ついにAIを本格導入しようと思い立った話 (1)無料版でできるところまで
そろそろまともに使えないとまずいのではと思い一念発起したものの、どっから手を付けたらいいのか最初かなり困ったので、もしかすると誰かの役に立つかもしれないと思い書き残しておきます。
とりあえず入口がわかんないんですよね
さすがに全く触ったことがなかったわけではなくて、Chat GPTの無料版やもともと持ってるGoogle アカウントに紐づいた無料版geminiに、パラグラフ単位での英文校正や簡単なSTATA codeの質問をしたり方程式を解かせたりするくらいは一応半年前くらいからやってました。「生成AI 初心者」とかでググって出てくる情報は大体そのレベルで終わってるんですよね。じゃあと検索ワードを変えると今度はskillだのなんだのちんぷんかんぷん… てなって止まってたんですけど、京都のワークショップで笠原さんのtutorial sessionで「どうやって導入するかもAIに聞けばいいので」って言われて目からうろこが落ちました。なるほど!
もう一つ、このセッションで学んだことは「複数のAIを併用するのが良い」だったので、とりあえず
私は経済学者で、これまで生成AIは英文校正やSTATAのコードについて調べるくらいにしかつかってなかったんだけど、本格的にcodingの支援や文献検索に使い始めたいと思っています。どこからはじめればいい?
とChat GPT, Gemini, Claudeそれぞれに聞いてみました。
余談ですけど、回答の内容はある程度被るけど、なんか全然トーンがちがうんですね。Chat GPTは最近STATAのグラフ描くコードとか翻訳とかでちょいちょい使ってたので「あなたはこんな研究してますよね(ドヤァ」って感じの一言がやたら挟まる、ClaudeはあまりAIに頼るな的な警告を最初からしてくる、Geminiは「ご相談、とても嬉しいです!」とかって媚びてくる…
Coding支援について
追加情報として以下の情報を与えたうえで出てきた回答の共通項を取り出すとこんな感じでした
STATAを主に使っていて、Pythonは触ったことがありません。普段do fileはSTATAに付属しているdo file editorで書いています。よく推奨されているGithub+vs codeについては、vc codeは少し触ったことがある程度で、Githubは共著者が使っているのでGithub desktopから共著者の書いたコードをダウンロードしてくることはできますが、自分で書いたコードをアップロードする方法もよくわかってない感じです。
とりあえずChat形式のままでいいから、これまでのように行レベルでコマンドについて質問するのではなくdo fileを丸ごと貼り付けて改良してもらうとことから始めてはどうか
それで慣れてきたらvs code+AI支援を導入、そのタイミングでGithubの使い方も覚えよう
vs codeの導入方法とGithubの使い方はそのときにstep by stepでAIに訊け
AIエージェント(Claude codeやCodex)の本格導入はまだ考えなくてよろしい
文献検索について
これはChat GPTだけ言うことが違う感じでした。勧められた他のサービスも含めいろいろ試した感触としてはこんな感じ。
ClaudeとGeminiはElicit, Semantic Scholar, Concensusなど査読誌データベースを読むことができる 専用AIを勧めてくる。特にClaudeは「私はウェブ検索はできますが、Web of ScienceやEconLitのような学術データベースに直接アクセスしているわけではない」と明言してくる
一方Chat GPTはひたすら自分が何ができるかをアピってくる
ためしにElicitとSemantic Scholarをあえて自分が良く知っている分野で試してみたが、知らない論文を検索する手段としてはいまいちっぽい(プロンプトの問題かもしれないが)。正直なところ、これならWeb of Scienceのcited reference serachのほうがよくない?
Web of Scienceも含め、査読誌データベースは査読誌に載らないとカバーされないので、最新のワーキングペーパー類の把握はChat GPTなどのほうが得意そう?
Chat GPTに言われたとおり、検索よりもまとめ作業のほうにAIは本領発揮するっぽい
以上総合するととりあえず私にとって導入メリットが高いのはcoding 支援っぽいのでまずはそちらからとりかかることにしてみます。
課金はいるのか?
AI本人に訊いてみた
ここまでの時点で使っているのはすべて無料版なのですが、Chat GPTとClaudeの無料版本人(?)に無料だとどこまでできるか訊いてみました。意外にもどちらも「まだしばらく無料版でいいんじゃない?」とのこと。
Claude
無料版でできること:
チャット(通常のClaude Sonnet 5がデフォルトモデル)
Projects(プロジェクトごとに知識ベースをまとめておける機能)
Artifacts(コードやドキュメントを別枠で編集・保存)
ファイルのアップロード・読み込み(1チャットあたり20ファイルまで)
ウェブ検索
ファイル作成(Word/Excel/PowerPointなどの生成)
Connectors(Google Drive、Gmailなどの外部サービス連携)
基本的なコード実行
無料版でできないこと・制限:
Claude Codeは使えません(Pro/Max/Team/Enterprise限定)。VS Code拡張機能としてのClaude Codeも同様に有料プラン必須です
Opus系の最上位モデルは使えません(無料版はSonnetのみ)
Research機能(複数ソースを横断する深い調査モード)は使えません
利用量の上限が低く、5時間ごとにリセットされるセッション制限があり、長い会話やファイルの多いやり取りだとすぐ上限に達します
会話が学習データに使われる可能性があり、Pro以上だとオプトアウトできます
あなたの用途に照らすと
前回話した「VS CodeにClaude Codeを入れてdo-fileを横断的に編集する」という部分は、無料版では使えません。Claude Codeを使うにはPro以上(月20ドル)の契約が必要です。
ただし、今のステップ1(チャットでdo-fileを貼り付けて壁打ちする)は無料版でも十分できます。まず無料版で「本格的に使うとどれくらい役立つか」を試してみて、手応えがあればPro→Claude Code導入、という順番で進めるのが無理がないと思います。
Chat GPT の回答は貼り付けるには長すぎるんですが、要は機能よりは使用上限の問題で、PDF20本まとめて要約してとか1日中ずっと壁打ちしたりとかするようになると無料版じゃきついよとのこと。そして
あなたなら有料版を検討するタイミング
今の状況だと、私はすぐ契約する必要はないと思っています。
まずはGitHubやVS Codeの環境を整えて、「研究の中でAIを使う習慣」を作るのが先です。
その後、
「論文を書いている日は利用制限が気になる」
「PDFをまとめて比較したい」
「長いチャットを維持したい」
と感じ始めたら、そのタイミングでPlusにするのが一番費用対効果が高いと思います。
だそうです。
ちなみに無料版で上限までどのくらいなのかは、Chat GPTもClaudeも表示できなくて、上限自体は課金ユーザーでどれだけ混んでるかで日によって変わるらしいです。
なおGeminiに訊いてないのは、大学のgoogle accountにもともと紐づいてるやつはアップグレード不可で、別途契約するのはめんどくさそうだからです。
でもChat GPTに「do file直して」やるのは無料版じゃ無理っぽい
このやりとりの翌日、400行弱くらいのdo file (このくらい普通ですよね?)を読み込ませて直してって言ったら、Chat GPTはすぐに上限に達してしまったんですよー(泣
別の日に結構長いマークダウン文書を英訳してって言ったら、これも途中で止まってしまったのでChat GPTの無償版はチャット画面で完結するレベルの作業量しか無理っぽい(2026年7月下旬の話です)。プロンプトの書き方(次項)で改善できる余地は結構ありそうではあるけど、その日予定していた作業を完遂できないなぁ、と思った時点でとりあえず1か月Plusにして様子を見るのがよさそうかもと思いました。
つかね、Chat GPT、do file直しちゃんと最後までできないくせにすぐに
ここ数週間やり取りしていて感じたのですが、あなたのような経済学の研究者だと、ChatGPTは単なる「質問箱」ではなく、研究環境の一部として使うと効果が大きいと思います。
例えば、以前話していた内容を整理すると、…
とか余計な事いってくるのうざくないですか。たぶん止めることはできるんだろうけどどうやったら止められるのか調べるのもめんどくさい…
一方でClaudeはdo file丸ごと編集するのを何回もできる
Claudeのほうは、Chat GPTがすぐにギブアップしたdo fileを1日目に2回、2日目に4回全文修正してくれたんで、無料版でも結構いけてしまうのかもしれません。容量の問題ではなくしくみ自体が違っててコード直しはClaudeのほうが得意なのかな、という印象。
今やってるプロジェクトでsummary statsをつくるdo fileを読み込ませて、自動でエクセルに表を吐き出すように変更する、というのを試みたんですけど、6往復で無事に完成し「すごい」ってなりました。
でもdo fileをブラウザにアップ⇒claudeが直す⇒ダウンロード⇒開いて確認⇒回して不具合が出たら簡単なものは手で直したほうが早いけどそうすると直したものを保存してもういちどアップしないとclaudeに直してもらえない、というのが地味にめんどくさくなってきて、早くvs code +AI支援を導入したいなーってなってきました。「まず無料版で「本格的に使うとどれくらい役立つか」を試してみて、手応えがあればPro→Claude Code導入」とか自分で言うだけあるわ。
うまくいかないときは適切なプロンプトをAI本人に確認したらよかったんですね
いちおう、チャット型AIに入力する質問や命令のことを「プロンプト」と呼ぶということくらいは知ってました。同じ英文校正でも私がChat GPTにお願いすると勝手に内容が削られて返ってくるのに共著者がやると懇切丁寧なsuggestionつきで出力されるので、何かが決定的に違うらしい、ということも理解はしてました。でも、じゃあどうすればいいんだよってなってました。
AI本人に訊いたら教えてくれるんですね。なるほど。
人によって困るポイントは違うと思うんですけど、下記の「pythonで」は同業者の結構な割合がハマる罠なのではないかと思うので記録しておきます。
数値がでてくるものは「pythonで」とつけないといけないらしい
Chat GPTにエクセルを読み込ませて作業させようとしたらなんかすごいポンコツな出力しか出てこなくて、やり直し3回目くらいで「以降も正確に続けるには、PythonでExcelを読み取りながら出力する方法に切り替えた方が確実です。」とか言い始めたんですよ。
なにそれ。
続けていろいろ質問した結果、Excelの集計・加工、CSV・TSVの処理、データの並べ替え・結合、MarkdownやLaTeX表への変換、Word・Excel・PDFの生成はpythonで処理するようしていた方がいいんだそうです。
早く言えよ。
私がこれまでChat GPTに頼んで失敗してきたものの6割くらいは「pythonで処理して」と指定しなかったことに起因しそうな勢いなのでマジで早く言えよ、です。
ついでに出てきた他のTips
「〇字以内で」と指定すると〇字よりだいぶ短い出力が返ってくる:「○○を700~750字で要約してください。完成後に文字数を確認し、範囲内に収まるよう調整してください。」のように下限も指定したうえで最後に文字数を確認させるといいらしい
情報が古い:「『Web検索して教えて』と付けると最新情報を確認しながら答えられます。」
もしかしてこのへん、使い慣れてる人には常識なのかもしれないですけど…
STATAまわりの環境構築頑張ってみた
いままでどうやってたかというと、基本的にSTATA付属のdo file editorを使って全部自分で手打ち、たまにグラフの作り方とかでChat GPTに質問したりはしてた程度でした。
で、Claudeにdo file丸ごと編集してもらって「すごい」ってなったのは前述のとおり。とりあえず私にとってAIでいちばん生産性改善するのはここだと思い、主にChat GPTに訊きつつClaudeにも確認しながら環境構築頑張ってみました。
ちなみに私のようなポンコツにはChat GPTのほうが説明もわかりやすいし提案してくる方法も直観的なUIで行けるものが多いです。Claudeはすぐコマンドライン使う方向に行くのでそういうの平気な人にはむしろいいのかもしれませんが私には「え何言ってるの…?」ということがしばしば。そしてどちらも時々噓をつくので裏取り大事。
久しぶりにVS Codeを開けた
4年くらい前に諸事情により他人の作ったRmdファイルを編集する必要があってインストールだけはしてあったVS Codeを久しぶりに開けて、AIに訊きながらいろいろ設定してみたんですけど、Githubのアカウントでサインインすると端末間で同期できるんですね。もしかすると4年前からそうだったのかもだけど。
余談:VS Code, 昔のSTATAみたいな黒い画面で怖いんですよね。それでも昔は黒い画面のSTATAちゃんと使ってたはずなんだけど。でも当時から秀丸は怖くてWindows付属のメモ帳でdo file書いてたな…
Chat GPTに言われるままに拡張機能を追加
下記の拡張機能を入れました。
Stata Enhanced: VS Codeの画面がDo file editorみたいにカラフルになります。たぶん他にも機能あるんだろうけどまだよくわからない。
Markdown All in One: Markdown文書を使うなら必須らしい。どう必須なのかはまだよくわからない。
Markdown Preview Enhanced: これを入れると Ctrl + K → VでTyporaみたいな感じのリアルタイムプレビュー画面が右側に出る。
MarkdownはいままでTyporaという有償ソフトで編集してたんですけどこの際それもVS Codeにしようかなと思いついでに入れてみました。
Github Copilotすごい
Githubのアカウントで使えるGithub Copilot(無料版)、右側のChat boxにやりたいことを書いたらそれを実行するコードを書いてくれるんですね。まだI'd like to regress var1 on var2 しか試してないけど、ちゃんと使いこなしたらこれはきっとすごい便利だわ。
今までDropboxで同期してたdo fileのフォルダをGithubのレポジトリにした
ポイントはdo fileのフォルダしかGithubには同期しないこと!
これも今日AIに訊いて初めて知ったんですけど、「ソース(再現に必要なもの)」と「生成物(実行すれば作れるもの)」を分けて、前者しかGit管理しないほうがいいんですって。
でもAIに言われるままにフォルダ構成とGitignoreの設定をしていくとログファイルはローカルに保存されるだけになり、研究室で回した結果を家で確認することができなくなるのでそこは工夫が必要です。私はとりあえずログファイルとか図表はDropboxに出力することにしてみました。
そして、研究室と家のPCそれぞれでdropboxとGithubが同期されつつGithubからdropboxにも時々同期する、というマニアックな設定も実装してみました。それは結構需要ありそうだから別途単独記事にしました。
ここまででも今までとは段違い
これでとりあえずdo file editorの代わりにVS CodeでAIの支援を受けながらdo fileを編集し、Gitでバージョン管理できる体制が整いました!
そんで、githubのレポジトリとdropboxのフォルダのPathを書いたdo fileを作っておいて(こんなの↓)
* 研究室
global db "C:\Users\【研究室のPCのDropboxのフォルダの場所】"
global gh "C:\Users\【研究室のPCのGithubのレポジトリの場所】"
* 家
global db "C:\Users\【家のPCのDropboxのフォルダの場所】"
global gh "C:\Users\【家のPCのGithubのレポジトリの場所】"これだけSTATAのdo file editorで開いて作業する場所の部分だけ回す
ログや図表の出力場所は${db}下に指定するようにしてVS Codeでdo fileを書き、Ctrl+Sで保存
STATAのコマンドウインドウに${gh}\dofile.do と打って回す
結果見てVS Code上でdo file編集
${gh}\dofile.doを再度実行
って感じでdo file編集しながら回せるようにするところまではできました!
まだdo file丸ごとClaudeに直してもらう時はいったんアップしてダウンロードして上書き保存して、ってしないとダメですけど、それでもこれまでとは段違いに効率化できた気がします!
ここから先は無料版では限界っぽいので、お盆にでも有償契約してもうちょっと頑張ってみます。うまくいったら続きも書きたいと思います。
