中身が良いという、実績がゼロ。
放課後、いつもの公園に寄ったら──
ベンチで女子高生が泣いてた。
くわっちゃんが声をかけた。
「どうしたん?」
「いや、中学生に言ってもわからん、帰り。」
「そうなん。ほなええわ。」
「……いや、やっぱ聞いて。」
「どっちやねん。」
「失恋してん。」
「そうなんや。おねえさん美人やのになぁ。」
「そんなんええねん。私は中身を見てほしいねん。あんたアホそうやし、わからんやろな。」
「……早速やけど、中身きらいかも。」
女子高生はタバコを足で踏み消して、言った。
「だってさ、彼氏が全然電話してけぇへんねん。」
「……。んー、いや、公衆電話混んでたんちゃう?」
「ちゃうねん! “テレカない”とか言い訳してきてさ。私なんか、自分で作ってんねんで。」
「え?……作ってん?」
「コピー機で、裏写して貼るだけやん。」
「偽造テレカ…..。」
「でもそれぐらいしてくれな、気持ち伝わらへんことない?」
「いや、んー、これ、気持ちっていうか、犯罪やしなぁ。お前の為なら警察なんか怖くないみたいな事?」
「いやいやいや、アホな。バレんかったら捕まれへんやん。」
「……あーうん、そうなん。なんかスゴ… 考え方スゴ!」
女子高生は鼻をすすりながら続けた。
「私、彼のことほんまに好きやったのに……なのに、“かわいいだけじゃ無理”って言われた。」
そう言って、地面にツバをはいた。
「なるほど。……まぁ、なんとなく。」
「なんでわかってくれへんのよ。なぁ私の何が悪いと思う?」
「いや、まぁ、色々あるやん。好みとかさ」
「いや、遠慮せんと言ってよ。」
「いや、なんかさぁ、事情とかさぁ。」
「いいから言って、私のどこが悪い?」
くわっちゃんは我慢できずに叫んだ。
――「素行ーーーーーーー!!!」
「いやいやいや、素行に決まってるやんか!!!素行素行、普段の行い。犯罪無理無理。悪いのは素行やって!身内にやって欲しくない事全部やってるやん!!出会って5分やけど、素行悪い所、おせち料理ぐらい綺麗に詰まってたわ!!」
「何よ大きい声だして!私はただ中身を見てほしいだけやねん!」
――「見ても無理ー!!!ていうか、見た方が無理ーー!!!お前ちょっと顔がかわいいだけーー!!!しかもちょっとだけーー!見た目50点、中身0点ーーー!!!ツバはくなー!タバコ吸うなー!ポイ捨てすんなー!テレカ偽造するなー!!!中身がイイという実績ゼロのくせに主張すんなーー!!!三振しかしてへんのに、年俸交渉で張り切ってるプロ野球選手みたいな人ーーー!!」
公園が、急に静かになった。
女子高生はしばらく黙ってたけど、
ふっと笑って言った。
「……ありがとう。」
僕らは何も言えなかったけど、
……それはなんか、中身のある顔してた。。
