京都駅から新幹線。駅弁はやめて、真っ白な「豆餅の布団」に埋もれることにした。
関西の実家からの帰り道。
京都から関東へ戻る新幹線のホーム。
みんながお土産や甘いものに吸い込まれていく中、私はいつもの場所へ向かう。
お目当ては、あの白い塊。
出町ふたばの名代 豆餅。
本店の大行列に並ばなくても、京都駅の改札内でさっと買えることがある。
これが私にとっての、最強の駅弁だ。
「2時間ちょい」に弁当はいらない
新幹線に乗れば、関東まではたったの2時間ちょっと。
ガッツリ重い弁当を食べるほど、お腹は空いていない。
隣を見れば、子どもは早々にゲームの世界へ没入。
時折「ポリポリッ」と響く、じゃがりこの音。
それが、あの子の新幹線ランチ。
自由だ。
つけろ、粉。埋もれろ、豆餅。
お茶……ではなく、缶コーヒーをセットして、いよいよ包みを開ける。
もう、見た目からしてふっかふか。
できることなら、この豆餅の布団に埋まりたい。
そんな衝動を抑えて、大きな口で、ぱくり。
「……うまー!!!」
一口目から、語彙力が消える。
と同時に、口の周りには粉がパァァァッ!と舞う。
でも、いい。
ついていい。むしろ盛大につけて食べる。
気分はもう、運動会の「あめくい競争」状態。
新幹線の座席で、ひとり粉まみれ。
ひとつ食べて、指先の粉を払う。
本を開いて、少し読む。
老眼で、ちょっと目が疲れる。
もうひとつ食べて、またページをめくる。
一気にいきたいけど、ブレーキをかけながら。
もう、そういうお年頃。
「残りは家で」と思いながら、
結局、最後のひとつまでいく。
血糖値、大丈夫かな。
でも、この柔らかさと、ゴロゴロした豆の塩気がたまらない。
甘じょっぱい豆餅に、缶コーヒー。
コーヒーは、苦いのが合う。
そういえば、車内販売でよく見かけた、
スジャータのコーヒーも好きだった。
今はもう車内では買えないけれど、
新幹線ホームの自販機で見かけることもある。
夫がいないからこその、解放感
ふと、家で留守番している「乗り鉄」の夫を思い出す。
もし一緒にいたら、
「発車まで食べるな」とか
「駅弁のルーツは……」とか、
おごそかな流儀が始まっていただろう。
ごめん、夫よ。
今はそのルール、完全に無視。
停車中だろうがなんだろうが、食べたい時に、最高に汚い顔で頬張る。
この自由こそが、母子旅の醍醐味なんだから。
帰省のしめくくり
お餅の布団から顔を上げ、指の粉をそっと払う。
甘じょっぱい余韻と一緒に、
心のスイッチがゆっくり関東へ切り替わっていく。
子どもはゲーム、ときどきじゃがりこ。
私は缶コーヒーと、粉まみれの豆餅。
行列に並ばなくても、京都の「一番」は駅のホームで手に入ることがある。
もし豆餅が買えなかった日は、
五建外良屋の赤飯まんじゅうか、
藤菜美のみたらし団子。
甘くて、しょっぱいのが好き。
さて、そろそろ日常に戻ろうか。
(Memo:京都駅で買うなら)
販売場所や曜日は変わることがあるので、事前にチェックしておくと安心。
・月・金・日:プレシャスデリ&ギフト京都、PLUSTA(中央改札内)
・水・木・土:PLUSTA Gift(アスティ京都・中央改札内)
・お休み:火曜・第4水曜
最新情報は公式案内でどうぞ。
