トーネード IDS / ECR(Panavia Tornado IDS / ECR)
経緯
1960年代の北大西洋条約機構の西ドイツ(当時)、オランダ、ベルギー、イタリア、カナダはF-104G スターファイターの後継の攻撃機の検討を行っていた。その結果、1968年1月に多任務航空機・MRA(Multi Role Aircraft)、後に多任務戦闘航空機・MRCA(Multi Role Combat Aircraft)の名称となる攻撃機の共同開発計画のワーキンググループが設置された。
イギリスはBAC TSR-2を1965年に開発中止し、F-111Kも1968年に開発中止、別途検討していたイギリス-フランス可変翼機(Anglo French Variable Geometry)計画も中止されたことから、改めてアブロ バルカンやブラックバーン バッカニアの後継機を選定する必要に迫られていた。イギリスは、1968年7月に参加覚書を交わしている。
1969年3月26日にイギリスのBAC、西ドイツのMBB、オランダのフォッカー、イタリアのフィアットの4社は西ドイツにパナヴィア・エアクラフト(Panavia Aircraft GmbH)を設立した。7月にはMRCA計画は6つの政府によって開始したものの、財政難を理由にベルギーとカナダが計画から脱退してしまった。後にベルギー空軍はジェネラル・ダイナミクスF-16 ファイティング・ファルコンをカナダ空軍はマクドネル・ダグラスF/A-18 ホーネットをそれぞれ選定した。しかし、10月にはMRCA計画の基礎が固まり、コストを抑えるため計画の進行に合わせて決定事項に署名する協定覚書をイギリス、西ドイツ、イタリアの3か国が準備して参加国に署名させた。
1969年7月にオランダのフォッカーが脱退したため、作業はイギリスと西ドイツが分割し、残りはイタリアが担当した。1970年にはパナヴィアと同様にイギリスのロールス・ロイス、西ドイツのMTU、イタリアのフィアットによってターボ・ユニオンが西ドイツで設立され、RB199ターボファンエンジンが開発された。
イギリスは将来的にF-4 ファントム IIに代わる防空戦闘機としての能力も欲していたため、イギリスは西ドイツとイタリアと単座にするか複座にするかで対立し、軍の要望によるECMの装備で価格が予定よりも高くなり、製造されたRB199 エンジンの性能不足などのトラブルも発生した。この戦闘機型の開発は、イギリスが独自に行うこととなり、後にトーネード ADVとして実用化されている。
試作機はイギリスで6機、西ドイツで6機、イタリアで3機の15機と地上試験用の1機を含めて計16機が製造された。西ドイツの試作機は1974年8月14日に初飛行を行い、同月にトーネードと命名された。西ドイツ空軍や西ドイツ海軍航空隊、イタリア空軍は単にトーネードと呼称したが、イギリス空軍は地上攻撃・偵察(Ground attack/Reconnaissance)の用途を想定していたことからトーネード GRの名称を使用し、IDSはパナヴィアが阻止攻撃(Interdictor-Strike)型として呼称した。イギリスの試作機は2ヶ月後の10月30日に初飛行したが、イタリアは導入を遅らせるために試作機が初飛行したのは1975年12月5日であった。
MRCA計画で必要となったのは、多種多様な兵装の装備を可能にすることであり、試作機はテスト飛行以外にもこれらの試験に使用された。試作機のP.06はマウザー BK-27機関砲の搭載試験を行い、他の試作機もナビゲート・システム、操縦系統などの試験が行われた。しかし、こういったテストを繰り返していたこともあって、4名の殉職者と共に2機の試作機が事故で失われた。
1976年7月にイギリス空軍、西ドイツ空軍向けのバッチ1の生産が承諾され、トーネードは本格的に配備に向けて動き出した。垂直尾翼の付け根にあるフェアリングの形状を変更した点と単純な試用改修を除けば、試作機から外見に目だった改良は行われていない。1979年にはイギリス向けの防空型(Air Defence Variant)、トーネード ADVの試作機が完成し、イギリス、西ドイツ、イタリアの三国共同訓練期間(TTTE)の覚書が署名された。1981年9月にはイタリア空軍向けのトーネードが生産された。
機体
STOL(短距離離着陸)性、経済性、運動性だけでなく速度性能も考慮して可変翼を装備した。また、STOL性を良くするために、重量増加と機構の複雑化を忍んでまで、戦闘機タイプの現代多用途機には珍しいスラストリバーサ(逆噴射装置)を取り付けている。その他の特徴としては、世界初採用はF-16 ファイティング・ファルコンに譲ったものの、早期にフライ・バイ・ワイヤを採用したことも特筆される。
また、上記どおり可変翼を装備しているが、主翼の角度に合わせて兵装パイロンの角度を変える翼角連動式のハードポイントを持っていて、主翼の後退角が変化しても兵装パイロンは常に進行方向を向く機構となっている。

スペック (RAF GR.4/IDS)
乗員: 2名(操縦士、兵装管制官)
ペイロード: 9,000kg (19,840lb)
全長: 16.72m (54.88ft)
翼幅: 13.91m(後退角25度)8.60m(後退角67度)
(45.63ft(後退角25度) 28.21 ft (後退角67度))
翼面積: 26,6㎡
空虚重量: 14,090kg (31,065lb)
最大離陸重量: 27,215kg (60,000lb)
動力: ターボ・ユニオン RB199-34R アフターバーナー付ターボファン
ドライ推力: 38.7kN (3,950kg) × 2
アフターバーナー使用時推力: 66kN (6,570kg) × 2
内部燃料搭載量:6,350kg
性能
最大速度: マッハ2.2 (1,450mph)
フェリー飛行時航続距離: 3,895km (2,105海里)
航続距離: 2,780km (1,500海里)
実用上昇限度: 15,240m (50,000ft)
推力重量比: 0.55
武装
固定武装: マウザー BK-27 27mm機関砲 × 2門
ハードポイント: 8箇所(ショルダー・レール含む)最大搭載量 9,000kg
ミサイル:
空対空ミサイル:AIM-9 サイドワインダー、IRIS-T、ASRAAM
空対艦ミサイル:ワスプ、AS.34 コルモラン、シーイーグル
空対地ミサイル:AGM-65 マーベリック、ブリムストーン
対レーダーミサイル:ALARM、AGM-88 HARM
巡航ミサイル:ストーム・シャドウ、KEPD 350
爆弾:
核爆弾:WE.177(英国版)、B61(独・伊、ニュークリア・シェアリングにより運用能力を付与)
クラスター爆弾:BL755(英国版)、JP233 ディスペンサー、MW-1ディスペンサー
誘導爆弾:ペイブウェイ・シリーズ、JDAM
アビオニクス
照準ポッド:TIALD(英国版)(英、LITENINGに更新済み) / LITENING(英・独・伊)/ ダモクル(サウジアラビア)
ECMポッド(左翼外側ハードポイントに装備):スカイシャドー(英国版)(英) / トーネード自衛妨害装置(ドイツ版)(独)
以上例によってほとんどwikiからの抜粋です。
NATOの中でアメリカ技術に対する依存が大きくなりすぎた事に対する危機感を覚えた西欧諸国が開発に乗り出した機体です。F-14以外にほとんど類を見ない可変後退翼、フライバイワイアの早期導入など、英国と西独の意地が垣間見える一品。こうした、拗らせた技術者魂は、爺の心に響くのです。NATOの中で王道をゆくアメリカ、独自路線にこだわるフランス、そして、自らの地位を死守しようとする英独伊・・・彼らの渾身の作品です。
