後ろ、誰か歩いてるよね?
これは、私が10代の頃の話。
当時付き合っていた彼氏の家に向かっていた時のことです。
彼氏の家は、最寄り駅から歩いて10分くらいのところにありました。
何度も通ったことのある道。
その途中に、少し長めの砂利道がありました。
きちんと舗装された道ではなく、両脇には雑草が生えていて、左側の奥は林のようになっていました。
右側も雑草の向こうには民家が見えていたので、見通しは悪くありませんでした。
ただ、夜になると街灯も少なく、少し薄暗い道でした。
その日は、朝から雨が降っていました。
ザーザー降りではなく、傘に細かい雨粒が当たり続けるような、しとしととした雨。
当然、舗装されていない砂利道には、あちこちに水たまりができていました。
そして、その日の私はというと。
ミニスカートに、ヒールが10センチ以上あるロングブーツ。
なぜ雨の日にそんな靴を履いていたのか。
10代の私に聞いてください。
今の私にはわかりません🤣
とにかく、その砂利道を歩くには最悪の靴でした。
ヒールが砂利に取られるし、地面はデコボコしているし、水たまりも避けなきゃいけない。
転ばないように、一歩、一歩、いつもよりかなりゆっくり歩いていました。
すると途中で、
後ろから誰かが歩いてくる気配がしました。
足音だったのか。
砂利を踏む音だったのか。
今となっては、そこまではっきり覚えていません。
でも、
「あ、後ろから人が来た」
そう思ったことだけは、はっきり覚えています。
気のせいかな、という程度ではありませんでした。
私のすぐ後ろを、誰かが同じ方向に歩いている。
そんな感覚でした。
私は歩くのが遅かったので、
「邪魔だろうな。先に行ってもらおう」
そう思いました。
ちょうど目の前には、大きめの水たまりがありました。
私はその手前で左側に寄り、立ち止まりました。
後ろの人が通り過ぎるのを待ちました。
……でも。
誰も追い抜いていきません。
あれ?
そう思って、少し待ちました。
それでも来ない。
私が止まったから、向こうも止まった?
そんなことを考えながら、
後ろを振り返りました。
…………誰もいませんでした。
さっきまで確かに感じていた、人の気配。
でも、そこには誰もいない。
雨に濡れた砂利道が、ただ後ろに続いているだけでした。
一気に怖くなりました。
もう、水たまりなんてどうでもいい。
砂利道が歩きにくいとか、ヒールが高いとか、そんなこともどうでもいい。
心の中で、
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
と叫びながら、
さっきまで転ばないようにヨチヨチ歩いていたくせに、
猛ダッシュ。
10センチ以上のヒールで、雨の砂利道を。
人間、本気で怖いと走れるものです。
転ぶこともなく、彼氏の家まで一気に走りました。
彼氏の家に着いてから、
「ちょっと聞いて!!」
と、興奮したまま今あったことを話しました。
すると彼氏が、
「ああ、あそこの道?」
と。
そして、何でもないことのように言いました。
「そこ、前に殺人事件あったらしいよ」
…………。
先に言え。
その事件と、私が感じた気配に関係があったのかはわかりません。
ただの勘違いだったのかもしれません。
雨音や、自分の足音を誰かの足音だと思っただけなのかもしれません。
でも、
あの時私は、
後ろから来る誰かを先に行かせるために、
わざわざ道の端に寄って、立ち止まったんです。
それくらい、
「誰かが後ろにいる」
と、はっきり感じていました。
振り返った時、
そこには誰もいなかったのに。
この体験も、幽霊を見たわけでもないし、何かに触られたわけでもありません。
ただ、「後ろに人がいる」と思って道を譲ったら、誰もいなかった。
それだけの話です。
……それだけなんだけど、私はめちゃくちゃ怖かったです🤣😭
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