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「船乗り?ワンピース?」と言われるので、外航船員10年の私が本気で説明してみた

こんにちは。
船乗りパパです。

今回は、私の肩書きにも入っている

「船乗り」

について書いてみたいと思います。

このnoteでは、S-REITやFIRE、資産形成について発信しています。

ただ、その前に一度、

「そもそも船乗りって何をしている人なの?」

というところを、少し解像度高めにお伝えしておきたいと思いました。

知り合いに船乗りがいる方。

もしくは、船の種類をシルエットだけで当てられる方。

そういう方は、そっと読み飛ばしていただいて大丈夫です。

今回はあくまで、

「船乗り?え、ワンピース?」

くらいの方に向けて書きます。


船乗りと聞いて、何を想像しますか?

「船乗り」と聞くと、多くの方がまず想像するのは、

海賊。

漁船。

あたりではないでしょうか。

「船乗り?ああ、海賊王を目指す人ね」

くらいの解像度の方も、きっといると思います。

もちろん、それはそれで夢があります。

ただ、私がしてきた仕事は少し違います。

私が乗ってきたのは、主に貨物船です。

貨物船とは、その名の通り、貨物を運ぶ船です。

人ではなく、モノを運びます。

車。
コンテナ。
原油。
LNG。
鉄鉱石。
石炭。
穀物。

日本の生活や産業を支えるモノの多くは、海を渡ってやってきます。

ここで、いきなりですが問題です。

99.6%

これは何の数字でしょうか。

答えは、

日本の貿易量のうち、海上輸送が占める割合です。

しかも、金額ではなくトン数ベースです。

つまり、日本に入ってくるモノ、そして日本から出ていくモノのほとんどは、船で運ばれています。

スーパーに並ぶ食品。
ガソリン。
電気を作るための燃料。
工場で使う原材料。
ネットで買った海外製品。

その背景には、だいたい船がいます。

にもかかわらず、船乗りという仕事は、日常生活ではあまり見えません。

見えないけれど、止まると非常に困る。

それが海運であり、船乗りの仕事です。


船乗りは、意外と少ない

国土交通省の資料によると、2024年時点の日本の船員数は合計で64,351人です。

この中には、

内航船員、
外航船員、
漁業船員、
その他の船員、

などが含まれます。

そのうち、外航船員数は2,095人です。

外航船員とは、簡単に言えば、海外の港へ行く船に乗る船員です。

日本国内だけでなく、世界中の港を行き来します。

つまり私は、その約2,000人ちょっとの中の1人として働いてきました。

こう書くと、少しだけレアキャラ感が出ます。

ポケモンで言うと、草むらでなかなか出てこないタイプです。

そして私は、海技士一級という国家資格も保有しています。

海技士には大きく分けて、船を動かす「航海」と、エンジンや機械を扱う「機関」があります。

国土交通省の統計では、令和7年度末時点で、

海技士一級(航海):13,569人
海技士一級(機関):10,075人

となっています。

合計すると、23,644人です。

もちろん、資格を持っている人すべてが現役で外航船に乗っているわけではありません。

陸上勤務の方もいますし、すでに引退された方もいます。

それでも、一般的な資格と比べると、規模感はかなり小さいです。

たとえば、全国の届出医師数は約34.8万人

弁護士数は約4.6万人

パイロットについては、定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士などの資格区分がありますが、国土交通省の資料上、主要航空会社の操縦士数は約7,091人とされています。

こうして見ると、海技士一級は、

医師よりはかなり少なく、
弁護士よりも少なく、
主要航空会社のパイロットよりは多い。

そんな規模感です。

ちなみに海技士の級の違いは、乗船可能なランクと船の航行地域、大きさの違いです。

一級は、あらゆる船に対して船長もしくは機関長として乗船可能となる、

船乗りの最上位資格です。

正直、日常生活で「一級海技士です」と言っても、

「すごいですね」

より先に、

「それは……何ですか?」

となることの方が多いはずです。(実際に言ったことはありませんが)

でも実は、日本の物流とエネルギーを支える、かなり専門性の高い資格です。

少なくとも、

「外航船に乗っていた経験があり、一級海技士の資格も持っている」

という意味では、私の発信にはそれなりに現場感があると思っています。

自分で言うのもなんですが。

少しだけ胸を張らせてください。

いや、ほんの少しだけです。


私が実際に乗ってきた船

私はこれまで約10年間、外航船員として働いてきました。

乗ってきた船は、約10隻。

世界中の港を回ってきました。

スエズ運河は4回。
パナマ運河は2回。
マゼラン海峡は1回。
シンガポール海峡は30回以上。
そして最近ニュースでも耳にするホルムズ海峡も、往復で7回ほど通航しています。

こうやって書くと、少し旅人っぽく見えるかもしれません。

ただ実際は、優雅な世界一周旅行ではありません。

基本的には仕事です。

見える景色は絶景でも、頭の中は、

「次の変針点はどこか」
「漁船はいないか」
「浅瀬に近づいていないか」
「本船のスケジュールは大丈夫か」
「荷役は予定通り終わるか」
「この天気で船は揺れないか」

そんなことばかり考えています。

船乗りにとって海はロマンでもありますが、同時に職場です。

海を眺めながらコーヒーを飲んでいるだけではありません。

もちろん、飲むこともあります。

でもその前に、船と貨物の安全を最優先に考えています。


貨物船にはいろいろな種類がある

ひと口に貨物船と言っても、実はいろいろな種類があります。

今回は代表的なものを簡単に紹介します。

細かく書き始めると、それだけで何記事にもなってしまうので、今回は入口だけです。


自動車船

まずは自動車船です。

名前の通り、自動車を運ぶ船です。

自動車船のイメージ

英語ではPCC (Pure Car Carrier)、PCTC (Pure Car and Truck Carrier) などと呼ばれます。

船の中は、巨大な立体駐車場のようになっています。

乗用車、トラック、建設機械などを積むこともあります。

日本は自動車産業が強い国なので、自動車船は日本の輸出を支える重要な船です。

見た目は、海に浮かぶ巨大な箱。

風を受けやすそうな、かなり特徴的な形をしています。

初めて見ると、

「え、これ本当に船?」

と思うかもしれません。

でもちゃんと走ります。

が、中は完全にだだっぴろい駐車場です。


コンテナ船

次にコンテナ船です。

これは比較的イメージしやすいかもしれません。

港に積み上がっている四角い箱。

あれがコンテナです。

コンテナ船のイメージ

コンテナの中には、本当にいろいろなモノが入っています。

衣類。
食品。
家具。
家電。
機械部品。
日用品。
危険物。

現代の物流は、このコンテナによって大きく効率化されました。

コンテナ船は、そのコンテナだけを大量(世界最大のものだと約24,000個!) に運ぶことのできる船で、国際物流の主役の一つです。

ネットで注文した商品が海外から届くとき、その裏側にコンテナ船がいることも多いです。

つまり、あなたが夜中にポチった何かも、もしかしたら私たち船乗りの誰かが運んでいたかもしれません。

深夜の衝動買いも、海運が支えています。


石油タンカー

次は石油タンカーです。

その名の通り、原油を運ぶ船です。

石油タンカーと石油製品

日本はエネルギー資源を海外に大きく依存しています。

特に原油については、中東地域への依存度が非常に高く、2023年度の原油輸入に占める中東地域の割合は94.7%とされています。

つまり、日本で使われるエネルギーのかなりの部分が、遠く離れた地域から船で運ばれてきます。

そこで重要になるのが、ホルムズ海峡のような海上交通の要衝です。

ニュースで「ホルムズ海峡」という言葉を聞いても、普段は少し遠い話に感じるかもしれません。

でも船乗りにとっては、実際に通る場所です。

私自身も、ホルムズ海峡を何度も通航してきました。

正直、ニュースで見るよりも、現場で通る方が何倍も緊張感があります。

地図上の細い線ではなく、本当に船が通る海です。


LNGタンカー

LNGタンカーは、液化天然ガスを運ぶ船です。

LNGタンカーとLNGの使用用途

LNGとは、天然ガスをマイナス162度程度まで冷やして液体にしたものです。

気体のままだと体積が大きすぎるため、液体にして運びます。

LNG船は、非常に特殊な船です。

超低温の貨物を安全に運ぶため、タンクや設備にも高度な技術が使われています。

見た目も特徴的で、丸いタンクが見えるタイプの船を見たことがある方もいるかもしれません。

日本の電力や都市ガスにも関係する重要な貨物です。

私もLNG船に乗っていた経験がありますが、他の船とはまた違った緊張感があります。

貨物がエネルギーそのものなので、

「これを安全に運ぶことが、日本の生活を支えることにつながっている」

という感覚は強かったです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にそういう仕事です。


船乗りは、海の上の現場職

船乗りという仕事は、少し特殊です。

職場は海の上。

通勤時間はゼロ。

ただし、一度乗ればしばらく家に帰れません。

船内で働き、船内で食べ、船内で寝ます。

職場と家が完全に一体化しています。

これは便利なようで、なかなか大変です。

「今日は仕事終わったから家に帰ろう」

がありません。

家も船です。

廊下を歩けば職場です。

窓の外を見れば海です。

そしてたまに、揺れます。

かなり揺れます。

それでも船は動き続けます。

貨物を積み、海を渡り、港に着き、荷物を揚げ、また次の港へ向かいます。

その繰り返しです。

派手ではありません。

でも、止められない仕事です。


なぜこの記事を書いたのか

私がこの記事を書いた理由は、船乗りという仕事の解像度を少しでも上げてもらいたかったからです。

私は今後、このnoteで投資やFIRE、資産形成について書いていきます。

ただ、単に

「投資しています」
「FIREを目指しています」
「S-REITを買っています」

だけでは、少し背景が見えにくいと思います。

私は船乗りとして働いてきました。

家族と長く離れる生活も、何度も経験しました。

世界中の港を回り、海峡を通り、エネルギーや物流の現場を見てきました。

だからこそ、

「家族との時間を大切にしたい」
「資産形成で人生の選択肢を増やしたい」
「ただお金を増やすだけでなく、時間の自由を得たい」

という思いがあります。

船乗りという仕事は、収入面では恵まれている部分もあります。

一方で、家族との時間を犠牲にする面もあります。

だから私は、資産形成を通じて、将来の時間の使い方を自分で選べるようになりたいと思っています。


まとめ

船乗りと聞くと、海賊や漁船を想像する方も多いかもしれません。

「船乗り?ワンピース?」

という方もいると思います。

でも実際には、日本の暮らしを支える貨物船に乗る船員もいます。

しかも外航日本人船員は、約2,000人ほど。

多いのか少ないのかで言えば、かなり少ないと思います。

その中で私は、約10年間、外航船に乗ってきました。

スエズ運河、パナマ運河、マゼラン海峡、シンガポール海峡、ホルムズ海峡。

世界地図で見るだけだった場所を、実際に船で通ってきました。

この経験があるからこそ、今後の発信にも少しだけ重みを感じてもらえたら嬉しいです。

もちろん、私はすべてを知っているわけではありません。

船の世界も広いです。

海運も奥が深いです。

ただ少なくとも、

「船乗りパパ」

という名前で発信する以上、

船乗りについては、多少は語れるつもりです。

多少どころか、少しはドヤ顔で語らせてください。

また機会があれば、それぞれの船についても、実体験を交えながら書いていきたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました。


引用元・参考資料

・国土交通省「安定的な国際海上輸送の確保」
日本の貿易量のうち、海上輸送が占める割合99.6%の根拠として参照。

・国土交通省「船員とは」
2024年時点の船員数、外航船員数の根拠として参照。

・国土交通省「海技免許受有者数(令和7年度末)」
海技士一級(航海)13,569人、海技士一級(機関)10,075人の根拠として参照。

・厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
全国の届出医師数347,772人の根拠として参照。

・日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2024年)」
弁護士数45,808人の根拠として参照。

・国土交通省「参考資料」
主要航空会社の操縦士総数7,091人の根拠として参照。

・資源エネルギー庁「第3節 一次エネルギーの動向」
2023年度の原油輸入に占める中東依存度94.7%の根拠として参照。

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