見出し画像

干されたのに干されんかった食べ物

火曜はいつも、どうでもいいようで、なぜか気になる出来事が起きる。
それをまとめたのが「火曜の小話」。
“静かなバカ”の一幕をどうぞ。


──切り干し大根って、不思議よね。
大根を、わざわざ切って、干して、煮て食べる。
食べ方なんて、ほかにいくらでもあるのに。
「そんな手間かけてまで?」って思うけど、ちゃんとうまい。

ただ、「切り干し大根食べたい!」って思ったことは、ない。
いつも、もう“おる”。
気づいたら、横に座ってる感じ。
誰も呼んでへんのに、しっかり箸休めのポジションにおる。

たぶん昔は、“保存のため”に干してたんやろ。
でも今の時代、もう冷蔵庫ある。
大根も一年中スーパーにおる。
──なのに、まだ干され続けてる。

もう「保存」やなくて、「信念」で干されてる。
あいつ、必要なくなっても生き残ったんや。

切り干し大根って、
“干されたのに干されんかった食べ物”。
たぶん一番、しぶとくてやさしい。

ただ、残ったけど、煮る以外の食い方しらん。

──つまり、切り干し大根は、
干されても、出汁のある人生を歩むやつ。


(後日談)
煮ずに、水で戻しただけで食べてみた。
繊維が強くて、
「簡単に戻ると思うなよ。」って言われた気がした。
もう少し時間を置いた。
「──だから、煮ろよ。」とはっきり聞こえた。


いいなと思ったら応援しよう!