【元小学校教師の記録⑭】初めての面接で気づいたこと
転職活動を始めてから、何度も求人情報を眺めた。
興味を持った仕事を見つけては応募する。
そして、結果を待つ。
その繰り返しだった。
けれど、教職以外の経験がない私が、未経験の職種に応募しても、なかなか書類選考を通過することはなかった。
そんな中、初めて書類選考を通過した仕事があった。
それは、業務委託で、不登校の生徒やその保護者に伴走する仕事だった。
求人内容を読んだ時、私は強く惹かれた。
不登校で悩む子どもたち。
そして、どう関わればいいのか迷う保護者。
その両方に寄り添いながら、前に進むための支援をする仕事だった。
代表の方が書かれた本も、早速取り寄せて読んだ。
そこには、子どもたち一人ひとりの可能性を信じる姿勢が書かれていた。
読み進めるうちに、私は思った。
「これは、私の経験を活かせる仕事かもしれない」
教師として、私はたくさんの子どもたちと向き合ってきた。
学校に行きづらさを感じている子。
友達関係で悩んでいる子。
自分に自信を持てない子。
一人ひとり違う悩みを抱える子どもたちに寄り添い、その子に合った関わり方を考えてきた。
もちろん、子どもだけではない。
悩みを抱える保護者の方とも向き合ってきた。
どうすれば子どもにとってより良い環境をつくれるのか。
何ができるのか。
一緒に考えながら支えてきた。
それは、20年以上続けてきたことだった。
さらに魅力を感じたのは、リモートでできる仕事だった。
夫の転勤がある生活。
これから先も場所に左右されずに働けることは、私にとって大きな意味があった。
「この仕事なら、これまでの経験も活かせる」
初めて、そう思える仕事に出会えた気がした。
そして、面接の日を迎えた。
リモートでの面接だった。
画面越しではあったけれど、不思議と緊張は少なかった。
自己紹介をする。
これまでの教育経験を伝える。
大学院で研究してきたこと。
20年以上、子どもたちと向き合ってきたこと。
学級づくりや、一人ひとりに合わせた支援を大切にしてきたこと。
話しているうちに、自然と言葉が出てきた。
「この仕事は、私に向いている」
そう思えた。
久しぶりに、自分の経験を肯定できる時間だった。
自信を持って答えることができた。
そして、結果の連絡が届いた。
一次面接合格。
次の二次面接は、3日後だった。
嬉しかった。
初めて、自分の経験を認めてもらえたような気がした。
「きっと、これも上手くいくだろう」
そう思っていた。
しかし。
数日後、届いたメールには、
「お見送り」
という言葉が書かれていた。
正直、ショックだった。
なぜなら、この仕事は自分に向いていると思っていたから。
これまでの経験を活かせる。
子どもたちや保護者に寄り添うことができる。
そう信じて応募した仕事だった。
だからこそ、不採用という結果を受け止めるのには時間がかかった。
でも、少しずつ考えた。
会社が求めている人材と、私が持っている経験が合わなかっただけなのかもしれない。
私自身を否定されたわけではない。
そう考えられるようになった。
それでも、また一から始めなければならない。
たくさんある求人の中から、自分がやりたい仕事を探す。
応募する。
履歴書を書く。
職務経歴書を書く。
そして、結果を待つ。
その繰り返しは、思っていた以上にエネルギーを使った。
少しずつ疲れていく自分がいた。
「また探さなければいけない」
そう思う日も増えていった。
20年以上、教師として積み重ねてきた経験がある。
子どもたちと向き合ってきた時間がある。
それなのに、なかなか次の場所が見つからない。
その現実に向き合いながら、私は少しずつ自信を失っていった。
それでも、応募をやめることはできなかった。
どこかに、これまでの経験を必要としてくれる場所があるはずだ。
そう信じて、私はまた求人情報を開いた。
▶ 次回
【元小学校教師の記録⑮】
「初めて決まった仕事」
長い就職活動の中で、ようやく一つの仕事が決まった。
しかし、そこでも新しい葛藤が待っていた。
