ChatGPTとニューヨークタイムズ訴訟:オリジナル論の新たな問題
ちょっとおさらいしますと、訴訟の内容は、「OpenAIが事前学習でニューヨーク・タイムズの記事を無断で使用したかどうかに関わっており、訴訟の結果によっては、侵害コンテンツ1件につき最高15万ドルの罰金が科される可能性があります。また、連邦裁判官からChatGPTのデータセット全体の完全な再構築を命じられる危険性もあると報じられています。」と言う物です。以下のNoteに詳しい内容を書きましたので合わせてご覧んください。
オリジナルとは一体なんなのか?
ビジュアルで表せるものはオリジナルがどこなのか追跡が容易です。
昨日のポストでこのようなものがありました。
私の教え子の卒業制作が、スウェーデンの若手デザイナーによってほぼ同じにコピーされたスーツを先週のミラノコレクションで発表されてしまい、大学側でもどう対応していくか検討することに。ソーシャルメディアがこれだけ発達してたら誰にも起こりうること。学生はどう自分の作品を守ったら良いのか。 pic.twitter.com/6zIGLYd1Et
— 大森美希 🇫🇷 パリ在住ファッションデザイナー (@_omori_miki) September 26, 2023
服飾学校の先生が教え子の卒制の作品をスウェーデン人のデザイナーに盗まれた件を憂いての投稿でありますが、今どき画像検索すればいろんなものがでてきます。元ネタが暴かれてしまい、この先生の教え子自体がパクリ作品だったというオチになりました。
1999年のこれですね pic.twitter.com/mrF7sg8x8E
— Craft Arts(クラフトアーツ) (@craft_arts_jp) September 27, 2023
こちらは、そっくりパクったとは言えないのですがインスパイヤされた作品で2011年の広告賞を取った作品です。
仕事とかをテーマにすると割と最初の方に思いつく、というか既にけっこう既視感あるアイデアなのでパクリとは思わないです。被るのは前提どこまでクオリティ上げられるかじゃないですかね。被るが嫌なら最初に要調査です。ちなみにこれはファッションじゃないですが2011年の広告賞のやつ。外から失礼。 pic.twitter.com/vqtUGif3v8
— 犬 (@_beeee_e) September 26, 2023
Google検索エンジンのオリジナル検出方法
文章となるとなかなか難しいものがあります。文体なのか、それともある一定の文字数の同一文字列の一致を表すのか定かではありません。例えば、Google検索では、140文字以上の同一文字列が複数のwebページにある場合時系列一番古いページがオリジナルとされ、その他はスパムページとみなされます。ただ、これも法律で決められたものではなく、Googleがページをインデックスする際のアルゴリズムにすぎません。
オリジナルの定義
作品に「オリジナル」と言えるものが存在するかどうかというのは、文化、哲学、さらには心理学にも関わる大きなテーマです。
文化的観点: 一部の文化では、物語やアートはコミュニティ全体の財産とされ、個々の「オリジナリティ」よりも共有される価値が重視される。
哲学的観点: 「オリジナリティ」自体が一体何であるかという問題は、哲学者たちが長い間議論してきました。例えば、プラトンは「理念」の世界が真の「オリジナル」であり、我々の世界のものはその影でしかないと考えました。
心理学的観点: 人々が「オリジナル」と感じるものは、その人自身の経験や知識に依存する。何かを初めて見たり聞いたりした場合、それはその人にとって「オリジナル」に感じられるかもしれない。
創造性とインスピレーション: ほとんどの作品は、既存のアイデアやテーマ、スタイルから何らかのインスピレーションを受けている。完全な「オリジナリティ」は存在するのか、それともすべての作品は何らかの形で「継承」されているのでしょうか?
ChatGPTの弁明を聞いてみよう
筆者はGPT-4にこのように質問してみました。
筆者問:ニューヨークタイムズの言ってる侵害コンテンツ一件につき15万ドルって、あなたが依頼主の人間の意向でその侵害コンテンツとニューヨークタイムズが言ってる記事そっくりに生成したってこと?
GPT-4回答:
ニューヨーク・タイムズが指摘している「侵害コンテンツ一件につき15万ドル」というのは、著作権侵害に対する罰金の額を指していると思われる。ただし、私自身は人間の指示に基づいて特定のコンテンツを生成するわけではない。私は大量のテキストデータから学習しており、そのデータには多くの異なるソースからの情報が含まれている。
私が生成するテキストは、その学習データに基づいており、特定の記事やコンテンツを直接コピーするわけではない。したがって、私が生成するコンテンツが特定の記事と「そっくり」になるという事態は基本的には想定されていない。
筆者問:でも、侵害コンテンツと認定されるほど似てたって事でしょ?あなたが勝手に文章を作るとこはできないので、その記事そっくりなコンテンツの生成を命令した人間がいるって事でしょ?
GPT-4返答:
いえ、そうではないんだ。私は特定の記事をコピーするようにプログラムされているわけではなく、また、人間によって特定のコンテンツを生成するように指示されるわけでもない。私が生成するテキストは、大量のテキストデータから学習した結果として自動的に生成されるもので、それが特定の記事と似ている場合でも、それは偶然である可能性が高い。
著作権侵害とされるケースについては、法的な判断が必要であり、それは私が決定できるものではない。ただし、私の設計上、特定のソースから直接コピーするようにはされていないし、人間による特定の指示に基づいて動くわけでもない。
筆者問:訴訟を起こしたという事は、裁判になるんですよね?ニューヨークタイムズが、侵害コンテンツのオリジナルと、ChatGPTがそのコンテンツを模倣したとされるコンテンツを持ち込み、裁判所の判断を煽らなければなりませんよね?
GPT−4返答:
その通りです、Zun。訴訟が起こされた場合、通常は裁判所での審理が行われます。ニューヨーク・タイムズが侵害コンテンツと主張するオリジナルの記事やデータと、ChatGPTが生成したとされるコンテンツを比較する過程が含まれるでしょう。この比較によって、侵害があったかどうか、そしてその程度は何か、といった点が明らかにされるはずです。
このような訴訟は、しばしば複雑で時間がかかるものですが、最終的には裁判所の判断によって解決されます。それがどのような影響をOpenAIやChatGPTに与えるかは、裁判の結果次第ですね。
前例がない訴訟
筆者問:前例がない場合、何か判断基準として使えそうなものって知ってますか?
GPT-4返答:
判断基準として考慮される可能性があるものはいくつかあります。以下はその例です:
意図の証拠: 生成されたコンテンツに対する人間の意図や指示が明確であれば、それが重要な判断基準となる可能性があります。
類似性の度合い: 単に文字列が一致しているだけでなく、全体的な構造やテーマ、コンテキストも考慮されることがあります。
商業的利用: 生成されたコンテンツが商業的に利用されているかどうかも、侵害の程度を評価する際の要素となる可能性があります。
先行研究やケース: 類似の問題に対する先行研究や判例、国際的なガイドラインなども参考にされることがあります。
公平使用(Fair Use): アメリカなどでは、教育的な目的や報道、批評など、特定の条件下での使用は「公平使用」とされる場合があります。
技術的な制限: AIが生成するコンテンツに対する技術的な制限やフィルタリングが存在するかどうかも、その責任の所在を問う際に考慮されることがあります。
コモン・ローとスタチュート・ロー: 一部の国では、成文法(スタチュート・ロー)だけでなく判例法(コモン・ロー)も重要な役割を果たします。過去の判例が新しいケースにどれだけ適用されるかは、その国の法制度によります。
専門家の意見: 特定の分野の専門家が提供する意見や証言も、裁判での判断に影響を与える可能性があります。
生成されたコンテンツに対する人間の意図や指示
筆者問:1を検証するにも、ニューヨークタイムズはChatGPTによる侵害コンテンツとしている文章とその出所、またオリジナルの文章をまず提出しなければなりませんね。その提示を促すことは裁判では可能ですか?
GPT-4返答:
はい、裁判の過程で証拠の提示は一般的な手続きです。ニューヨークタイムズが侵害コンテンツと主張する文章と、その出所(オリジナルの文章)を提出することは、通常、証拠開示(discovery)の段階で求められるでしょう。この段階で双方は関連する証拠を交換し、それに基づいて裁判が進行します。
証拠がネット上にない場合でも、裁判所は関連する証拠の提出を命じることができます。このような証拠は、裁判所や関係者だけが閲覧できるように保管されることもあります。
筆者問:万が一にも偶然仮に140文字同じ文字列があったとしたらどんな確率ですか?
GPT-4返答:
140文字が完全に一致する確率は、非常に低いと言えます。特に、それが偶然に起こる確率はほぼゼロに近いでしょう。文章は単なる文字列ではなく、文法、文脈、意味など多くの要素が組み合わさっています。それらが全て一致する確率は極めて低いです。
筆者問:ならニューヨークタイムズは何を持って、著作権侵害と主張しているのだと思いますか?
GPT-4返答:
ニューヨークタイムズが著作権侵害と主張する理由については、具体的な情報がない限り正確には言えません。ただ、一般的にメディア企業が著作権侵害を主張する場合、以下のような要素が考慮されることが多いです:
類似性: 生成されたコンテンツがオリジナルの記事と類似しているかどうか。
商業的影響: 生成されたコンテンツがオリジナルの記事に対して商業的な影響を与えている可能性。
公平使用を超えているか: 生成されたコンテンツが教育的、批評的、報道的などの「公平使用」の範囲を超えているか。
意図: 生成されたコンテンツが意図的にオリジナルを模倣しているか、それとも偶然の一致なのか。
技術的手段: 生成ツール(この場合はChatGPT)がどのようにしてそのコンテンツを生成したのか。
許可・ライセンス: オリジナルのコンテンツに対する許可やライセンスが存在するかどうか。
筆者問:5の「ChatGPTがどのようにしてそのコンテンツを生成したのか。」先ほどだしたような特殊なプロンプトや、APIにたいしてなんらかのプログラミングで命令をだしているかどうかですか?
GPT-4返答:
はい、その通りです。"ChatGPTがどのようにしてそのコンテンツを生成したのか"という点に関しては、特定のプロンプトやAPIを使ってプログラム的に命令が出されたかどうかが重要な要素となります。
プロンプト: ユーザーがChatGPTに与えるプロンプトが、特定の記事やコンテンツを模倣するような指示であれば、それは意図的な模倣と見なされる可能性があります。
APIの使用: ChatGPTのAPIを使って自動的に大量のコンテンツを生成するプログラムがある場合、そのプログラムがどのような指示を出しているかも重要です。
プログラミング手法: 特定のコンテンツを生成するために高度なプログラミング手法が用いられている場合、それも考慮されるでしょう。
これらの要素が明らかにされれば、意図的な侵害か偶然の一致か、あるいは何らかの技術的な制約によるものなのかが判断しやすくなります。
この観点から考えると、ChatGPT自体が独自にコンテンツを生成するわけではなく、ユーザー(またはプログラマー)の指示に基づいて動作するため、その「意図」がどうだったのかが大きな焦点となるでしょう。
筆者問:なら、ニューヨークタイムズから証拠生成文章が出された段階で、その出所を追求すべきですよね。で生成を命令した人物の出頭を請求して1から3を聞き取り調査する必要がありますよね?
GPT-4返答:
その通りです、Zun。ニューヨークタイムズが証拠として提出した生成文章の出所を特定することが第一歩となります。その後、生成を命令した人物(もしそのような人物がいる場合)に対して出頭を請求し、1から3の点について聞き取り調査を行うのが妥当な手続きでしょう。
このような調査によって、生成されたコンテンツが意図的にオリジナルを模倣しているのか、それとも何らかの偶然や技術的な制約によるものなのかが明らかになります。そして、その結果が法的な判断に大きく影響する可能性があります。
このプロセスは、著作権侵害の疑いがある場合に特に重要です。なぜなら、意図や状況によっては、侵害とされる行為も「公平使用」などの例外に該当する可能性があるからです。
画像生成AIの作った、ある作家のオリジナル作品にそっくりの画像が生成されて起訴された事例を見ると、あまりににすぎているので、オリジナルの画像をアップロードした上で、プロンプトに同じようなタッチ、例えば油絵なら油絵のタッチで描くように指定した上、作家名を入れてXXXスタイルなどどプロンプトに書いたはずです。そうしなければ似る確率はほぼ0だと思います。
結局のところ、そのLLMを使用する側の人間が著作権侵害を犯していると思われるのでしっかりとした調査が行われて欲しいものだと思います。
いいなと思ったら応援しよう!
このNoteの視点を面白いと思ったら、ぜひチップで応援を!知性とAIの共創を深めるために、あなたの力を貸してください!✨ チップは「もっと知りたい!」のメッセージとして受け取ります。🔥