常識を疑え!今日からできる身体のアクティベート①
本当に動く準備できていますか?
スポーツをする人であれば、「ウォーミングアップ」は当たり前に行っていると思います。
ストレッチをする。
ジョギングをする。
エアロバイクを漕ぐ。
筋肉に刺激を入れる。
どれも一般的なウォーミングアップですし、決して間違っているわけではありません。
しかし、現役生活を長く続ける中で、私はある疑問を持つようになりました。
「ウォーミングアップを始める前に、身体は本当に動く準備ができているのだろうか?」
今回は、その考えについて紹介したいと思います。
────────
身体を起動する
体は筋肉だけで動いているわけではありません。
脳が指令を出し、その情報が神経を通って筋肉へ伝わることで初めて体は動きます。
つまり、筋肉を温める前に、その指令を届ける神経の通り道がしっかり働いていることが重要です。
この状態を「身体をアクティベートする」と考えています。
いきなりジョギングやバイクを始めるのではなく、まず神経を目覚めさせ、身体全体が連動して動ける状態をつくる。
その上でウォーミングアップを行った方が、結果的に動きもスムーズになり、パフォーマンスも高まると感じています。
リカバリーより前に考えるべきこと
多くの人は、「どう回復するか」を一生懸命考えます。
食事、睡眠、ストレッチ、マッサージ、アイシング…
もちろん、どれも大切です。
「どんな食事をしていますか?」
「どんなセルフケアをしていますか?」
よく聞かれる質問です。
しかし私は、
「そもそも、そこまで疲れない動き方ができたのではないか?」
という視点も必要だと思っています。
神経がしっかり働き、身体全体がスムーズに連動した状態で運動すると、余計な力を使わなくなります。
結果として同じ練習をしても疲労が少なくなり、リカバリーにかける時間も減らすことができます。
────────
ヒントは赤ちゃんの発達にある
私がこの考え方にたどり着いたきっかけは、自分の子どもの成長を観察したことからでしたら、
赤ちゃんは生まれたとき、筋力もありません。
それでも、
仰向けから寝返り、うつ伏せになり、四つ這いからハイハイをし、座る、立つ、歩く、
という順番で発達していきます。
これは偶然ではなく、人間が神経をつなぎながら動きを獲得していく自然なプロセスなのだと思います。
このプロセスを追って身体を動かすことで、忘れていた人間としての自然な動きを思い出すことができるのではないかと思い、この順番をウォーミングアップ前に取り入れるようになりました。
────────
正解は「種目」ではなく「順番」
「どんなエクササイズをやればいいですか?」
と聞かれることがありますが、私はメニューそのものよりも順番が大切だと考えています。
仰向けで体を動かす。
寝返りを打ってうつ伏せになる。
うつ伏せで周囲を見渡したり、手を伸ばしたりする。
四つ這いになる。
座る。
立つ。
そして初めてジョギングやバイクなどのウォーミングアップへ入る。
この流れを繰り返すことで、神経のつながりが少しずつ良くなり、身体が連動して動き始めます。
筋肉で無理やり動かすのではなく、本来動くべき場所が自然に動くようになること。
それがアクティベートの目的です。
────────
背骨は神経の高速道路
私は背骨を「高速道路」に例えることがあります。
脳から出た指令は、まず背骨を通り、そこから枝分かれして全身へ届けられます。
もし高速道路が工事中だったり、渋滞していたり、通行止めになっていたらどうでしょう。
目的地までスムーズにたどり着けません。
神経も同じです。
背骨がうまく機能し、全身へ情報がスムーズに伝わることで、本来持っている力を無駄なく発揮できるようになります。
────────
私自身が感じた変化
この意識を続けてから、身体はかなり変わったと思います。
動きに余計な力みが減り、効果的に出力できるようになり、同じ練習でも疲れにくくなりました。
現役後半になるにつれて、ケアに使う時間はむしろ減っていきました。
その代わり、朝は以前より少し早く起き、運動前にアクティベートの時間を確保するようになりました。
その結果、夜はケアに追われることが減り、リラックスして過ごせる時間が増えました。
トレーニング以外の時間にも余裕が生まれたことは、大きなメリットだったと思います。
────────
トレーニング時間を減らしても、効果は上がる
「そこまでの時間は確保できない」
忙しい方はそう思うかもしれません。
しかし私は逆だと思っています。
例えば2時間練習するなら、
30分をアクティベートに使い、
練習時間を1時間30分にしてもいい。
大袈裟に言えば、アクティベート1時間、練習時間1時間でも良いと思います。
一回の練習量は少し減るかもしれません。
しかし、身体が効率よく動くようになれば、一回あたりのトレーニング効果は高まります。
ただ量を積み重ねる「足し算」ではなく、
質を高めることで「掛け算」の成長が生まれる。
この積み重ねは、数か月後、数年後に大きな差となって現れます。
────────
今日からできること
特別な器具は必要ありません。
マット一枚あれば十分ですし、床の上でもできます。
10分でも構いません。
大切なのは、
「体を動かす前に、神経を目覚めさせる」という意識を持つことです。
ウォーミングアップの前に、さらにもう一段階準備をする。
その小さな習慣が、動きを変え、疲労を減らし、パフォーマンスを高めてくれるかもしれません。
常識になっていることを、一度疑ってみる。
そこに、成長のヒントが隠れているのではないでしょうか。
次は具体的な流れも、少し紹介したいと思います。
