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[作りたい...]とろりんとしたアプリコットのクラフティ

もう何年くらい経つだろう? ベーキングパウダーと重曹が苦手になってしまった。それらを含んだ何かをひと口食べてから頭痛が始まるのに、10秒もかからない。呼吸が少し圧迫されたような感じがして、ぼーっとする。加えられている量にもよるし、「あ、始まったな」と思っても、まあこれくらいなら少し経てば収まるだろうし大丈夫、と気にしない場合もある。でも、ふかっとして厚みのある、見るからに食欲をそそる焼き色を纏ったパンケーキなんかだと、ちょっと難しい。卵と牛乳と粉の奏でる匂いに誘われ、この香ばしく甘い香りに包まれたいと思うのに、噛んだそばから奥歯の脇に放たれた重曹の苦味が舌の奥一帯に広がり、それが後味としてついて回る。
その苦味を感知しても、誰か友人と一緒のときは、楽しさ優先で食べ進めることもある。おしゃべりをしていると紛れるし、他の添加物に比べたら、身体のだるさはまだやり過ごせるものだから、極力意識をおしゃべりに向ける。そして、おいしさは可能な限り嗅覚で味わおう!とする。

それでも意外にお菓子は楽しめる。そもそも、ベーキングパウダーが発明される前から存在したものには必要ないわけで、ジェノワーズ生地やパイ生地をはじめとしてクラシックなケーキの生地には使われない。ショートブレッドもフィナンシエもベーキングパウダー要らずだし、デザートだったらメレンゲを使うパヴロヴァだってOKだ。日本なら、老舗のカステラという強い味方もいる。

そんなふうに大丈夫なものを意識し始めたら、これまでそれほど好んで選ばなかったお菓子やデザートに目が行くようになった。その一つが、クラフティだ。ビストロのデザート、特にランチメニューのデザートによく登場するけれど、なんだかぼやけた味だったり、生地の部分がきゅっとコンパクトになったカスタードクリームみたいな感じだったり、個人的に、いまいちピンとくることの少ないデザートだった。それでもたまに食べてみたくなるのは、自己主張を感じない素朴な風味に惹かれるからで、その、ちょっと物足りない感じこそが魅力な気もしていた。

ところが先日、これは焼いた型ごと買って帰りたい!!と思わず鼻息を荒くした、ものすごく好みのタイプに出合ってしまった。

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フードコラムニスト川村明子が、フランスで暮らしながら続ける食にまつわる活動を、エッセイや日記で配信し…

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