『誰かの何かにならなきゃダメですか?』沙織の話①
『あー。疲れた、とりあえずスーパー寄って帰るか』
昼休憩に悠一から、今日は唐揚げが食べたいとLINEが入っていたので今日の夕飯は唐揚げを作って彼を待っていようと思う。いつもだったら作るのがめんどくさい料理だと少しテンションが下がる私だけど今日は違う。
なんてったって今日は一緒に夕飯食べられる日だから。
ホテルコンシェルジュになってまだまだ慣れないことばかりだけど、就職を機に引っ越した沖縄で大好きな海に囲まれたホテルで働けていることに満足している。そこで出会った悠一と同棲を始めてもうすぐ一年になるし順風満帆な社会人生活が送れていると思ってる。
スーパーについた沙織は黙々と買うものをカゴに入れていく。その途中で、急な残業を頼まれて一緒に帰れなかった悠一からLINEが入ってきた。

私と悠一は同じ職場なので一緒にご飯を食べれることが少ない。私が夜勤の日は作り置きを作って逆のシフトの日は彼が用意しておいてくれる。
心躍った沙織はスーパードライをカゴにいれ足早に帰宅した。
久々作った大盛り唐揚げをたらふく食べたあと、ふたりで楽しい時間を過ごしていた時、悠一から急に真剣な顔で話し始めた。
「沙織はさ、結婚したらすぐ子供欲しい?」
悠一からプロポーズを受けたのは先月の終わり、沙織の誕生日だった。
『子供欲しいけど、今ちょうど昇格試験の話あるでしょ?それ受けたいと思ってるからすぐはないと思ってる』
「え、ちょっと待って昇格試験受けるつもりなの?あれ受かったら今の3倍忙しくなるのわかってる?」
『知ってるよ。でもせっかく話もらったしこんなチャンスないと思って』
「それはわかるけど家族の時間どうするつもり?今でさえ結構すれ違いだよ」
『それはふたりで考えようとは思ってるけど、悠一は私が昇格試験受けるの反対なの?悠一は受けるのに?』
「正直、別に辞めろとは言わないけど、てっきりもっと家族に合わせた仕事の仕方してくれるんだと思ってた」
『え。どういうこと。私に仕事は諦めろってことやりたかった仕事捨てて?』
「そうじゃないけど、現実的じゃないよ。沙織、僕と結婚する気ある?」
『何その言い方、結婚もしたいし仕事も頑張りたい。これって普通でしょ。今まで協力してきたじゃん。なんで私が自動的にキャリア捨てることになってるの。悠一だけなんてずるい。』
「はぁ、、ごめん今日はこの話やめよう。お風呂入ってくる」
なんで、なんで私だけ。せっかく楽しい休日の始まりだったのに。
これじゃ台無しだ。悠一のバカ、今は顔も見たくない。
さっさと片付けを終わらせてベットに潜った。とはいってもモヤモヤで頭がぐるぐるしていて寝れそうにない。ふと思いついてInstaで美希にメッセージを送った。
『来週末、東京行くんだけど会える?話したいことがあって』
そんな予定入れていなかったけど、今は家にいたくない。
次の休みまで泣いて過ごしたくない______
