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使い切る社会から、めぐる社会へ。藻類に賭けるアルガルバイオCEO 木村さんの描く未来

アルガルバイオは、藻類の多様性をカタチ(事業)に変えていく 東大発スタートアップです。30億年前から地球の命の循環をひそかに支えてきた藻類には、私たちの未来を変えるヒントが詰まっています。

人々と地球の未来を彩る」。このPurposeを掲げる会社を率いるのが、CEOの木村さんです。藻類への想い、そしてこれからの会社のカタチを聞きました。

便利さの裏側にある不都合な真実に気づいたとき、人生を変えようと思った

木村さんのキャリアは、大手総合商社である三井物産から始まりました。携わってきたのは、世界を相手に食の安定供給を支える仕事。なかでも、農作物を育てるのに欠かせない「肥料」の事業に深くかかわってきました。

私たちの豊かな食卓を「裏側」で支える肥料。実はその原料の多くは、地中に眠る鉱物資源です。木村さんが関わった肥料資源の開発現場では、大自然を大規模に掘り起こして、その原料を取り出していました。食卓を支える大もとが、大きな自然破壊と隣り合わせだったのです。

さらに、その原料を肥料へと加工する工程では、硫酸などの化学品も多く使われます。そして、どうしても使い道の限られる副産物が大量に生まれてしまう。ある生産国では海に捨てられ、別の生産国では山のように積み上げられている。木村さんは、そんな現実を現場で目の当たりにしてきました。

便利で豊かな食卓の裏側に、これだけ大きな環境負荷がかかっている。その現実を、木村さんは自分の仕事を通じて知ります。

自身の原体験から、これからの志を語ってくれたCEO木村さん
商社時代、肥料資源鉱山で現場メンバーと
肥料資源鉱山にて、当時同僚だった当社COO大江さんが写っていた一枚


私たちが享受している便利さの裏側に、これだけ大きな環境負荷がかかっている。それを現場で目の当たりにしたことが、私の原点でした」

人口が100億人に近づいていく時代に、いまの食料生産の仕組みをそのまま続けていいのか。もっとサステナブルな仕組みが必要なのではないか。その問いは、年々大きくなっていきました。

転機になったのは、海外で出会ったフードテックの起業家たちと働いた時間でした。人生を懸けて、社会のために新しい価値をつくろうとする彼らの姿に触れ、木村さんは自分自身に問いかけます。


「我々の世代が享受してきた便利さの裏側にある不都合な真実に、目を背けて仕事を続けてよいのだろうか。自分が死ぬときに、悔いのない人生とはどういう人生なんだろうか。次世代に少しでもより良い社会を残せるかどうか。それが、自分たちの世代に課せられた使命なのではないか。そう考えたんです」


答えは決まっていました。安定したキャリアにとどまるのではなく、未来に向けた仕事に飛び込む。木村さんは人生の舵を大きく切ります。

米国フードテック起業家と熱い議論を交わした日々

商社時代の後半は、有望なスタートアップに投資する立場にもいた木村さん。例えばベンチャーキャピタルなどの投資家の道もあったはずです。そうしたキャリアは考えなかったのでしょうか?


「一言で言えば、自分は投資家でなく事業家でいたい、と思ったんです。もちろん投資を通じてより良い社会を残していくキャリアもあると思います。ただ、自分自身が米国のベンチャー企業へ投資させてもらった中で感じたことは、投資は突き詰めるとお金を回す仕事です。つまり資本の再配分を通じて経済価値を創出するお金のプロである、ということ。私はそうではなく、人も技術も、お客さまも、様々なステークホルダーを巻き込みながら社会価値を事業を通じて創出する事業の中心に、自分の身を置きたかったんです。」

藻類は、地球が30億年かけてつくった循環の仕組み

では、木村さんはアルガルバイオを通じて、そして藻類を通じて、どんな事業を創っていきたいのか。返ってきた答えは、ずっと先を見据えた、大きな目標でした。

新しい社会システムを創りたい。それが私の想いです。僕らの世代が享受してきたのは、有限なものを消費していく社会システムでした。けれど、その裏側にはさまざまな不都合な真実が存在する。だからこそ、再生可能で、半永久的に持続可能な、新しい社会システムをつくっていきたい。アルガルバイオは、それを藻類で実現する会社だと思っています」

ここでいう藻類は、微細藻類と呼ばれます。微細藻類とは、藻類のなかでも顕微鏡でしか見えないほど小さな生き物のこと。地球上に30万種以上も存在するといわれ、たった一種でも、私たちの健康、食料、素材、燃料、さらにはCO2の吸収まで担えるほどの多様性を秘めています。その多様性を社会の価値に変えていくことが、アルガルバイオのMission「藻類の多様性をカタチに」です。

藻類が持つ豊かな栄養素は、人の健康にも、動物の健康にも活きます。ウェルネスや水産飼料、農業資材といった領域で、藻類は新しい選択肢を生み出しはじめています。
そして木村さんは、もう一段深いところに藻類の本質的な可能性を見ています。


「ではなぜ、藻類でそれを実現できると信じているのか。藻類は30億年も存在し、地球に酸素を生み出し、食物連鎖を最底辺から支えてきた生き物だからです。人間がまったく新しいものを創造できるなんていうのは、人間らしいエゴだと思います。この地球が30億年以上の時を超えてつくり上げてきた循環の仕組みにこそ、新しい社会システムのヒントがある。そう信じています。人間の技術やサイエンスは、自然の摂理を制覇したり淘汰したりするものではなく、自然そのものが持つ循環の力をより引き出すために使われるべきなのです」


自然界では何億年もかけて進んでいく循環を、藻類を育てる技術で、人の手によってより速く、より大きく再現していく。それが、木村さんの見ている藻類の可能性です。

いい藻があるから売るのではなく、課題から藻を選び抜く

社会を変えるという大きな志。では、その大きな志を日本のスタートアップとして、どう事業の現実に落とし込んでいるのでしょうか。藻類には大きな可能性がありながら、なかなか事業として立ち上がってこなかった歴史も一方であります。こうした難しさを、木村さんはどのように捉え、どう乗り越えようとしているのでしょうか。

「優れた藻があるから売れる、ではないんです。世の中の課題を解決するからこそ、ビジネスとして成り立つ。極論を言えば、その課題さえ解決できるなら、正直、藻でなくたっていいんです。だからこそ、課題を解決できるかどうかを起点に、手元のコレクションの中から最適な藻を選び抜いていく。そのマーケットインの考え方が、私たちのいちばんユニークなところだと思っています」

藻類ビジネスには、先に優れた藻があって、その活かし方を後から探していくプロダクトアウトのアプローチが少なくありません。そのなかでアルガルバイオがとっているのは、世の中の課題を起点に発想するマーケットインのアプローチです。

それを可能にしているのが、アルガルバイオが持つ100種・1260株におよぶ藻類のライブラリーです。いわば「藻類の箱推し」。この多様なコレクションから、課題に最適な藻を選び抜いていく仕組みこそ、アルガルバイオのAlgae Foundry™(藻類ファウンダリー™)であり、目指すのはVision「世界No.1のAlgae Foundry™」です。

用途に合わせて、最適な藻を選び抜く。アルガルバイオの研究開発の現場から

用途に合わせて、最適な藻を選び抜く。アルガルバイオの研究開発の現場から

もっとも、最初からそれがうまく回っていたわけではありません。木村さんが参画して6年目になる今、見えている景色は当時とはまったく違うと言います。


「藻の株はあるが、なにをしたら良いかわからない、という状態でした。参画した当時は、砂漠のど真ん中で迷子になっているような感覚でした」


あれから、自社の商品やパートナーとの事業が、少しずつカタチになってきました。


まずは顧客や市場に向き合うことから始めたのです。その中で自社の悩みを解決したい、というパートナーとの共同開発事業や、既存製品で解決できない悩みを持つ消費者の方々に触れる機会が多くなってきました。そうした悩みに向き合っていく時間を重ねることで、藻類を通じた可能性を、カタチとして提供できる様になっていったのです。」

「今は、我々の元に顧客から求められるプロダクトやソリューションがある。ビジネスの成長にフォーカスできるところまで来ました。砂漠のど真ん中で迷子になっていた当時から比べると、買ってもらえるカタチがある幸せを、心から実感しています」


組織も大きく変わってきました。かつては大学の研究室がそのまま会社になったような状態で、基礎研究を得意とするメンバーが中心でした。そこに、応用研究や製品開発の経験を持つメンバーを迎え、事業開発やコーポレートの機能も少しずつ強くしてきた。いまでは、会社らしい形が着実にできあがってきています。

1000年続く会社を、日本から

最後に、木村さんが思い描く「組織のカタチ」を聞きました。返ってきたのは、これまたずっと先を見据えた答えでした。


「日本は、創業100年を超える会社が世界でいちばん多いと言われる、めずらしい国なんです。創業200年でも、まだ若いねと言われるような会社もある。アルガルバイオも、そういう会社にしたいんです」


それは、ただ長く続けたいという話ではありません。半永久的に持続可能な社会づくりを目指す会社が、すぐに寿命を迎えてしまうようでは、そもそも社会に大きな価値を残せない、という信念です。


自分がいなくなってもいい会社をつくる。それが究極だと思っています。メンバーが自発的に、生命体のように自分たちを進化させていく。藻類が30億年、環境に順応しながら生態を変えて生き続けてきたように、我々も進化していく


メガベンチャーやユニコーンという資本的な価値を表す言葉よりも、日本から1000年続く会社を生み出すことのほうに、木村さんは事業として大きな価値を感じています。

そんな会社を一緒につくっていくために、メンバーに求めることは何か。最後に木村さんに聞いてみました。


「進化論で有名なダーウィンは、単に食物連鎖の頂点に立つ強い種が生き残るのではなく、どんな環境変化にも順応できる種が生き残るのだ、と言いました。それは事業も、社会システムも、人も同じです。変化の激しい時代に、自分を変え続けられる人・学び続けられる人。そして、次の世代に誇れる爪跡を残したいという強い想いがある人。その二つがある方は、アルガルバイオにうってつけだと思います」


変わり続けられること。そして、未来への強い想いがあること。まるで、藻類そのもののようなしなやかさです。


学生時代はアメフト選手、チームの主将だった木村さん
大学時代はなんとU-19日本代表だったそう!

【プロフィール】木村 周(きむら あまね)
代表取締役社長CEO

一橋大学商学部経営学科卒。三井物産株式会社にて主に「食と農」「ウェルネス」領域での事業投資・経営に携わる。米国駐在中に代替タンパクスタートアップ企業Beyond Meat社への出資参画(取締役会オブザーバー)などフードテック領域での海外事業経験も豊富。2020年8月当社COOとして参画し、2021年5月より代表取締役社長CEOに就任。一般社団法人ネイチャーポジティブフード協会 代表理事。

藻類の未来に、あなたも

消費から循環へ。世界や地球環境に、藻類でインパクトを与えていく。その挑戦は、変化を楽しみ、次世代への思いを持つメンバーとともに前へ進んでいきます。

アルガルバイオのことをもっと知りたいと感じてくださった方は、ぜひコーポレートサイトをご覧ください。
▶ アルガルバイオ コーポレートサイト:https://algalbio.co.jp/

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