重複チェックや、処方箋様式の見直しによる残薬調整の円滑化ですね。一方で、現役世代の負担を減らすために、長期処方やリフィル処方を増やして効率化し、その分、改定率を適正化(一部▲0.15%)するという側面もあります。」

リノ:「なるほど……。便利なツールは使うけれど、その分、今まで以上に『薬局としての機能』を果たさないと評価されないんですね。あと、管理者の責任についても何か書かれていましたよね?」

サエコ:「ええ。管理者が義務違反をし、相当の注意を尽くしていなかった場合、保険薬局の指定取消しが可能になるという法改正も踏まえた対応がなされます。つまり、リノ先生も将来管理薬剤師になるなら、より重い責任を持つことになるわけです。」

リノ:「うっ、身が引き締まります……。でも、全体像が見えてきました。

つまり、今回の改定は、

『賃上げと物価対応で経営の土台を支えつつ、オンライン診療との線引きは厳格にする。その上で、DXを活用して業務を効率化し、浮いた力で対人業務や在宅医療といった”薬剤師本来の仕事”の質を高めなさい』

というメッセージ、ということですね?」

サエコ:「リノ先生、素晴らしい要約です。その通りです。数字やルールは私たちがしっかり管理しますから、リノ先生は患者さんのための『対人業務』に全力を注いでください。それが結果として、薬局の評価にもつながりますから。」

リノ:「はい! すごくすっきりしました。明日からの服薬指導、もっと頑張ります! ありがとうございました!」

サエコ:「ええ、その意気です。また分からないことがあれば、いつでも聞いてくださいね。」


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