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【デジタル巡礼】岩村城|システムが裁いた、生存者の城。


深い霧が、すべてを隠そうとしている。
岐阜県恵那市、岩村城跡。標高717メートル、日本一の高所に築かれたこの城は、常に雲の中に浮いているかのような錯覚を抱かせる。
透析を受けながら、構成を考えています。
ここは、鎌倉以来の由緒正しき遠山左衛門尉の城だ。だが、当主の病死によって、城の運命は信長の叔母「おつやの方」に託された。
武田軍に包囲され、援軍もない。
極限のなか彼女が選んだのは、城を明け渡し、自らが敵将・秋山信友の妻となって命を繋ぐ道だった。身内の「織田という巨大システム」から見れば、それは許されざる裏切りだ。

当然、それが信長の凄まじい怒りを買うことになるのだが……
彼女にとっては、それだけが領民と血筋を守るための、あまりに重い「生存」の決断だった。のちに彼女は、甥である信長の手によって逆さ磔にされる。「システムを乱した罪人」という烙印を、歴史に刻まれながら。
僕は、この霧の石垣に、あの日不採用通知をゴミ箱へ叩き込んだ自分を重ねる。
「人間的には合格なんだけどね……」
あの言葉は、社会というシステムが僕に突きつけた審判だった。もし、僕が「システムの理想とする部品」であろうと自分を偽り続けていたら、どこかの壁の一部として、無機質な安泰を得ていたのかもしれない。
けれど、僕はその壁材になることを拒んだ。
おつやの方が、強大な正義から外れてでも、自らの足で立つ生存を選んだように。僕もまた、社会から「不適合」と切り捨てられたことで、ようやく自分だけの旗を立てることができた。システムにとっての不都合こそが、僕にとっての「真実」になったのだ。

週12時間、ベッドの上で機械に繋がれている時間は、僕にとっての「霧」だ。
外の世界からは、僕が何をしているのか見えないだろう。ただ静止し、不便に耐えているだけの、動かない石のように見えるかもしれない。
ふっ……笑わせる。
霧の中では、誰の顔色も見えない。
だが、それがいい。
この深い霧のなかで、僕は誰にも邪魔されず、最高に贅沢な「構成」を練り上げている。システムから弾き飛ばされ、孤独という断崖に立ったからこそ、僕は僕自身の言葉を、誰の許可も得ずに精錬できるようになったのだ。
岩村城を包む霧は、冷たくて重い。
けれど、霧を抜けた先の景色を、僕はもう知っている。
誰の駒にもならず、自分の意志だけで選び取った「不自由」という名の、至高の自由を。
巡礼は続く。
システムが「悪」と呼ぶ場所で、自分という正解を書き記すために。



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【透析を受けながら、構成を考えています。】
※あなたの「スキ」が、霧を払い、一文を研ぎ澄ますための光になります。


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