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日本は本当に安全な国なのか

今日は少し、立ち止まって考えてみたいことがあります。

「日本は安全な国です」

海外の方から、こう言われることがあります。たしかに、そう見える理由はあります。銃による事件は少ない。夜でも歩ける場所が多い。落とし物が戻ってくることもある。

なるほど。たしかに、それは事実の一部です。

しかし、ここで一つ、気になることがあります。

本当にそれだけで、「日本は安心して暮らせる国です」と言い切ってよいのでしょうか。

夜中に響くバイクの音。コンビニの駐車場にたまる若者たち。学校で起きるいじめ。SNSに投稿される迷惑行為。私有地に勝手に止められた車。

そして、殺人や強盗も、まったくないわけではありません。

つまり、日本には「安全に見える面」と、「安心できない現実」の両方があるんです。

今日は、その二つを分けて考えてみます。

「安全」と「安心」は同じではない

まず、ここが大事です。

「安全」と「安心」は、似ています。でも、同じではありません。

安全とは、実際に危険が少ないことです。たとえば、殺人事件が少ない。銃犯罪が少ない。強盗が少ない。これは数字で見ることができます。

一方、安心とは、暮らしている人が「こわくない」「困ったときに助けてもらえる」と感じられることです。

家の前に知らない車が勝手に止まっている。夜中にバイクの音で眠れない。子どもが学校でいじめられている。店の前に人がたまっていて入りづらい。

こういうことが続けば、大きな事件ではなくても、安心して暮らすのは難しくなります。

ここに、日本の治安を考えるうえでの大きな手がかりがあります。

日本は、数字の上では安全な面があります。

でも、暮らしの中で安心できるかどうかは、また別の問題なのです。

数字で見ると日本は安全な面がある

まず、公平に見ておきましょう。

日本は、海外と比べると安全な面があります。

警察庁の犯罪統計や、世界銀行の国際比較を見ると、日本の殺人率は多くの国より低い水準です。

殺人率とは、人口に対して殺人事件がどれくらい起きているかを見る数字です。

この数字が低いということは、命に関わる重大な犯罪が比較的少ないということです。

また、日本では銃を持つことが厳しく制限されています。ですから、銃を使った事件は、銃社会の国と比べればかなり少ないと言えます。

海外の人が「日本は安全だ」と感じるのは、ここを見ているからでしょう。

それは間違いではありません。

ただし、ここで話を終わらせてしまうと、大事なものを見落とします。

犯罪が少ないことと、犯罪がないことは違う

警察庁の「令和7年の犯罪情勢」、つまり2025年の統計によると、刑法犯の認知件数は約77万件でした。

刑法犯とは、殺人、強盗、窃盗、詐欺、傷害など、刑法に触れる犯罪のことです。

認知件数とは、警察が事件として把握した件数です。つまり、警察に届けられなかった被害までは、すべて含まれているとは限りません。

2025年の重要犯罪は約1万5千件でした。

重要犯罪とは、殺人、強盗、放火、不同意性交等や不同意わいせつといった性犯罪、略取誘拐など、特に重大な犯罪をまとめたものです。

その中で、殺人は976件、強盗は1428件とされています。

さて、ここです。

日本は海外より安全な部分がある。

しかし、日本に犯罪がないわけではない。

この二つは、同時に成り立ちます。

被害にあった人にとっては、「統計では少ないです」と言われても、それだけでは救われません。一件の事件でも、本人や家族の人生は大きく変わります。

だから、「海外よりましだから大丈夫」とは、簡単には言えないのです。

数字に出にくい不安がある

ここからは、数字だけでは見えにくい話です。

夜中の騒音。駐車場でのたむろ。いじめ。SNSでの迷惑動画。近所で続く小さなトラブル。

これらは、殺人や強盗ほど大きく扱われないかもしれません。

しかし、暮らしている人には重い問題です。

この「実際の犯罪件数」と「人が肌で感じる不安」の差を、体感治安と言います。

体感治安とは、簡単に言えば「数字ではなく、生活の中で感じる治安」です。

たとえば、全国的には犯罪が少なくても、自分の家の近くで迷惑行為が続けば、人は「治安が悪くなった」と感じます。

これは、わがままではありません。

生活している人の実感です。

いじめや少年非行は身近な問題

日本の安心を考えるとき、子どもたちの問題も外せません。

文部科学省の調査では、令和6年度のいじめの認知件数や重大事態の件数が過去最多とされています。

いじめの認知件数とは、学校などが「これはいじめだ」と確認した件数です。

ここで注意したいのは、件数が増えたからといって、単純に「子どもが昔より悪くなった」とは言えないことです。

今まで見逃されていたものを、学校がきちんと見つけるようになった面もあります。

しかし、それでも、いじめで苦しむ子どもがいることは事実です。

警察庁も、少年非行や子どもの性被害に関する統計を出しています。深夜のはいかい、喫煙、粗暴行為、SNSを通じた被害など、子どもをめぐる問題は今も続いています。

大人が「日本は安全だから大丈夫」と言っている間に、子どもが苦しんでいる。

もしそうなら、それは本当の安心とは言えません。

暴走族や迷惑行為も過去の話ではない

暴走族と聞くと、昔の話だと思う方もいるかもしれません。

たしかに、かつてのような大規模な暴走族は、地域によっては減っているでしょう。

しかし、夜中のバイク騒音、集団での危険運転、車やバイクの不正改造に悩む地域は今もあります。

騒音は、人を直接傷つける犯罪ではないかもしれません。

でも、眠れない。こわい。外に出にくい。子どもを外に出すのが不安になる。

これは、生活の安心を少しずつ削っていきます。

コンビニや公園、駐車場に人が集まって騒いでいる場合も同じです。

「何かされたわけではない。でも、近づきにくい」

この感覚は、軽く見ないほうがいいと思います。

SNSの迷惑行為は店も社会も傷つける

最近は、SNSに迷惑行為の動画を上げる人も問題になります。

いわゆる「バカッター」と呼ばれるような行為です。

店の商品や設備にいたずらをする。飲食店で不衛生な行為をする。それを撮影して投稿する。

本人は悪ふざけのつもりかもしれません。

しかし、店にとっては大問題です。信用が落ちます。お客さんが不安になります。場合によっては、大きな損害につながります。

一人の軽い気持ちが、多くの人の生活や仕事を壊すこともあります。

警察庁の警察白書でも、SNSを取り巻く犯罪や対策が取り上げられています。

今の治安は、道路や街だけの話ではありません。

インターネットの中にも広がっているのです。

警察がすぐ動けない場面がある

さて、ここで多くの人が思うはずです。

「では、警察がもっと動けばいいのではないか」

たしかに、そう感じる場面はあります。

ただ、ここにも一つ、見落としてはいけない点があります。

警察にも、できることとできないことがあります。

日本の警察は法律に基づいて動きます。法律で認められていないことを、警察が勝手に強制することはできません。

これは、私たちの自由や権利を守るためでもあります。

しかし、生活者から見ると、こう思う場面があります。

「なぜ、今困っているのに動いてくれないのか」

このズレが、治安への不満につながっているのです。

私有地の無断駐車は簡単に動かせない

たとえば、私有地の無断駐車です。

自宅の敷地や店の駐車場に、知らない車が勝手に止まっている。

これは腹が立ちます。すぐにどかしてほしい。警察に来てもらって、レッカー移動してほしい。

そう思うのは自然です。

しかし、私有地の問題は、基本的には土地の持ち主と車の持ち主の問題として扱われることがあります。

こうした個人同士、会社同士のもめごとを、民事の問題と言います。

民事とは、簡単に言えば「個人や会社どうしのもめごと」です。

警察は犯罪を取り締まる機関です。そのため、私有地への無断駐車が、すぐに犯罪事件として扱われるとは限りません。

大阪府の資料でも、私有地に置かれた放置自動車について、警察が原則として直接取り締まれない場合があることが説明されています。

ただし、盗難車の可能性がある場合や、犯罪に使われた可能性がある場合は、警察が対応することもあります。

つまり、警察が絶対に何もできないわけではありません。

でも、すぐに撤去してくれるとも限らない。

ここに、多くの人の不満があるのだと思います。

盗難自転車と放置自転車は別の問題

自転車の問題も、少し整理して考える必要があります。

自転車を盗まれた場合は、警察に被害届を出すことができます。

防犯登録カードや車体番号があれば、見つかったときに本人のものだと確認しやすくなります。

一方で、どこかに放置されている自転車を見つけた場合、それが盗難自転車なのか、ただの放置自転車なのか、すぐには分かりません。

また、放置自転車の撤去は、場所によって自治体が担当することもあります。

つまり、「盗まれた被害」と「放置されている迷惑」は、同じ自転車の話でも扱いが違うのです。

ここを一緒にしてしまうと、「警察は何もしてくれない」という不満だけが残ります。

本当に必要なのは、警察、自治体、地域が、それぞれ何を担当するのかを分かりやすく示すことではないでしょうか。

コンビニ駐車場のたむろは線引きが難しい

コンビニや店の駐車場に若者がたまっている。

これも、地域ではよくある悩みです。

大声で話す。ゴミを散らかす。バイクの音がうるさい。店に入りにくい雰囲気がある。

店の人も近所の人も困ります。

ただ、そこにいるだけでは、すぐに犯罪とは言えない場合があります。

警察が来ても、注意して終わることが多いのは、そのためです。

もちろん、暴力、脅し、器物損壊、営業妨害、深夜の少年補導などにつながる場合は別です。

しかし、犯罪になる前の迷惑行為に対して、警察がどこまで強く動けるのか。

ここは、とても難しい問題です。

強く取り締まってほしい人がいる。

一方で、何もしていない人まで取り締まるのは危ないという考えもある。

この両方を見ないといけません。

警察を強くすれば解決するのか

では、警察の権限をもっと強くすれば、すべて解決するのでしょうか。

ここは、慎重に考える必要があります。

困っている人がいるのは事実です。

無断駐車、迷惑行為、騒音、いじめ、非行。もっと早く動ける仕組みが必要な場面はあります。

しかし、警察の権限を強くしすぎると、別の不安も生まれます。

たとえば、警察官職務執行法には、警察官が職務質問できる場合が定められています。

職務質問とは、警察官が不審に思った人に声をかけ、質問することです。

犯罪を防ぐために必要な場合があります。

しかし、理由があいまいなまま何度も止められたり、見た目や国籍だけで疑われたりすれば、それは安心ではなく不安になります。

警察は必要です。

でも、警察が強くなりすぎる社会も、また安心とは言えません。

大事なのは、困っている人を守ること。

そして、普通に暮らしている人の自由も守ることです。

必要なのは安心できる仕組み

日本を本当に安心できる国にするには、警察だけに頼るのでは足りません。

法律、自治体、学校、店、地域、家庭。

それぞれが役割を持つ必要があります。

そして、困っている人が泣き寝入りしない仕組みを作ることが大切です。

私有地の無断駐車のように、現場では困っているのに、法律上はすぐに対応しにくい問題があります。

こうした問題は、今の制度で十分なのか、見直す余地があります。

もちろん、勝手に車を動かしたり、傷つけたりすることを認めるわけにはいきません。

しかし、悪質な無断駐車を繰り返す人に対して、土地の持ち主や店が弱い立場になりすぎるのも問題です。

いじめや少年非行も同じです。

警察が出てくる前に、学校や地域が早く気づける仕組みが必要です。

子どもの様子が変わった。学校に行きたがらない。夜に出歩くようになった。SNSで知らない人とつながっている。

こうした小さな変化を、見逃さないことです。

被害者を一人にしない

安心できる社会にするには、被害を受けた人を一人にしないことが大切です。

迷惑駐車なら、日時、車のナンバー、写真、状況を記録する。

騒音やたむろなら、いつ、どこで、何があったのかをメモする。

いじめなら、言われたこと、されたこと、日時、関係者を記録する。

SNSの迷惑投稿なら、画面を保存し、URLや投稿日時を控える。

こうした記録は、警察、学校、自治体、弁護士などに相談するときに役立ちます。

防犯カメラ、地域の見守り、店と警察の連携、学校と家庭の連絡も大切です。

「自分だけで何とかしてください」

これでは、安心できる社会とは言えません。

困ったときに相談できる。

記録をもとに動いてもらえる。

必要な相手につながれる。

そういう仕組みが必要なのです。

安全な国から安心できる国へ

日本は、海外と比べれば安全な面が多い国です。

殺人率は低く、銃犯罪も少ない。

これは大切な事実です。

しかし、それだけで「安心安全な国です」と言い切るのは、少し早いのではないでしょうか。

いじめがあります。少年非行があります。暴走行為や迷惑行為があります。SNSでの悪ふざけが店や社会に大きな迷惑をかけることもあります。私有地の無断駐車のように、被害を受けた側が困っているのに、すぐには解決しにくい問題もあります。

ここで必要なのは、「日本は安全か危険か」という二択ではありません。

日本には安全な面がある。

けれど、安心できない場面もある。

だから、もっと良くしていく必要がある。

そういう考え方です。

警察の役割を見直すこと。法律のすき間を考えること。学校や地域が早く気づくこと。被害者が泣き寝入りしない相談体制を作ること。

「海外よりましだから大丈夫」ではなく、「もっと安心して暮らせる国にするにはどうすればよいか」。

そこを考える時期に来ているのかもしれません。

さて、皆さんはどう思われますか。

日本は本当に安心できる国でしょうか。

それとも、まだ変えていくべきところがあるのでしょうか。

参考文献

警察庁「令和7年の犯罪情勢」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation/r7_hanzaijyousei__.pdf

警察庁「令和7年版 警察白書」
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r07/honbun/menu.html

e-Gov法令検索「警察官職務執行法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000136

大阪府「私有地における放置自動車の対応」
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/34815/privatesite.pdf

弁護士JPニュース「私有地の迷惑駐車」
https://www.ben54.jp/news/3406

奈良県警「自転車防犯登録」
https://www.police.pref.nara.jp/0000001222.html

文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm

警察庁「少年非行及び子供の性被害」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/syonen.html

法務省「令和7年版 犯罪白書」
https://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html

世界銀行「Intentional homicides - Japan」
https://data.worldbank.org/indicator/VC.IHR.PSRC.P5?locations=JP

OECD Well-being Data Monitor
https://www.oecd.org/en/data/tools/well-being-data-monitor/current-well-being.html

The Japan Times “Japan is safe. Why do the Japanese feel unsafe?”
https://www.japantimes.co.jp/news/2026/01/12/japan/society/japan-safety-security-crime/

Reddit r/japannews 該当スレッド(世論・体験談の参考。事実確認には使用していません)
https://www.reddit.com/r/japannews/comments/1qaua23/japan_is_safe_why_do_the_japanese_feel_unsafe/

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