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なぜフェブキソスタットはアザチオプリンと併用禁忌なのに、アロプリノールは禁忌ではないのか?

アザチオプリンの添付文書には、少し不思議な違いがあります。

* フェブキソスタット:併用禁忌
* アロプリノール:併用注意

しかし、どちらもキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬です。

しかもアロプリノールは、名前や構造から見てもプリン体に近い薬。むしろこちらも危険に見えます。

この違いは、どこから生まれたのでしょうか。

目次

1. アザチオプリンの代謝経路
2. アロプリノールでも相互作用は起こる
3. 構造の違いは関係あるのか
4. なぜ「禁忌」と「併用注意」に分かれたのか
5. 実際の減量方法
6. 処方監査で見るポイント

1.アザチオプリンの代謝経路

アザチオプリンは、体内で6-メルカプトプリン(6-MP)へ変換されます。

6-MPには、主に次の代謝経路があります。

アザチオプリン
 ↓
6-メルカプトプリン
 ├─ XO → 不活性な6-チオ尿酸
 └─ 活性化経路 → 6-TGN

6-TGNは免疫抑制作用を示す一方、増えすぎれば白血球減少や汎血球減少などの骨髄抑制につながります。

XOは、6-MPを不活性化する「逃がし道」のひとつです。

ところがXO阻害薬を併用すると、この逃がし道が塞がれます。

その結果、6-MPの血中濃度や活性代謝物が増加し、アザチオプリンの作用と毒性が増強されます。

2.アロプリノールでも相互作用は起こる

重要なのは、フェブキソスタットだけが危険なのではないということです。

アロプリノールもXOを阻害するため、アザチオプリンとの併用で重篤な骨髄抑制を起こす可能性があります。

実際、アロプリノールの添付文書には、

アザチオプリンまたはメルカプトプリンを通常投与量の1/3~1/4に減量する

と明記されています。

つまり、アロプリノールは「そのまま併用してよい薬」ではありません。

禁忌ではないだけで、無調整での併用は非常に危険です。

3.構造の違いは関係あるのか

アロプリノールは、ヒポキサンチンの構造異性体にあたるプリン類似薬です。活性代謝物のオキシプリノールとともにXOを阻害します。

一方、フェブキソスタットは非プリン型です。プリン体には似ていませんが、XOの活性部位へ強固に結合し、酸化型・還元型の両方を阻害します。

したがって、構造は大きく異なります。

しかし、今回の相互作用で重要なのは「アザチオプリンに構造が似ているか」ではありません。

両者が同じXOを阻害することが問題なのです。

名前や構造から「アロプリノールも危ないのでは?」と感じるのは、まさに正しい着眼点です。

4.なぜ「禁忌」と「併用注意」に分かれたのか

この差は、薬理学的な安全と危険の境界というより、使用されてきた歴史と管理方法の違いが大きいと考えられます。

アロプリノールは古くから使用され、アザチオプリンを1/3~1/4へ減量する具体的な管理方法が蓄積していました。

炎症性腸疾患などでは、アザチオプリンの代謝を調整する目的で「低用量アザチオプリン+アロプリノール」を意図的に使用する方法もあります。

一方、後から登場したフェブキソスタットには、安全に併用するための減量方法が設定されませんでした。

日本のフェブキソスタット添付文書も、

アロプリノールで6-MP濃度の上昇が知られており、本剤もXO阻害作用をもつため同様の可能性がある

ことを禁忌の根拠としています。

後年のヒト相互作用試験では、フェブキソスタット40mgまたは120mgの併用により、6-MPの見かけのクリアランスが約83%低下しました。

ただし、「フェブキソスタットの方が強力だから禁忌になった」とだけ説明するのは不十分です。

添付文書上の根拠そのものがアロプリノールであり、国内文献でも「根拠となったアロプリノールが併用注意のままなのは矛盾している」と問題提起されています。

つまり、

フェブキソスタットだけが危険なのではなく、アロプリノールには減量して管理する方法が残されている

という違いです。

5.実際の減量方法

アロプリノールを追加する場合、減量するのは原則としてアザチオプリン側です。

アロプリノール開始と同時に、アザチオプリンを通常量の25~33%へ減量します。

新しいアザチオプリン量
=従来量 × 0.25~0.33

従来の投与量 併用後の計算量
150mg/日 37.5~50mg/日
100mg/日 25~33mg/日
75mg/日 約19~25mg/日
50mg/日 12.5~17mg/日

実際の専門的な併用療法では、安全側の25%から開始する方法がよく用いられます。

例えばIBDでは、

* アザチオプリン:従来量の25~33%
* アロプリノール:100mg/日

という組み方が代表的です。

ただし、アロプリノールの投与量は腎機能や尿酸値によって調整が必要です。

また、アザチオプリン50mg/日を25mg/日へ減らしただけでは、まだ従来量の半分です。添付文書が求める1/3~1/4減量には届きません。

錠剤規格の問題もあるため、単純な錠数変更ではなく、処方医と具体的な投与設計を確認する必要があります。

6.処方監査で見るポイント

薬局で確認したいのは、次の3点です。

フェブキソスタット+アザチオプリン

添付文書上の併用禁忌です。疑義照会が必要です。

トピロキソスタットも同様に併用禁忌となっています。

アロプリノール+通常量のアザチオプリン

禁忌ではありませんが、そのまま併用してよいわけではありません。

* アザチオプリンが1/3~1/4に減量されているか
* 併用が意図的なものか
* 血算・肝機能検査の予定があるか

を確認します。

フェブキソスタットからアロプリノールへの変更

薬剤を変更しただけでは相互作用は解決しません。

アザチオプリンの減量まで行われて、初めて併用可能な設計になります。

併用開始後は、少なくとも投与初期に1~2週間ごとの血算・肝機能検査が必要です。専門的な併用療法では、最初の8週間を毎週~隔週で確認し、可能であれば6-TGN・6-MMPなどの代謝物も測定します。

まとめ

フェブキソスタットとアロプリノールは、構造こそ異なりますが、どちらも6-MPの不活化経路であるXOを阻害します。

したがって、アザチオプリンとの相互作用は両方にあります。

違いは、

* フェブキソスタット:減量併用法が設定されず、併用禁忌
* アロプリノール:アザチオプリンを1/3~1/4へ減量して併用可能

という添付文書上の管理方法です。

「禁忌ではない」という言葉を、「安全」と読み替えてはいけません。

むしろアロプリノールの方が、減量設計まで確認しなければならない組み合わせなのです。

参考文献

1. PMDA:イムラン錠50mg 添付文書
2. PMDA:アロプリノール錠 添付文書
3. PMDA:フェブキソスタット錠 添付文書
4. DailyMed:Febuxostat Prescribing Information
5. Takano Y, et al. Selectivity of febuxostat, a novel non-purine inhibitor of xanthine oxidase/xanthine dehydrogenase. Life Sci. 2005.
6. Turbayne AK, et al. Low-Dose Azathioprine in Combination with Allopurinol. 2022.
7. アザチオプリンとアロプリノールの併用は禁忌とすべきではないか

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