再びのくどううた個展『GIFT』、そして絵に乗せた詩たち
今日最終日のくどううたさんの個展『GIFT』に再び行ってきました。
今回は写真付き。
そしてくどううたさんの絵に詩を付けさせてもらったのを、
ここに書いていこうと思う。


うたさんらしいな、
と微笑ましく読みました。

大切にしているものが詰まっていると思うと、
感動した。

山のいぶき
語るには惜しいものがたりを
あなたは語ってくれる
仕様のない子供に戻れるのなら
そのたくましくしなやかな腕を
もっと大きく振るでしょう
ああ 話したくない
語られるものがたりが
唇を滑りおちそう
それを許してくれるだろう胸に
だけれど封をしていたい
語られただけのものがたりは
語られなかった部分のものがたりを孕んで
この両手を泉に変える
あしもとへ溢れていく
許しを得て語るのならば 静か
永久をあるくあばらを通り過ぎていく
その底にてものがたりの火をくべよう

花
好きなことを好きなように
胸に刻んだ教えの数ごと呑み込んで
したたかに打つ手の平の
水飛沫をかぶる
あてなどなくて大丈夫
広がっていくしずかな野のつづきを
うたいたがる小石があるから
その音色によりかかってくつろぐ
あなたが望んだわけではない何もかもに
いつのまにか身はゆだねられている
そして傷の顔をして咲いた花は
その頬をくすぐる
あてどない行き当たりばったりの歩行
尊くてあたたかい夜灯
分かり辛かったあれもこれもにいきわたる命
この身体はあてがわれそして小さな音を奏でる

かさねる手
つながりあう我が手
つきはなしたがる右手
どうして仲良しでいられないの
かえされた好意は
少しだけ崩れて
向こうに砂塵が残る
あなたひとりのくせして
どうして光の中にいるのか
いつか気付くことがあるかもしれない
たくさんの砂粒は
磨かれて落ちた行為
何が光を返すのか
ゆれて かさねて
かさねて はぐれて
手は手を求める
右は左を 左も右を
言い訳と辿れない者より
とりわけただそばにいたがるものなのだ
あなたのやさしい
手品の種のように
静かに仕込まれている
あなたに似た
やさしさに成りたいの
どうしても開いてゆく両手のままで
やさしさに問いかけていたい
あなた誰に似ているの
それはあなたが
私に誰よりやさしを詰めたから
私はあなたのやさしさに成りたい
野と私
ここが暮れても
矢は飛ぶぞ
ここが枯れても
火は噴くぞ
ここが叶うことのない荒野でも
私はここに寝転がり癒す
魂はかおる それそれのかおりに満ちている
魂はうごく それそれの満ちたかたちへと
ここが祈りの去った野原でも
私はここに寝そべっていよう
花
あてもなくうつくしいのだ
だって唐突に目に飛び込んで
あてどもなく放たれてゆく
うつくしいの放射が
目を 心を 線に一列に鳴らす
とてもではないが
風に揺れてくれ
丹念な作りごとのように
下げた片ひらでゆるやかに舞いの真似をなぞれ
野原
遠くへとやって来て
どこへとでもやってしまって
卵の破片は
点々と落としてきた
あたたかい湯の中から
わたしはできあがっている
それは全てこの中に満たされて
そのままでやって来た
どこへなりと行けるだろう
この足が向かう 向かう 向かう方へ
金の花
圧倒的にひねりのきいた
魂の一筆を
何の気も無しにあたらしく
生み出すのは
あなたの気質のため
全ては全てのまま
その耳に収めて
遠くなる現身を対岸より手を振って
幻に立つ いつかを微笑む
あった
あなたにもあった
愛を失くした穴
それをふさごうとした祈り
あなたにもあった
愛が欲しいだけの
空っぽの一室の亡霊
あなたにはあった
その中を手で根こそぎひとつにする力
そして空いたままの穴

風がうたう
遠くおもねってきた幻が消える
脈々とつづく緑の線がもだえる
たかがとうたった今を
その身はうたがっているまま
どうしようもなく身を捩って
助けようもない若々しい緑は風邪にささらわれ
あてにしようにもない灯火を重ねる
とてもとてもとてもうつくしいのです
あなたはしぼりだすように口にする
園を紙に写し取って揺らす
幻のような一末に
あなたは絶え絶え
耳は音を落として
とてもとてもとてもうつくしいのです

うつるもの
うたい
うたい
うたえば
この瞳に
両手はたしかに結われ
あなたはうつくしい物語のまま
両手をたしかに結ばれ
うたい
うたい
うたうのを
この瞳に
両手はたちどころに結われ
あなたはうつろう物語のまま
両の手をたしかに結ばれ
抱き合うもの
たゆたう腕たちに
ゆったりと描かれる円
ささやかに歌われる
再会を渦にして
ささやきあう合間の宇宙
どこかなんて折り合えないまま
たわむれに軋む
両の手に花は触れる

金の瞳
いこいのいこいの金の瞳
ねむい毛先をふわりとふくらます
いこいのいこいの金の瞳が
吸い込むように肌をあたためる

羽
あなたに与えたものだけ
たしかにあなたはズレていった
あなたに与えられたものの分
たしかにあなたは傾いでいった
あなたが線を結べたならば
私は芯と成れただろう
あなたが絵の具を混ぜたのならば
私はたしかな点としてそれを舞っただろう
あなたが与えなかったもののうただけで
どうかあなたよ飛んでいってくれないか

GIFT
生まれてきたものの数の点
無数と放棄された端などなく
全てが点として数えられている
ほとけさまの手はそうよ
全てを抱える哀しみよ
ほとけさまの手はそうよ
あたかもほどける哀しみよ

Lush
見事の姿のあたいは何
どれに掛けても零になる
どうしてあなたはひとつなの
ひとつである必要は
宇宙はひとつであるべきだからよ
全ての宇宙で世界なの

風のダンス
少し伸びた首筋が
風にさそわれてより長く反る
あなたはそうね誰よりも
痛いが嫌いで丸いが好きね
世界が一斉に咲く
そして一斉にとじていく
涙の一筋が
生の落ちる一線を描く
あなたはそうよ誰よりも
期待を満たし頬をする
以上。
うたさんの絵に返した私の詩でした。
うたさんの絵は見つめた瞬間言葉をくれる絵です。
それだけ豊かなものが内包されていると思います。
今日彼女と話せて本当に楽しかったです。
思わぬ出会いもあって嬉しかったです。
どうぞ彼女の道筋に明るく清浄な光が満ちていますように。
うつくしい彼女があるがままの姿で生きていけますように。
心から願っています。
これからも心からの応援を。
