たいてい序盤に【毎週ショートショートnote・裏お題】
「私、とにかく序盤が重いんですよ。物語の展開が遅いって言うか」
物書き仲間の飲み会は、当然の如く創作談義に花が咲く。
冬柴の切実な嘆きに、売れっ子作家の四畳先生がにやりと笑った。
「小説はさ、最初が肝心なわけよ。面白い本ってのは、たいてい序盤に人死んでるから。よく言うでしょ、『最初の数ページで死体を転がせ』って。俺なんて早いから! 最初の一行で殺すから!」
何とも物騒な言葉に、皆が笑う。
「全員にこにこ笑いながら『早く殺そう』とか言ってると、はたから見たらヤバい集団よねえ」
人柄も文体も品の良い露月さんがおっとりとのたまう。
「ばっさり切れ、ばっさり! もう序盤全部切っちまえ!」
白いシャツに青いデニムの田原いかさんが、バルタン星人よろしく両手をしょきしょき動かす。
「真面目な話、今書いてる原稿の序盤は、どれぐらいの分量なの?」
励ますような満月さんの問いに、冬柴の耳が力なく垂れた。
「……最低二万字」
中身のたっぷり入ったグラスが、冬柴目掛けて一斉に宙を舞ったのは言うまでもない。
(433字)
【あとがき】
珍しく裏お題で参戦です!(全然ショートショートじゃないけど許して)
えーと、ですね。このお話はフィクションです。登場人物その他、どれほど現実に酷似していようとも、すべてフィクションです。ワタクシの書く作品の序盤が重いことは事実ですが、冬柴さんとはまったくの無関係であることをここにお断りしておきます。キリッ
*この記事は、以下の企画に参加しております。
なおTalesにて、創作大賞2025応募作品『栗と牡丹』公開中です!
長い物語ですが、よろしければどうぞお運びくださいませ!!
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