GAINAXが法人整理された年末にトップをねらえ1・2!をイッキ観したので庵野監督のまわりの人間模様とアニメ業界のごたごたを年表を交えながら知りたいときに見ていただきたいNote
みなさま
一応本日仕事納め的な感じでございました。本年も大変お世話になりました。ワタシの拙い文章を読んで頂き、ありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願い致します。
え~、うまいこと仕事がおさまったので、午後から酒を飲みながら🍶トップをねらえ1・2!をイッキ見しておりました。
正直なところ、ターミネーター3、4、うんぬんかんぬんで「後付けされた続きもの」を観てしまう怖さのようなものが染み付いてしまっておりまして、2はこれまで観てこなかったのであります。あれほどに素晴らしい終わり方をした作品に、2なんて存在しようがない、と信じていたからであります。(なんだか作品のテイストも違うし、今から思えばジークアクスのあのテイストのオリジナルはここにあったのか!とも思うし)が、観てよかった。このようなかませ方があるのか、と。内容についてはそのうち別のNoteにでも書こうと思います。
文中にはエヴァ他庵野秀明氏まわりの作品及び人間模様に関するネタバレを含みます。ご注意ください。
さて、件の作品は本年12月にその歴史に幕を下ろした、かのGAINAXが全盛期に制作された「トップをねらえ!」、及びその続編としてGAINAX設立20周年企画「トップをねらえ2!」であります。
よい機会だったので「トップ2」がどのような位置づけにあるのか、年表で整理してみましたので、シェアさせて頂きます。
主だった出来事と、私が把握している(触れている)作品ベースと、世界の出来事で記載していますので、コト細かにあらゆる出来事を連ねているわけではありません。
1981 DAICON3
1982 岡田斗司夫氏 ゼネラルプロダクツ設立
1983 DAICON4
1984 風の谷のナウシカ
同 岡田斗司夫氏&井上博明氏 GAINAX設立
1987 王立宇宙軍公開
1988-1989 トップをねらえ!
1990 ふしぎの海のナディア
1991 プリンセスメーカー
1992 GONZO設立
1995 新世紀エヴァンゲリオン
1998 エヴァ劇場版Air/まごころを君に
同 青の6号(GONZO)
2000 山賀博之氏 GAINAX社長就任
2002 庵野秀明x安野モヨコ 結婚
2004-2006 トップをねらえ2!
2004~ CR新世紀エヴァンゲリオン
2006 庵野秀明氏 スタジオカラー設立
2007 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序(カラー)
同 天元突破グレンラガン(GAINAX)
同 ストライク・ウィッチーズ(GONZO)
2009 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破(カラー)
2011 TRIGGER設立
同 3.11 東日本大震災
2012 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q(カラー)
同 箱根えゔぁ屋オープン
2013 キルラキル(TRIGGER)
同 風立ちぬ(ジブリ)
2014 米子ガイナックス設立
同 福島ガイナックス設立
2015 放課後のプレアデス(実質的にGAINAX最後の制作作品)
2016 GAINAX WEST設立
同 よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)(カラー)
同 ガイナックスへ債権仮差押え申立て(カラー)
同 シン・ゴジラ
2017 リトルウィッチアカデミアTVシリーズ(TRIGGER)
同 ガイナックス新潟設立
同 GAINAX京都設立
同 特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構設立(庵野)
2019 巻智博氏 ガイナックス代表取締役就任→逮捕
この頃COVID-19パンデミック
2020 グランドワークス神村靖宏氏 代表取締役社長に就任
他、役員総入れ替え
2021 シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(カラー)
2024 GAINAX 5月29日付で会社破産の申立
2025 GAINAX 破産整理が終了し法人消滅。42年弱の歴史に幕
見える。。見えるぞ。。。超いろいろなことが見えてくる…これは然るべき学術機関で研究対象となり、論文となる価値すらあるのではないかと思えるくらい興味深い。
なぜシン・エヴァ制作に10年近くかかったのか?そしてなぜQあたりから作品があれほどまでにぶっ壊れていきつつも、収束したのか?そのとき庵野がどれくらい落ち込んでいて、エヴァを止めてでもシン・ゴジラなんぞになぜ手を出していたのか。。。見える。
「そうでもしないとやってらんない」
という要素しか見当たらない。後半の20年なんか、もうずっと争いの歴史ではないか。こんなヘビーな戦いをしている精神状態で、「式波が~」とか言ってアニメ制作なんかできるもんなのか?
カラー10周年記念動画を、おおきなカブ(株)
とした超感覚。分かる人には分かる。分からない人にとっては分からないままでも単純に楽しめるようになっている、この構造。
だからこそゴタゴタのあらゆるところを知っているうえで、そしてかつての当事者の一人として、岡田斗司夫氏は「よくぞ完結させた。これは卒業式だ」と語ったのではないだろうかと、今、カチリと心のなかで繋がった気がしている。
学生時代に仲間と立ち上げた活動がどんどん大きくなっていき、世間に認知され、一方でいつのまにか自分の力ではどうにもならない領域でとんでもないことが起きている。金もからんでくる。かつての仲間を訴えたり訴えられたりという状況も出てくる。「彼らとは昔のような関係にはもう戻れないであろう」と、破産整理終了に寄せたメッセージでわざわざ書くほどに、もう心の中は真っ黒であっただろう。
そんな事情を知ってか知らずか、「風立ちぬ」に庵野を招集した宮崎駿御大の2013年に向かっての行動も興味深いし、2014の米子ガイナックス設立あたりの、組織を維持するために経営陣がなりふり構わない感じも、当時の状況のヤバさがにじみ出ている。
そんな現実だもんですから、Q前後で「もうかつてのようなエヴァは創れない」という想いに至ったのも事実ではないだろうか。
かつて世界最強ヲタク制作集団ギルドであった「ガイナックス」という屋号を使ってどうにか食べていこう(言い方を恐れなければしゃぶり尽くしてやろう、ひと儲けしてやろう)というプロ経営者の姿が見え隠れする空気感。かつて自分たちが手塩にかけ描いたキャラクターと、そのストーリーを食い物にする、群がるハイエナたちの存在。呼応するようにその屋号の下から離脱したクリエイターたちが新たな制作スタジオを立ち上げ、良質な作品を生み出している現実。
ワタシはあくまで第三者であり、ただのいちファンであり、会社員だもんで会社を経営したことはない。が、お金を正しく回し、きちんと仕事をし、社員の皆さんにきちんと給料を支払うことが、どれほど大変なことかは想像に難くない。手放し考えなしい誰かを叩くという意図は、ない。ただ、よくわからない分野のビジネスや、パチンコやらにキャラクターが使われていく(そしてそれが儲かってしまうという現実もよく分かる。。)ことは、悲しいよなぁ、と思うわけだ。
シン・エヴァ劇場版ではすでにかつての使徒は敵ではなく、ミサトさんたちはネルフの構成員を引き連れ新組織を立ち上新たな戦艦を手に入れている。ネルフに残ったオリジナルメンバーであるシンジの父ゲンドウと冬月先生が暴走しまくっている。ゲンドウなんかもう人間じゃなくなっている。
Qでアスカに「あれから14年経ってるってことよ。」と言わせたのは、エヴァの世界の時間軸の話でもなんでもない。かつての仲間たちとの間に、埋められないほどの出来事があり、時間がそれを解決してくれない現実を示していると読み取ることもできる。
Qのサブタイトルは「YOU CAN (NOT) REDO.」世界はやり直せない、過去には戻れないと、いう意味だが、カッコがあるのがまた意味深。やり直せるかも知れないし…やり直せないかも知れない。それはあなた次第。
ミサトさんが手に入れた戦艦「ヴンダー」。本来の目的は「すべての種を守り、逃す」ための存在。ヴンダーの意味は「「奇跡」「驚異」「不思議なこと」。
既にあちこちに発散してしまった、命ともいえる作品たち。その様々な作品の権利関係を取り戻す。そんなことできたら、奇跡じゃないか。
ヤマト作戦=宇宙戦艦ヤマトは、青い地球を取り戻すために旅立つ。かつて自分が所属した組織が(何ならシンジ君=自分自信が)ぶっ壊してしまった、真っ赤になってしまった世界を、業界を、会社を、作品を、取り戻すための闘い。
かつて自分たちが所属した、世界を破壊せんとするネルフを倒すべく戦いを挑むストーリー。かつての仲間たちとの別れでもあり、今まさに旧友との戦いが現実には繰り広げられている。自分たちの作品を守り、取り戻すための戦い。親殺しですらあるのかもしれない…と思うのは、こじつけすぎだろうか。

もうあの日のGAINAXを取り戻すことはできない。ゆえに、せめて引導を渡すことだ。それができる、オトシマエをつけることができる立場にあるのは立場的にも自分だけだ。そう思ったのではないか?
そう思うのは、こじつけすぎだろうか。
そして、ストーリーの最後。大人になったシンジ君は綾波でもない式波でもない、マリの手を取り、新たな世界に駆け出(卒業)していく。かつて手を出そうとして受け入れられなかった実写の世界に駆け出していく。マリは今更語るまでもない、安野モヨコ夫人である。かつて、自分が故郷から大阪に、そして東京に戦いに出て行った原点とも言える宇部新川から、もう一度旅立つことができたら、どんな風景か見えるだろう。どんな世界が待っているだろう。
劇場版エヴァって、これって庵野監督の人生そのものじゃあないか。
