浮気清浄機【毎週ショートショートnote】
「たかが浮気でカタいこと言うなよ」
「あのさ、浮気をただ " 汚いもの " と捉える考え方はよくないと思うんだ」
俺の吐き出した本音は、今日も襟元に忍ばせた極小マイクで浄化され、体裁のいい言葉となって妻へ届く。
" 浮気清浄機 " は、巷でひそかな人気を集めている製品だ。
結婚生活最大の罪である浮気を、まるで善意善行のごとく仕立て上げる。
本来は怒り狂うはずの配偶者を丸め込むのには持ってこいだ。
「なんで俺が一人の女に縛られなきゃいけないんだよ。オマエ、自分にそんな魅力があるとでも思ってんのか?」
「今は "オープンマリッジ" っていう考えがあってね。夫婦それぞれが自立して多くの相手と交流を持つことで、常に家庭内に新鮮な空気を入れて、互いの思考を多様化できるんだ」
堂々たる俺の主張に、妻は陶然と聞き入り……
――あれ? 今日はなんか剣呑な空気が……
「ふざけんな!」
妻が吼えるや、渾身のビンタが飛んでくる。
「勝手な理屈のフィルターかまして、誰かれ構わず交歓してんじゃねえよ!」
しまった、俺の失態だ。機械のフィルター交換を忘れていた。
(467字)
【あとがき】
フリン、ダイキライ |д゚)チラッ
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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