大雪と配達遅延が露わにする、ヤマトと佐川の企業文化──元ドライバーの警鐘
ニュースの裏側で私が抱く強烈なデジャヴ
ここ数日、配達遅延に関するニュースが流れています。
ここで私がどうも気になっているのが、
佐川急便が一部の荷受けを停止し、ヤマト運輸は荷受けを継続しているという内容です。
文字面だけを見れば、
「佐川が苦しむ中、ヤマトはうまく回っている」
と世間は受け止めるかもしません。
しかし、元ヤマト運輸のドライバーだった私は、
このニュースを見て胸が締め付けられるような強烈なデジャヴを覚えずにはいられません。
これは単なる運送状況の違いではなく、根深く企業文化に染みついた
「病」の表れではないかと推測しています。
2020年冬、「愚行」が生んだ物流崩壊
私が思い出したのは、遡ること2020年の冬のことです。
私の地元では、災害級の大雪に見舞われ、全ての運送会社が数日間にわたって集配を停止していました。
そんな中、ニュースでは佐川急便が
「あと三日ほど荷受けを停止する」と発表。
現場の安全と物流の正常化を優先した、適切な判断だったと思います。
しかし、当時のヤマト運輸がとった行動は、まさに「大人げない」の一言に尽きます。
「他社が荷受けを停止している今こそがチャンスだ」
スーツ組はそう判断し、ヤマトは「明日から稼働を再開する」と宣言。他社が集荷できない状況に乗じてシェアを奪うべく、営業をかける攻勢に出たのです。
現場を襲った「悲惨な戦場」
その結果はどうなったか?
言うまでもありませんが、作戦は大失敗に終わりました。
キャパシティをはるかに超えた荷物がターミナルに集中。
仕分けラインは麻痺し、荷物は山積み。
集配ルートも確保できないまま、現場は手が施しようがないほどの「物流崩壊」状態に陥り、ターミナルは「悲惨な戦場」化しました。
この大人げない経営判断に、現場のドライバーたちは皆、呆れ返っていました。
企業文化の差を物語る転職者の証言
このヤマトの「無理を強いる文化」は、他の運送会社と比較すると際立っていたようです。
元同僚から聞いた話ですが、佐川急便からヤマト運輸に転職してきた社員が、大雪の日のヤマトの対応に衝撃を受けたと語っていたそうです。
佐川急便にいた時は、大雪の日は大抵の場合、集配を停止していた。
ところがヤマトに転職したら、そのまま稼働している。
佐川急便が「リスクを回避し、安全を優先する」判断を下すのに対し、ヤマト運輸は「無理をしてでも稼働を続ける」という選択をする。これはもう、一時的な判断ミスではなく、
「大企業病が企業文化に深く侵食している」
と断じるしかない状況ではないでしょうか。
そして、現在の配達遅延ニュースへ
このような過去の愚行を踏まえると、現在の配達遅延に関するニュースの裏側が透けて見えます。
佐川急便の判断 荷物の一部の受付を制限し、無理のない範囲で業務を行い、物流崩壊を回避させようとしている。
ヤマト運輸の判断 荷受けを継続することで、ここぞとばかりに「色気」を出し、競合の荷物を奪おうとしているのではないか。
もちろん、ヤマト運輸がこの経験から学び、キャパシティ管理を徹底している可能性もゼロではありません。
しかし、元ドライバーとしての経験と現場の悲鳴を知る者としては、
今回も「攻め」の姿勢を優先し、また現場に無理を強いていないか、
深い懸念を抱かざるを得ません。
現場の真実を伝えるために
私たち元ドライバーは、ニュースの文字だけでは伝わらない、この物流の現場の真実を知っています。
無理な経営判断の代償は、現場のドライバーの疲弊と、最終的には荷物を受け取るお客様の不利益につながります。
今回の投稿が、運送会社の判断の背景にある企業文化、そして現場の厳しい現実について、一人でも多くの方に知っていただくきっかけになれば幸いです。
