体を動かしている人はなぜ若く見えるのか
心電図で脈がゆっくりな方に聞く質問がある。
「何か運動をしていますか?」
運動に慣れると心臓が強くなり、
一拍の拍動で多くの血液を効率よく送り出せるようになり、
脈がゆっくりになることがあるからだ。
だいたい返ってくる答えは、
マラソンなどの陸上競技、サッカー、水泳などが多いが、
時に70代の方で登山という方もおられ、驚かされることがある。
やはりそういう方は、目の輝きや姿勢が違い、若く見える。
でもそういう方はごく少数であり、
わたしも到底真似できない遥か上のレベルをいく方々なので、
もっと身近な例を見てみようと思う。
健診の現場で若く見える人たちというのは、
日常的によく動いている。
上記のような激しい運動をしているわけではなくても、
ウォーキングをしていたり、
軽い体操を続けていたりしている。
階段を意識して使ったり、
家事をテキパキこなしたり、
小さなことでも自分ができる範囲のことをしている。
日常の中で意識的に体を動かしている人は、
全体的に軽やかで、いきいきとした印象がある。
そういう人たちは、
「しんどいから動かない」ではなく、
「無理のない範囲で動いている」
そんなバランス感覚を持っているように感じる。
体を動かすということは、
単に筋力や体力を保つためだけではなく、
自分の体の状態に目を向けることでもあると思う。
今日は少し疲れているな、と感じたり、
今日は調子がいいな、と感じたり。
そうやって日々の小さな変化に気づきながら、
自分の体と向き合っている。
その積み重ねが、
無理をしすぎない自然な過ごし方につながり、
結果として、
やわらかく、若々しい印象をつくっているのかもしれない。
また、体を動かしている人は、
「今できること」を大切にしている人でもある。
過去と比べてできなくなったことではなく、
今の自分にできることに目を向けている。
その姿勢が、
前向きで軽やかな雰囲気として表れているように感じる。
体を動かすことは、
「今この瞬間の自分」を感じること。
それはまさに、
このシリーズで共通している
「今をしっかり生きている人」
という在り方につながっているのだと思う。
日常の中で、
ほんの少し体を動かす時間をつくってみる。
大きなことを始めなくてもいい。
少し歩いてみる、軽く体を伸ばしてみる。
その小さな積み重ねが、
自分の心や体に、
やさしい変化をもたらしてくれるのかもしれない。
