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2024年11月4日(月)|車窓の記憶と、繊細な熱量

10:00 今日から3日間、東京支社での管理職研修に参加するため出張に出る。 少し大きめのボストンバッグを片手に家を出る際、玄関で美嘉と軽いハグを交わした。いつもと変わらない、温かな妻の匂いがした。

新大阪駅から新幹線に乗り込み、予約していた指定席に深く腰を下ろす。 流れていく車窓の景色を眺めていると、ふと美嘉と初めて出会った頃の記憶が蘇ってきた。

出会いは私が30歳の時。友人に誘われて参加した合コンで、6人席の隅で大人しく座っていたのが美嘉だった。 その日はそれほど多く言葉を交わさなかったのだが、なぜか強く心が惹かれ、連絡先を交換したのがすべての始まりだった。 その後、何度か食事を重ねたものの、正式に付き合うことになったのは半年ほど経ってからだったと思う。 口数が少なくどこか奥手だった私の背中を美嘉がさりげなくリードしてくれ、初めて身体を重ねたのもその頃だった。

あの時、美嘉が少し照れくさそうに口にした言葉を、今でも鮮明に覚えている。

『――女性にだって、もちろん性欲はあるの。でもね、誰でもいいわけじゃないの。ちゃんと相性があって、同じことをされても身体が応える相手と、そうじゃない相手がいる。すごく繊細なものなのよ』

性に対して、そんな風に自分の言葉でまっすぐに語った女性は美嘉が初めてだった。

――車窓を見つめる私の胸に、苦い熱が渦巻く。 あの繊細な感覚を知っている美嘉が、なぜ洋平君にあんな動画を……?

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☕ 筆者のあとがき
最後までお読みいただきありがとうございます! 昨日の閑話休題(一人旅)を挟み、本日からは再び11月の物語へと戻ります。 東京出張に向かう新幹線の中、一人になって蘇る「妻・美嘉との出会いと、忘れられない会話」。 当時の美嘉が語った「女性の性に対する繊細な本音」を知っているからこそ、今起きている事態の不気味さと深みが際立ってきます。
東京に着いた主人公は、このあと三尾玲とどう接触するのか……? 物語がさらに加速していきますので、ぜひ「スキ」やフォローで応援していただけると嬉しいです!

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