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『誰かの何かにならなきゃダメですか?』沙織の話②

久々の美希との会話は昔に戻ったようで、とても楽しかった。

「で、相談したいことって?」

『悠一にプロポーズされたんだけど』

ことの経緯を美希に話した。結婚や子供の話になった時、私は自分のキャリアもプライベートもどちらも諦めたくないと言ったこと、悠一に現実的ではないと言われてしまったこと。

美希は話を聞いた後、少し考えた後こう言った。

「うーん。自分のキャリアだって大切にしたいと思うのすごくわかるよ。今まで頑張ってやってきたことなんだし。でも、仕事ではかっこいいホテルコンシェルジュでしょ、結婚するとしたらさ悠一さんの奥さんになる。子供ができたらお母さんになる。そして沙織という一人の女性があるわけで自分の一面というか立ち位置?ていうのかな、それが広がるから全ての方向に全力は難しくない?」

美希はいつも冷静で的確な意見をくれる。一方的な意見じゃなくて第三者目線ではっきり言ってくれるから気付かされる部分が多い。だからこそ、今回の美希の意見が私の心に刺さる。

『やっぱそうかぁー。やっぱ現実的だなー美希は。そう考えるのが普通だよね望み過ぎてんだろうなぁ私。』

「いや待って、諦めるしかないって私言ってないから。ただ無理してる沙織が見たくないから言っただけだから。」

『わかってるよ、美希の言葉が聞きたかっただけなの。納得できるかなって思ったから。』

「そんなんで諦める沙織じゃないくせに、」

『それもそうなんだけどね。』

美希は冷静な意見をくれるけど私を否定することはない。それは美希の優しさであり、私が羨ましいと思う部分だ。だけれど最近、美希の目には光がないように感じる。

『で?美希はどうなの?もう諦めちゃったの、ツアーガイドになる夢。私、楽しみにしてたんだけどな美希のツアーに参加するの』

「いや、それはもう、、、」

美希が一瞬ハッとして俯いた。

『確かにあの時はどうしようもなかったというかさ?チャンスが無かったけど今なら再挑戦できるんじゃない?』

「考えたことはあるけど、怖いの。社会人として働いて一応安定した収入はあるし。最近ね、真里さんからもやっと少し信用して仕事任せてもらえるようになって。自立して生活できてるのにそれを捨てて挑戦して本当に自分がなりたい自分になれるのか」

それもそうだ、私たちももう26歳でそんな安易と仕事を捨てる選択はできない。世の中では転職なんか普通の時代だとか言われているけど、実際そんな簡単なことではない。うまくいくかわからない。もしかしたら一度やめたら正社員に戻れないかもしれないんじゃないかなんて考えるのもわかる。

『そうだよね、そんな簡単に言うことじゃ無かったねごめん。』

「謝らないで。沙織がそう思うのもわかるから、私が沙織に思ってることがわかってるようにさ。」

美希は少し悲しそうに笑った。美希は美希なりに思うことがあるんだと思う。でもそれは今掘り下げることじゃないなと思ってこの後はたわいもない話題に切り替えた。でもね、美希。私はあの夢を追ってた美希の顔が忘れられないんだよ_____________





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