見出し画像

「禁断の国史」(六)大国主命(オオクニヌシノミコト)

「禁断の国史」
 第一章 神話時代の神々
   大国主命 (国譲りの立役者は艶福家の薬剤師)

 オオクニヌシの先祖はスサノオである。オオクニヌシは兄たちに虐められ、大きな荷物を背負いながら、道中、兄らが虐待した因幡の白兎を助けた。薬を調合し患部に塗ると兎は全快し、結局、美女を射止めたのはオオクニヌシ。嫉妬して兄たちはオオクニヌシ殺害を何回も試みる。
 この物語の留意点は、兎は先行して偵察に来た姫のスパイであり、薬の調合ノウハウをオオクニヌシが知っていたという設定にある。

 ついでにオオクニヌシが死にかけると高天原から特効薬が降ろされ、それでも危ないとなってスサノオのいる黄泉の国へ逃れると、ここでも殺されかけた。人生は多難、危機に次ぐ危機という教訓が挿入されている。

 オオクニヌシのクライマックスは国譲りであり、高天原から派遣されたタケミカツジ(フツヌシも同行したとするのが古事記、日本書紀ではフツヌシの名前はない)の脅しと説得で、息子らが賛成すれば、国を譲るが、条件として高い御蔵を建てよと要求する。これが出雲大社の原型である。

 タケミカツジに刃向かった息子(タケミナカタ)は、遠くの信濃の諏訪まで投げ飛ばされ諏訪神社の主神となった。
 タケミカツジは鹿島神宮の主神であり、フツヌシは香取神宮の主神である。両社は一対の軍神である。それぞれ新しい出発を祈る神社だが、古代の神話を知らない人が参詣に行くのが現代日本の風景である。

 前段でもう一つ重要な記述がある。オオクニヌシはヤチホコと名乗って古志の国、糸魚川へ赴き、そこで古志の女王(ヌナカワヒメ)へ求婚する。
 応じなければ草花や虫たちを殺すと言えば、ヌナカワヒメは一晩考えて求婚に応じた。これはいかなる意味を持つのか。

 かつてスサノオは「古志の八岐大蛇」を退治した。オオクニヌシの時代、出雲は古志を攻めるほどの軍事力を持ち、報復で古志を攻め込んだ。
 ヌナカワヒメは政略結婚に応じた。つまり古志と出雲の政治同盟が結成され、ヤマト王権に強大な脅威となっていた
 だからこそ、高天原はタケミカツジを派遣し、事実上、オオクニヌシの降伏を勝ち取り、出雲のヤマト王権への帰属を認めたことになる。この神話が転じて、出雲大社は縁結びの神となった。

 ところが地元の稗史(はいし)は違う物語となっており、悲劇の主人公となるヌナカワヒメは糸魚川の市内に三つのブロンズ像があり、その悲哀に満ちた美貌が描かれている。この地は翡翠の産地として縄文時代から拓けた。三種の神器の勾玉は翡翠である。古志の経済力と翡翠がオオクニヌシのたちの狙いでもあったということだ。

ーーーーーーーーーー
「禁断の国史」山崎正弘著 ハート出版

ーーーーーーーーーー
※ 山崎正弘先生の目の付け所、面白いですね。
  翡翠と薬剤と経済力と。
  目の前に当時が見えるようです。

いいなと思ったら応援しよう!