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【第640回中医協資料】総会資料まとめ(2026年1月9日)

中央社会保険医療協議会 総会(第 640 回)議事次第 令和7年1月9日(金) 10:00~

サエコさん、今お時間よろしいでしょうか? 令和8年度の改定資料を読んでいたのですが、薬局への配分が+0.08%と厳しい上に、「評価軸の根本的転換」とあって……。 具体的に、私たちはこれまでの業務をどう変えていく必要があるのでしょうか?

まず大切なのは、「立地依存」から「機能・職能発揮」への脱却です。
なぜなら、今回の改定では「特定の病院の近くにあるから」という理由だけで点数を算定する仕組みが、大幅に見直されるからです。
これまでは対物業務(薬を揃えること)が中心でしたが、今後は医薬品の供給不安への対応や、ポリファーマシー対策といった「対人業務」の質が、経営の生命線になります。

なるほど……。
つまり、ただ処方箋通りに薬を出すだけでなく、「薬が不足している時にどう代替案を出すか」や「患者さんの薬をどう整理・減薬するか」といった、薬剤師としての提案力が評価の基準になる、ということですね?

その理解で合っています。
それに加えてもう一つ、「選定療養の拡大」も重要です。
長期収載品(先発医薬品)の自己負担に加え、今後は「OTC類似薬」にも保険外の負担が導入される見込みです。窓口での支払いが複雑化し、患者さんの負担感も増します。

あ!以前よりさらに説明が難しくなりそうですね。
つまり、制度が変わって支払額が増える理由を、患者さんが納得できるように説明するスキルが、これまで以上に求められるということですね?

そのとおりです。
数字や制度の背景を正しく伝えないと、トラブルの元になりますからね。
厳しい改定ですが、リノ先生の丁寧な説明能力が武器になりますよ。またいつでも聞いてください。

ポイント

  • 全体改定率と薬局配分の乖離: 診療報酬本体の改定率は2カ年平均で+3.09%と決定されましたが、調剤区分への配分は+0.08%と極めて低く、他科に比して厳しい財源配分となっています。

  • 評価軸の根本的転換: 調剤基本料が「立地依存(処方箋集中率)」から「機能・職能発揮」へと評価軸を転換し、調剤管理料の日数区分見直しを含めた構造的な再編が断行されます。

  • 患者負担の拡大と選定療養の拡充: 長期収載品の自己負担引き上げに加え、OTC類似薬の保険外併用療養制度が新たに創設されるなど、薬剤費抑制に向けた負担増が加速します。

概要

令和8年度診療報酬改定は、物価高騰と医療従事者の賃上げへの対応を主軸としつつ、従来の「立地」に基づく薬局評価を「機能」へと再定義する大きな転換点となります。中医協での議論に基づくと、薬局は対物業務から対人業務への移行をさらに加速させることが求められており、医薬品の安定供給確保に向けた追加的業務への新たな評価も導入される方針です。一方で、長期収載品やOTC類似薬に関連する選定療養の導入・強化により、窓口での患者負担が増加し、現場での説明業務の重要性が高まることが予想されます。

1. 改定率の推移と薬局経営への財務的影響

令和8年度および9年度の2カ年における診療報酬本体の改定率は+3.09%(R8: +2.41%、R9: +3.77%)となりましたが、その内訳と配分には大きな偏りが見られます。

  • 改定率内訳: 賃上げ分+1.70%、物価対応分+0.76%、R6改定以降の緊急対応分+0.44%などによって構成されています。

  • 薬局への直接配分: 薬局に割り当てられた物価対応分は+0.01%、緊急対応分は+0.01%に留まっています。

  • 補正予算支援: 令和7年度補正予算による直接支援では、法人規模に応じた傾斜配分が行われ、5店舗以下の法人は1施設あたり23.0万円、20店舗以上の法人は12.0万円となります。

薬局への財源配分は、病院(物価対応+0.49%、緊急対応+0.40%)と比較して限定的です。この背景には、令和6年度改定以降の経営環境悪化への対応を調剤基本料などへの点数上乗せとして評価する一方で、令和8年度以降の物価上昇分については新たな評価項目を設けるという二段階モデルの採用があります。

2. 調剤報酬体系の構造的な再編と対人業務の評価

薬局・薬剤師の職能発揮を促進するため、従来の立地に依存した点数体系が抜本的に見直されます。

  • 調剤基本料: 特定医療機関からの処方箋集中率に依存する構造から脱却し、薬剤師の職能発揮を評価する方向へ転換します。

  • 調剤管理料: 現在、内服薬の調剤日数によって4区分されている体系を廃止・統合し、日数に応じた段階的な評価を見直す方針が示されています。

  • 地域支援体制加算: 地域における医薬品供給拠点としての役割を評価する観点から、要件が再定義されます。

「これまでの議論の整理(案)」では、重複投薬・相互作用等防止加算や、かかりつけ薬剤師指導料の評価体系の見直しも明記されました。また、在宅医療において医師と薬剤師が同時に訪問した場合の新たな評価の創設や、ポリファーマシー対策を推進するための処方箋様式の見直しなど、多職種連携を強化する仕組みが導入されます。

3. 薬剤自己負担の増大と選定療養制度の変容

後発医薬品の使用促進と保険財政の安定化を目的に、患者が負担する薬剤費の仕組みが厳格化されます。

  • 長期収載品の選定療養: 患者負担額について、後発医薬品との価格差の「4分の1相当」から「2分の1相当(2分の2相当への引き上げ議論を含む)」へと強化される方向です。

  • OTC類似薬の新規制度: 令和8年度中(令和9年3月)に創設され、まずは77成分(約1,100品目)を対象に薬剤費の4分の1が特別料金として設定されます。

  • 新たな選定療養の提案: 患者都合による「時間外調剤」を特別料金の対象とする方針が示されたほか、医師の指示によらない一包化や、マイナ保険証を利用しない場合の手間に対する料金設定などが検討課題として挙がっています。

長期収載品の負担増については、医療費抑制の観点からの賛成意見がある一方、現場の混乱や医薬品不足の加速を懸念する廃止要望も寄せられており、賛否が分かれています。また、近視進行抑制薬(アトロピン硫酸塩)をモデルケースとして、薬は選定療養(保険外)だが検査は保険適用とする「混合診療」の枠組みが新たに提示されています。

4. まとめと今後の展望

令和8年度診療報酬改定は、薬局経営者に対し、従来の立地戦略から機能特化型戦略への移行を強く促す内容となっています。具体的には、医薬品供給不安に対応するための代替薬提案や患者説明といった「追加的業務」を適切に評価する新たな項目が創設される見込みであり、これらの要件を満たす体制整備が急務となります。
また、選定療養の拡大は、窓口における薬剤師のカウンセリングおよび説明能力をこれまで以上に要求するものです。今後は、処方箋様式の見直しを通じた残薬対策やリフィル処方の推進といった効率化・適正化への対応と並行し、バイオ後続品の使用促進など、新たな評価軸に沿った業務構築が経営上の鍵となります。


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