スペル星人から通りすがりに

あまりに世界が慌ただしく動いていく中、今日書いておきたいこと

2025年の最後といえば、特撮界隈で『ウルトラセブン』の12話『遊星より愛を込めて』が謎流出いたしました。
高クオリティ画像で観て初めて伝わるものもあるなと感慨深くもあり、なおそこから他の怪獣の話も博識な方に教えていただきなどしてたのですが


(ざっくり)
「あれでスペル星人に欧米人自身の核実験被爆のアイロニーってありうるのかな、クリアな画像だとあれは全身包帯の重傷者の方に見える」
「同脚本の他作品で名誉白人(植民地化された民の意と判断してお話続行)モチーフの敵もいますよ」
「あっジャミラ(アラビア系の『ジャミーラ』)みたいな?あれは女性名にもなっちゃうようですけどw」
「作中テレシコワ画像が出ますからジャミラ=女性でしょうね、作中の設定として」
「ヒエッ」

「調べたら普通にアルジェリアの独立運動家ジャミラが由来でした
劇中でやたらフランスの影が見え隠れするのでフランス人だと思っていたんですが確かにアルジェリアってフランスに占領されていた時期がありますものね」

自分『そういや一昨年のパリオリンピックでもアルジェリア代表は抗議とパレスチナ連帯を示してたなあ』
と調べ直し。

★パレスチナ連帯ってなんだといえば、2023年以降のイスラエルによるパレスチナ自治区侵攻と虐殺、民族浄化への抗議・パレスチナ人の権利と独立支持の表明です。
(10.7に起きた大事件をしてパレスチナ側である「ハマスが悪い」と言われますが、このパレスチナ抵抗勢力には当該事件のような広域を焼き払う武装は以降、最高幹部が殺害された際の抵抗においてさえ一度も見られずです。)

これはイスラエルと欧米各国の利益のために、本来の住民、民族を弾圧する行為に他ならず、自治区内の人間全てを纏めて『ハマス=テロリストと将来的なテロリスト=殺していい穢れた民族』との拡張したレッテル貼りが行われ、今現在も人道支援の手さえ届かないように封鎖と爆撃を継続している、極めて非人道的な人権侵害です。2024年の長崎平和式典だって、長崎市がイスラエル(既にパレスチナに核落とさせろとも言いまくってた)を招待しなかったらG7の日本以外全てが駐日大使を送らないという怖い足並みをそろえたという。
日本も既に出資してしまっているので池上さんやNHKさえ放映してくれず「長いシューキョー上の対立デース」とぐらいしか言いませんが、ニュースに目を通せば入って来る、21世紀の一般知識として履修しておいてよさそうな部分です。

これにはっきり抗議してた国がジャミラの元ネタかあ、とアルジェリア戦争について調べてたことの前に

★しかしその前に突然チラッとロボットアニメの話。
『新ゲッターロボ』が原作における神隼人の学生運動を『テロリスト』と変更したことも実のところ[結果的に]、『テロリスト』の辞書的意味を無視し、かつポップカルチャーにおける、「テロリスト」の肩書で出される「とにかく死刑が相応な下衆であり危険人物」扱いにすることでした。原作における「学生運動」の時代を「サヨク」的な色眼鏡で短絡的に処理し、「きっと最終的にテロ行為に走るやつらなんだろ狂人なんだろ、知らんけど」と嘲笑すべき対象として翻訳し終わらせることになったものであると思います※

ゲッターロボのファン活動界隈でもその誘導に盲目的に従い、「テロリスト」だの「テロリ」だの書かれまくっていたようで、アニメ版ゲッターロボアークで初めて界隈を覗いた自分は目玉が飛び出しましたけどね!
ついでに海外ファンは公式英訳が出てない(カナダはまだ有志訳。英国は永井作品で最近ちょっと改善があった模様)ので、日本人ファンの主張を盲目的に丸呑みする傾向が強く、アニメアークの英語感想にも「テロリストにしては幸せな生涯」だなんだ書かれていて言葉を失いましたけどね!
しまいには「テロリスト」と呼び嘲笑することがファン活動においては強烈な全否定にして発言者の勝利、万能感をもたらすものらしく、「神隼人は一宿一飯の為だけに強盗も強姦も殺人も行う人格である、なぜならテロリストだから」とまでの主張さえありましたけどねすごいな!数年前にもう2026年のトランプと同じ物言いに到達してたとは!!

2023.10.7直後のネット上の英語記事でさえ「terrorist呼びがpariah(不可触民)呼ばわりと同感覚に使われている」との指摘を見かけました。この「テロリスト」認定による逸脱した高揚感、「きもちい☆彡」感は普遍的に発生する全否定、弾劾リンチ遊びであり、それ故に「眉を顰める」のではなく「背筋が寒くなる」ものです。

新ゲッターロボの件は、現実的に「テロリスト」とレッテルを貼られ、命を奪われ尊厳を踏みにじられているいま現在の人々の姿には程遠いものでありますが、これは別に2023年に始まったことでもなく、かの南アフリカのネルソン・マンデラもアメリカにテロリスト認定をされていました。長く広く根深い迫害方法に乗っかった代物です。
そうした「常識と良識」を踏まえての判断でしょうか、ダイナミックプロ監修の『ゲッターロボアーカイブ(2023年の8月時点!)』において既に、『新ゲッターロボ』の隼人の設定からは「テロリスト」表記が削除されています。2025年10月の公式監修本『The Complete ゲッターロボ』も同様です。ごれが公式による配慮ならばなんと賢明な。

という比較的昨今のお話を何故捻じ込んだかといいますと、別に脱線したわけじゃないんだ

ジャミラ回放映が1966年12月18日
アルジェリアのフランスからの解放が1962年7月5日
僅か4年です。そして

アルジェリア(独立)戦争 1954~1962
フランスによるアルジェリア支配1830-1962(!!)

ジャミラさんの逮捕~解放 1959~1962年
パリにおけるデモ弾圧虐殺 1961年

これもまた「テロリストとみなされた」相手への残虐行為で知られた事件であったからです

『故郷は地球』は、国家間をゆるがした事件「解決」のたった4年後に発表された脚本でした
そして怪獣「ジャミラ」の名を円谷が借りたジャミラさんとは以下の人物。まさしく女性です。
彼女の身に何があったかは、記事をお読みください

最近の「娯楽作品に政治を持ち込むのダセエ」だの「そういう洗脳仕込むのきたない、卑劣」「持ち込むのはプロパガンダだ」だのいうのは、何言ってんだろう冗談じゃない(消化・昇華できてるか問題はまったく別)派であります。
このジャミラと呼ばれた人物は、抵抗勢力側にいた事により「尊厳を踏みにじって構わない」とみなされた人でした。その仕打ちのおぞましさのあまりに歴史の影で一部の人々の記憶には深く刻まれる名ともなったようです。
作品としての発表が彼女の解放のわずか4年後という事は、アイディアが生まれたのはもっと前か、はたまた彼女のその後(アルジェリア核実験の記事にもでてくるということは政治利用されていた?)も踏まえてか、いずれにせよ、あの「イデ隊員の結びの言葉」がでてくるのだとすれば、それは私たちの想像以上に強い憤りを込めたものでもある可能性もありましょう。


しかし当時文壇の著名人らが彼女について世に訴えかけていたというのに、その事についてすぐ気付ける機会も知恵も、その著名人の著書を数冊かろうじて知る程度の私にもまた、一般視聴者たる児童なみに全くありませんでした。「調べてみてようやくわかって来る」レベルです。

同様にかつて「ウルトラマン」放映のほんの少し前に何が起きていたか、何をされた人物であるかはもとより、その性別さえ、怪獣の非常な知名度に反して知られることは今もなかなかありません。(体育の着替えの時間に『ジャミラ~~~w』と遊ぶのを流行らせたばかりで。)

それどころか 一方的な見做し 迫害を受ける人々、迫害を娯楽として受け入れる人々は、ジャミラの頃にも、今現在にも、海の向こうにでなくても存在すると再認識する2025年暮れ、スペル星人回流出騒ぎからふと連鎖して、気が付いたあれこれでありました。
これをポチポチ打っている週末にも、ここしばらくずっと素行の悪かったアメリカ移民局が、一般市民を間違えて射殺したのを副大統領と大統領が「あれはテロリストだ」「狂った左派だ」なんて言ってます(;´Д`)

Free Palestine, Stop Genocide

(おしまい)

※(自分も新谷かおる作品などが大好きでどっさり持ってますが、そういう娯楽作品上の定番となっていた、雑消耗品ヴィラン化でしょう。これについては商業誌における「省エネ処理」ありきの産物であると思われます。)
(なお漫画ゲッターロボより10年は早くに起きていたとみられる実際の高校生のベトナム反戦運動については、田辺聖子原作の朝ドラ『芋たこなんきん』が当時、社会で起きている出来事に目を向け始めて自分の在り方を考える娘(に近い立場の子)に対し、一人の家庭人、母親に近い目線で丁寧に描かれていて大変面白かったです)

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