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現場を止めたPLCプログラムのミス5選|生産技術が実際に経験したトラブル事例

「プログラムは合っているはずなのに、なぜ設備が止まるのか?」——そんな問い合わせが製造現場から届くたびに、私は同じことを思います。PLCプログラムのミスは、目に見えないだけに発見が遅れ、ラインを長時間止めることがあります。今回は私が実際に経験・対応したミスを5つ厳選して解説します。同じ過ちを繰り返さないための予防策も合わせてお伝えします。

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■ はじめに:PLCミスはなぜ怖いのか

PLCプログラムのミスが厄介な理由は、「動いているように見えるのに正常ではない」状態が生まれやすいことです。

機械的な故障であれば異音・異臭・目視などで発見できます。しかしプログラムのバグは、特定の条件が重なったときにだけ現れることがほとんどです。量産中に初めて発症し、原因究明に丸1日かかる——そんな事態を私は何度も経験してきました。

この記事では、生産技術担当者として20年以上現場に携わる中で直面した「本当に起きたPLCミス」を5つ紹介します。ラダー図の書き方から、タイマーの単位設定まで、明日からの業務に活かせる内容です。

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■ 事例①:二重コイルによる誤動作

【どんなミスか】
同じ出力コイル(例:Y001)を2か所のネットワークで使用してしまうミスです。PLCはラダー図を上から順にスキャンするため、先に書かれたコイルの出力が、後のネットワークで上書きされます。

【実際の現象】
ある搬送設備で、ソレノイドバルブが「断続的にON/OFFを繰り返す」という不具合が発生しました。手動操作は正常でも、自動運転に入ると不規則な動きになります。

調査すると、自動シーケンスの前半でY001をONにするコイルがあり、後半で別の条件でY001をOFFにするコイルが書かれていました。実行サイクルの中で、両方が1スキャン内に処理されるためOFF状態が最終的に勝っていたのです。

【予防策】

  • プログラム作成前に「コイル割付リスト」を作成し、重複使用を禁止する

  • ツールの「コイル重複チェック機能」を必ず使用する

  • レビュー時に出力コイルの使用箇所を全件確認する

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■ 事例②:インターロック条件の漏れ

【どんなミスか】
設備の安全を守るインターロック(他の動作中は動かさない)の条件が、一部の動作フローで抜けていたケースです。

【実際の現象】
組立設備で、手動モードでのジョグ操作時に限り、本来であれば原点位置でないと動かないはずのアームが動いてしまいました。自動モードでは正常なため、日常点検で見落とされ続けていました。

原因は、自動シーケンス用のインターロック回路と手動操作用の回路が別々に書かれており、手動側にインターロック条件の追加を忘れていたことです。幸い人身事故にはなりませんでしたが、ヒヤリハットとして記録されました。

【予防策】

  • 安全に関わるインターロックは「共通ユニット化」して使い回す

  • 自動・手動・点検モードそれぞれに対してインターロックの適用を確認する表を作る

  • 設備立ち上げ時にモードごとのインターロック動作確認を必須チェック項目にする

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■ 事例③:タイマーの単位ミス(ms/s/10ms設定間違い)

【どんなミスか】
PLCメーカーやシリーズによって、タイマーの時間設定単位が異なります(100ms単位・10ms単位・1ms単位など)。機種変更や担当者交代のタイミングで、単位の誤解が生じることがあります。

【実際の現象】
設備更新の際、旧機種(100ms単位)のプログラムを新機種(10ms単位)に移植したところ、ある工程で接着剤の塗布時間が短くなり、接着不良が多発しました。

現場からの「接着が剥がれる」という報告を受けて確認すると、塗布タイマーの設定値は「50」のまま。旧機種では5秒(50×100ms)だったものが、新機種では0.5秒(50×10ms)になっていました。

接着不良は出荷後に発覚するケースもあるため、品質問題に直結しました。

【予防策】

  • 移植作業時は必ず「タイマー単位の確認」を作業手順に明記する

  • タイマー設定値には単位をコメントとして記載する(例:T001 = 50 [×100ms = 5.0s])

  • 移植後は全タイマーの動作時間を実測で確認する

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■ 事例④:立ち上がり・立ち下がり命令の誤使用

【どんなミスか】
PLC命令の「立ち上がり検出(P接点・↑)」と「立ち下がり検出(N接点・↓)」を混同したり、通常のb接点・a接点との使い分けを誤るケースです。

【実際の現象】
カウンター処理で、センサーがONになったタイミングで1回だけカウントアップする仕様のところ、通常のa接点を使ってしまっていました。センサーがON状態を保持している間、スキャンのたびにカウントアップが走り続け、実際の個数とカウント値が大きくかけ離れました。

逆のパターンとして、1スキャンだけ処理したいところに立ち上がり検出を使い忘れ、同じ指令が何回も繰り返し実行されてデータが壊れた、というケースも経験しました。

【予防策】

  • 「1回だけ実行したい処理」には必ず立ち上がり/立ち下がり検出を使う

  • カウンター・データ書き込み・フラグセットは特に注意

  • 命令の仕様書(プログラムマニュアル)を傍に置き、不明な点はその都度確認する

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■ 事例⑤:スキャンタイム考慮漏れによる処理抜け

【どんなミスか】
PLCはラダー図を上から下へ、左から右へ「1スキャン」で処理します。このスキャンタイム(通常数ms〜数十ms)より短い信号を検出しようとすると、信号を読み取れないことがあります。

【実際の現象】
高速で流れる製品をセンサーで検出し、その個数を管理するシステムで、ある速度域から計数が抜け始めました。

スキャンタイムが15msに対し、製品の通過時間が8msになっていたため、センサーON信号がPLCのスキャンをまたがず消えてしまっていたのです。

処置として、高速カウンター(HSC)ユニットへの変更と、それに対応したプログラム改修が必要になり、設備停止期間が数日に及びました。

【予防策】

  • 検出する信号のON時間がスキャンタイムより長いか確認する

  • 高速・短パルス信号には専用の高速カウンターユニットを使う

  • 設備仕様の変更(速度アップ)時は必ずPLC側の検出能力を再確認する

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■ まとめ:PLCミスを防ぐための5つの習慣

今回紹介した5つの事例から、共通して言えることがあります。それは「仕様の確認」と「レビューの徹底」が、ほとんどのミスを防げるということです。

| # | ミスの種類 | 予防の要点 |
|---|---|---|
| ① | 二重コイル | コイル割付リストで重複管理 |
| ② | インターロック漏れ | モードごとの安全確認表を作成 |
| ③ | タイマー単位ミス | 移植時に単位を必ず確認・記録 |
| ④ | 立上/立下り誤使用 | 1回実行処理には必ず検出命令を使用 |
| ⑤ | スキャンタイム漏れ | 信号時間とスキャン時間を事前に比較 |

PLCプログラムのミスは「知っていれば防げる」ものがほとんどです。この記事が、皆さんの現場でのトラブル予防に少しでも役立てば幸いです。

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2,000万円の設備導入、PLCと制御、IE改善、品質の作り込み、プロジェクト管理、
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