市庁舎改築は毒饅頭
国が少子高齢化を見据えて公共施設の縮小を呼びかけ、将来の自治体財政の悪化や職員不足が懸念される今、なぜか全国で「市長の銅像付き」のきらびやかな市庁舎の改築が相次いでいる。
表向きの理由は、庁舎の耐震性不足や業務効率化の限界、あるいは「市の知名度向上」などだ。しかしその裏には、長年冷え込んできた地元建設業界へのカンフル剤という、選挙目当ての思惑も透けて見える。
利害が一致した市町村が次に目を向けるのが、政府の各種補助金だ。 公共建築物の集約や統合を伴う事業には国土交通省の審査があり、これをクリアすれば建設費や地方債の返済を国が手厚く支援してくれる。
本来であれば、完成後の維持管理費も含めた財政見通しを厳格に審査した上で交付されるべきだろう。しかし総務省は、「財政健全化はあくまで自治体の自己責任」という建前を隠れ蓑に、比較的甘い審査でパスさせているのが実態ではないか。これが自治体(地方交付税の不交付団体を除く)にとって、極めて「オイシイ」誘惑となる。
改築によって市民の利便性や福祉がどれだけ向上したか、数値で測ることは難しい。だからといって審査の手を緩めれば、補助金目当てにスポーツ施設や図書館、住民交流施設などを次々と組込み、箱物は肥大化していく。待っているのは、建設後の巨額な維持経費に苦しむ未来だ。
政府の補助金制度も少しずつ見直されてはいるが、目先の甘い補助金が地方自治体を蝕む「毒饅頭」となり果てる構造を、私たちは一刻も早く改めなければならない。
