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#58 【起立性低血圧】弾性包帯の位置と巻き方

整形、脳、内科が交差する“総合戦”の現場では、離床を阻む大きな壁として 起立性低血圧 が存在します。臥床が続くと循環血液量が低下し、わずかな起き上がりや端座位でも血圧が落ちる患者は少なくありません。

そんな場面でしばしば登場するのが 弾性包帯
では、弾包は「どこに」「どう巻く」と効果的なのか?
そして、どんな患者には使ってはいけないのか?


『Question』

離床を進めたいけれど、起立性低血圧が強くて立位が難しい……。
弾性包帯は役に立つのか?
どこまで巻けばいい?
心不全などの循環リスクがある場合でも使ってよいのか?


『起立性低血圧と弾性包帯』

起立性低血圧は、自律神経障害、血液量減少、薬剤など様々な要因で起こります。
急性期では、臥床により利尿が進み、血液量が減りがちで、血圧低下が生じやすい状態です。

弾性包帯の役割は、下肢の静脈血貯留を防ぎ、静脈還流を増やすこと
前負荷が確保されることで血圧低下を予防できます。また、脊髄障害などでの感覚入力向上の目的で使われる場面もあります。


『急性期の巻く位置・巻き方・禁忌』

弾包を使う際の急性期ならではのポイントは「巻く順序」「圧」「禁忌」。

● 巻く位置

基本は 足部 → 末梢側から近位へ
血液を心臓へ押し戻すため、大腿まで巻くかは症状と循環動態で調整します。

● 巻き方

  • 末梢は円巻きで均一の圧

  • 近位は斜め巻きで圧を逃がす

  • 脛骨動脈を触れて血流を確認しながら

  • 腓骨頭の過圧迫に注意

弱すぎても効果が乏しく、強すぎると循環障害のリスクが上がります。

● 最重要ポイント:禁忌

弾包は静脈還流を増やす=前負荷を増やすため、
水中立位と同じように心臓の負担が増えることがあります。

そのため――

  • 心不全(CTRが大きい症例など) → 心負荷増悪の可能性

  • 動脈閉塞・末梢循環不良 → 圧迫で虚血リスク

  • 末梢冷感・色調不良がある場合は要注意

急性期では画像(CTR、胸水)、採血(BNP、腎機能)と照らし、
「今、この患者に前負荷をかけてよいか」 を判断することが核心になります。


『まとめ』

弾性包帯は、起立性低血圧がある急性期患者の離床を強力に後押しする道具です。
しかし、効果とリスクは常にセット。
巻き方の技術だけでなく、**心不全の有無や血流評価を踏まえた“前負荷のコントロール”**こそが、弾性包帯を安全に使うための本質です。

急性期のリスク管理を武器に、今日も目の前の「ひとりの人間」に向き合っていきましょう。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
心不全投稿をはじめに急性期について投稿しています。
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