映画『アウトブレイク』と、コロナ禍という現実――フィクションが追い越してしまった世界
コロナ禍を経験した後に振り返ると、
映画があえて描かなかった部分が、
実は一番重要だったのではないかと思えてくる。
コロナ禍後の世界経済
――「回復」ではなく「変質」という現実
コロナ禍が終わった、と言われることがある。
確かにロックダウンは解除され、
マスクも外れ、
街には人が戻った。
けれど、
経済は本当に元に戻ったのだろうか。
多くの人が感じている違和感は、
「回復していない」のではなく、
別の形に変わってしまった
という感覚だと思う。
実体経済は、確かに傷ついた
コロナ禍で最も打撃を受けたのは、
• 飲食・観光・宿泊
• 個人事業主・小規模店舗
• 非正規雇用・フリーランス
売上が落ちた、というより、
突然止められた。
努力や工夫ではどうにもならない停止。
この経験は、
「働けば報われる」という前提を大きく揺るがした。
一方で、止まらなかった経済もあった
同時に、
• IT・デジタル
• ネット通販
• 配送・プラットフォーム
• 資本力のある大企業
は、むしろ拡大した。
つまりコロナ禍は
不況ではなく、選別と集中。
弱いところから削られ、
強いところに資本が集まる。
経済の格差は、静かに、しかし確実に広がった。
「お金が消えた」のではない
政府は大量の給付金や金融緩和を行った。
だから世界からお金が消えたわけではない。
起きたのは、
お金の流れが歪んだこと。
• 株価は上がる
• 生活は苦しくなる
• 実感と数字が一致しない
このズレが、
多くの人に「何かおかしい」という感覚を残した。
後から効いてきた“経済の後遺症”
コロナ禍が落ち着いてから、
• 物価上昇
• エネルギー価格の高騰
• 人手不足
• 生活費の圧迫
が一気に表面化した。
これは別の危機ではない。
コロナ禍の後遺症だ。
急性期は過ぎたが、
体質そのものは変わってしまった、
そんな状態。
成長という物語が弱くなった
以前の世界経済は、
• 成長し続ける
• 拡大すれば解決する
• 技術が救う
という物語で動いていた。
コロナ禍は、
その前提を一度リセットした。
「止まることがある」
「管理できないことがある」
「守られないことがある」
この記憶は、
簡単には消えない。
コロナ後の経済は「小さく、現実的」
だから今、世界経済は
• 派手な成長より
• 安定と自衛
• 効率より持続
へ、静かに重心を移している。
健康思考が増え、
ネット通販が当たり前になったのも、
便利さ以上に
不安への備えとしての意味が大きい。
コロナ禍後の世界経済は、
まさにそれを体感させた。
これは絶望ではなく、
拠り所を問い直す時間。
終わりに
コロナ禍後の世界経済は、
良くなったとも、
悪くなったとも言い切れない。
ただ一つ言えるのは、
もう以前と同じではないということ。
だから今は、
• 大きく勝とうとしなくていい
• 無理に楽観しなくていい
• 小さく整えて、生き延びる
それが、
この時代に合った現実的な選択なのだと思う。
世界経済は揺れている。
でも、
正気まで差し出す必要はない。
