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95の臨床試験、13万人超のデータが示す真実——それでもイベルメクチンは「馬の薬」と呼ばれ続けた

科学は疑問を持つことで進歩する。だが権威は、疑問を持つ者を罰することで延命する。

——リチャード・ファインマン(物理学者、ノーベル賞受賞者)

はじめに

あなたは2020年12月、テレビで上院の公聴会を見ていただろうか。ひとりの医師が、資料を積み上げ、声を震わせながら訴えた。「この薬は効きます。今すぐ承認すべきです」と。その訴えは全米に届き、動画は一晩で数百万回再生された。だが翌日、その動画は消された。医師の名はピエール・コリー。彼が訴えた薬の名は、イベルメクチンだった。

あなたもこう感じたことがあるかもしれない。「なぜ効果があるという論文が次々と出ているのに、使えないのか?」「なぜ医師が推奨しているのに、メディアは『馬の駆虫薬』と嘲笑うのか?」その違和感は、的外れではなかった。本書『The War on Ivermectin』(イベルメクチンへの戦争)は、その疑問に正面から答える。著者ピエール・コリー医師が、自らの闘いを通じて暴くのは、パンデミック下で起きた前例のない「科学の抑圧」の実態だ。

数百の臨床試験、13万人を超える患者データ、そして2億人超の州でコロナをほぼ根絶した実例——それらすべてが、意図的に無視され、歪められ、葬られていった。その背後にあったのは、製薬企業の利益、国際保健機関の政治、そしてメディアによる情報統制だった。この記事では、コリー医師の証言と記録をもとに、「なぜ有効な薬が使われなかったのか」という問いの核心に迫る。


書籍・著者紹介

書籍情報

  • タイトル:『The War on Ivermectin: The Medicine that Saved Millions and Could Have Ended the Pandemic』

  • 著者: ピエール・コリー(Pierre Kory, MD, MPA)、ジェナ・マッカーシー(Jenna McCarthy)共著

  • 出版年: 2023年

  • ページ数: 約400ページ

著者の専門性と背景
ピエール・コリー医師は、米国の肺・集中治療専門医であり、ウィスコンシン大学やベス・イスラエル病院など複数の医療機関で指導的立場を務めてきた。パンデミック初期には、重症患者の治療プロトコル「MATH+」を開発し、Front Line COVID-19 Critical Care Alliance(FLCCC)の創設メンバーとして世界的に知られる。(現在はIMA)彼の専門は、敗血症(sepsis)治療における高用量ビタミンC療法や、超音波診断技術の教育普及など多岐にわたる。本書は、コリー医師が自らの臨床経験と研究活動をもとに、イベルメクチンをめぐる三年間の闘争を記録したものである。

本書の位置づけと時代背景
本書は、パンデミック対応における「科学と政治の衝突」を克明に記録した第一級の証言録である。WHOやFDA、NIHといった国際・国家機関がどのように科学的証拠を無視し、製薬企業の利益に奉仕したのか——その過程を内部から描いた書は、今後の公衆衛生政策を考える上で欠かせない資料となるだろう。また、日本においても「なぜイベルメクチンが使えなかったのか」という疑問を持つ読者にとって、その答えを提供する重要な一冊である。

私にとっても、コリー医師の上院での発言、そしてイベルメクチンを巡る事件は、医療や社会の常識を疑い、より大きな計画、思想背景につながっていることを認識するきっかけとなった大きな出来事だった。本記事では、コリー医師の書籍を紹介するものだが、過去の関連ツイートも多数紹介している。


2020年12月、ある医師が上院で訴えたこと

真実を語ることは革命的行為である。腐敗した時代においては。

——ジョージ・オーウェル(作家)

2020年12月8日、米国上院の国土安全保障委員会でひとりの医師が証言台に立った。ピエール・コリー医師は、資料の山を前に、抑えきれない感情をにじませながら語り始めた。「イベルメクチンは効きます。今すぐ承認すべきです」——その言葉は、YouTubeで一夜にして数百万回再生され、世界中に拡散した。だが翌日、その動画は削除された。

コリー医師が訴えたのは、安価で安全性の確立された既存薬イベルメクチンが、コロナ治療に劇的な効果を示しているという事実だった。彼が提示したデータは明快だった。複数の臨床試験で、イベルメクチン投与群は対照群に比べ、入院率が52〜76%減少し、死亡率は75%低下していた。予防効果も顕著で、89%の感染予防効果が確認されていた。

証言の中で、コリー医師はメキシコシティの公衆衛生プログラムに言及した。8万3000人にイベルメクチンを配布した結果、入院率が劇的に低下し、わずか16人が入院、2人のみが死亡した。99.3%の患者が入院を回避したのである。さらに、南米ペルーのウッタル・プラデーシュ州では、イベルメクチンの大規模配布後、症例数と死亡数が急激に減少した。これらは単なる「希望的観測」ではなく、数万人規模の実証データだった。

しかし、コリー医師の証言に対する反応は、科学的議論ではなく政治的攻撃だった。民主党の委員は「科学的根拠が不十分」と一蹴し、証言の途中で退席した。主流メディアは彼を「右翼の異端医師」と報じ、彼の経歴や研究実績には一切触れなかった。YouTubeは証言動画を削除し、Twitterは彼のアカウントを一時凍結した。

この時点で、コリー医師はまだ知らなかった。彼が直面していたのは、単なる「科学的論争」ではなく、製薬産業の利益を守るための組織的な情報戦だったことを。イベルメクチンが広く使われれば、ワクチンの緊急使用許可(EUA)は取り消される可能性があった。なぜなら、EUAは「他に有効な治療法が存在しない」ことが前提条件だからだ。つまり、イベルメクチンの有効性を認めることは、数千億ドル規模のワクチン市場を崩壊させることを意味した。

コリー医師の証言は、後に「Lucky Pierre(幸運なピエール)」と皮肉交じりに呼ばれることになる彼の闘いの序章に過ぎなかった。彼はこの後、三つの職を失い、医療界から追放され、家族との時間を犠牲にしながら、世界中で講演と研究を続けることになる。そして彼が目にしたのは、科学が政治とカネに屈服する瞬間だった。


「動かぬ証拠の山」が無視された理由

科学における真実とは、多数決で決まるものではない。ただひとつの実験が、千の理論を覆す。

——アルベルト・アインシュタイン

2023年時点で、イベルメクチンに関する臨床試験は95件、対象患者数は13万4554人に達している。27カ国、1023人の科学者が関与したこれらの研究は、予防、早期治療、重症化予防のすべての段階で統計的に有意な効果を示している。メタアナリシス(複数研究の統合分析)では、早期治療で83%、重症化予防で51%、予防効果で89%の改善が確認された。

この数字の意味を理解するために、比較対象を見てみよう。ファイザーのパクスロビド(Paxlovid)は、たった1件のRCT(ランダム化比較試験)で緊急使用許可を得た。レムデシビル(remdesivir)も同様である。つまり、イベルメクチンは彼らの95倍の研究で効果が確認されているにもかかわらず、「証拠不十分」とされたのだ。

さらに驚くべきは、日本の抗生物質研究の権威、大村智教授のチームが2021年に発表した論文である。彼らは42件の臨床試験(患者数1万4906人)を分析し、こう結論づけた。「イベルメクチンの臨床効果が誤りである確率は、4兆分の1である」※。これは統計学的に「ほぼ確実」を意味する数値だ。だが、この論文も主流メディアでは報じられなかった。

※大村智教授は、イベルメクチンの発見により2015年にノーベル医学・生理学賞を受賞した日本人科学者である。

では、なぜこれほどの証拠が無視されたのか。答えは、WHO(世界保健機関)のガイドラインにある。WHOは2021年3月31日、「イベルメクチンは臨床試験以外での使用を推奨しない」と発表した。この勧告は、世界中の医療政策に影響を与え、日本を含む多くの国でイベルメクチンの使用が事実上禁止された。

しかし、WHOのガイドライン作成を主導したアンドリュー・オーウェン教授は、利益相反まみれだった。彼はメルク社(イベルメクチンの競合薬を開発)、ファイザー、ギリアド社(レムデシビルの製造元)から資金提供を受けていた。さらに、彼の所属するリバプール大学は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から4000万ドルの助成金を受け取っていた。ゲイツ財団は、ワクチン普及を最優先する組織である。

WHOのガイドライン文書には、こんな一文がある。「イベルメクチンによる死亡率の81%減少が確認されたが、証拠の確実性は『非常に低い』と判断した」。つまり、効果は認めながら推奨しないという矛盾した結論を出したのである。

この決定に対し、コリー医師は反論文書(ホワイトペーパー)を公表した。彼はWHOが恣意的に試験を除外し、質の高い研究を「低品質」と格下げし、逆に製薬企業が資金提供した試験を「高品質」と評価したことを暴いた。だが、主流メディアはこの文書を取り上げなかった。

一方で、製薬企業が資金提供した「Big Six(ビッグ・シックス)」と呼ばれる6つの大規模試験が次々と発表された。これらはすべて「イベルメクチンは無効」という結論を出した。だが、コリー医師らの分析によれば、これらの試験には致命的な設計上の欠陥があった。

たとえば、投与量が異常に低い設定だった。効果が確認されている用量の半分以下で試験を行い、「効果がなかった」と結論づけたのである。また、投与タイミングも意図的に遅らせた。ファイザーのパクスロビド試験では症状発現後2日以内に投与したのに対し、イベルメクチン試験では7〜14日後の投与だった。重症化してから薬を投与し、「効かなかった」と主張する——これは科学的欺瞞である。

さらに、対照群(プラセボ群)にも問題があった。南米で行われた複数の試験では、イベルメクチンが市販されており、対照群の患者が自主的に購入して服用していた可能性が高い。つまり、「イベルメクチン vs. イベルメクチン」の比較になっていた可能性がある。これでは差が出ないのは当然だ。

最も露骨だったのは、NIH(米国立衛生研究所)が資金提供したACTIV-6試験である。この試験では、当初設定した「14日後の回復率」で統計的に有意な改善が確認された。ところが、試験途中で主要評価項目を「28日後の回復率」に変更し、統計的有意性を消失させたのである。これは研究倫理上の「never event(決してやってはいけないこと)」だ。

このような操作が繰り返された結果、主流メディアは「イベルメクチンは無効と証明された」と報じた。だが、独立系の統計学者グループ「c19early.org」は、すべての試験データを再分析し、こう結論づけた。「イベルメクチンの有効性を消すには、95件の試験のうち60件を除外する必要がある。逆に、批判者が『問題あり』と指摘した試験をすべて除外しても、効果の統計的有意性は変わらない」。

つまり、「証拠不十分」という主張は、科学的根拠ではなく、政治的判断だったのである。


アンディ・ヒルとWHO——ある科学者の変節

金で買えないものは、恐怖で封じ込める。それが権力の本質だ。

——ノーム・チョムスキー(言語学者、社会批評家)

アンディ・ヒル(Andrew Hill)という名の研究者がいる。彼はリバプール大学の感染症専門家であり、WHO(世界保健機関)とUnitaid(ユニットエイド、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金提供する国際保健機関)に雇われ、再利用薬(repurposed drugs)の臨床試験データを収集・分析する役割を担っていた。2020年末、彼はイベルメクチンに関する11件のRCT(ランダム化比較試験)を分析し、驚くべき結果を得た。死亡率が75%減少していたのである。

ヒルはこの結果に興奮し、2020年12月、フランスのバイオテック企業MedinCellが主催する国際会議で発表した。彼は講演の中で、こう述べた。「明確な抗ウイルス効果が見られる。投与量が増えるほど効果も増大する。これは薬が実際にウイルスの複製を止めている証拠だ。承認されるのは時間の問題だろう」。

コリー医師はこの講演を知り、すぐにヒルに連絡を取った。彼らは意気投合し、協力してイベルメクチンの証拠を世界に広めることを約束した。ヒルはWHOという「権威」の立場から、コリー医師はFLCCC(Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)という臨床最前線から——両者が手を組めば、イベルメクチンの承認は確実だと思われた。

だが、2021年1月16日、ヒルはプレプリントサーバー(査読前論文公開サイト)に論文を投稿した。その内容は、驚くべきものだった。データはポジティブだったにもかかわらず、結論は否定的だったのである。彼は「イベルメクチンの効果は不確実であり、さらなる大規模試験が必要だ」と記した。さらに、「標準的な用量では有効な血中濃度に達しない可能性がある」という、すでに反駁されていた主張を繰り返した。

コリー医師とポール・マリク医師は激怒し、ヒルに詳細な批判文書を送った。「なぜデータと結論が矛盾しているのか」「誰がこの結論を書いたのか」——ヒルは返事をしなかった。そこで、英国の医師テス・ローリー(Tess Lawrie)が動いた。彼女は独立系の証拠評価の専門家であり、コクラン・ライブラリ(Cochrane Library、医学的証拠の最高権威とされるデータベース)に多数のレビューを執筆してきた実績を持つ。

ローリー医師はヒルにZoom会議を申し込み、その通話を録音した。この録音は後に公開され、衝撃を与えることになる。ヒルは通話の中で、こう認めたのである。

「私のスポンサー(Unitaid)が、結論に影響を与えました」

ローリー医師は問い詰めた。「誰が結論を書いたのですか?」ヒルは答えを濁した。だが、後の調査で判明した事実は、さらに衝撃的だった。

ヒルの論文PDFファイルのメタデータを解析したジャーナリスト、フィル・ハーパー(Phil Harper)は、驚くべきことに気づいた。論文は、ヒルのPCではなく、リバプール大学のアンドリュー・オーウェン教授のPCで最終編集されていたのである。オーウェンは、WHOのイベルメクチン評価委員会の責任者だった。

そして、オーウェンの利益相反は凄まじかった。彼は以下の企業・組織から資金提供を受けていた。

  • メルク社(イベルメクチンの競合薬モルヌピラビルを開発)

  • ファイザー、ギリアド(レムデシビル製造元)、ヤンセン、グラクソ・スミスクライン

  • ViiV Healthcare(抗HIV薬メーカー)

  • Unitaid(ゲイツ財団が資金提供)から、4000万ドルの研究助成金

さらに、オーウェンはCELT(Centre for Excellence in Long-Acting Therapeutics、長時間作用型治療薬研究センター)のプロジェクトリーダーであり、このセンターはUnitaidから資金を得ていた。CELTは、mRNAワクチンの基盤技術である脂質ナノ粒子(lipid nanoparticles)を研究していた。つまり、オーウェンはワクチン技術への投資者でもあったのだ。

そして、驚くべきことに、WHO(世界保健機関)は、このオーウェンに「イベルメクチンの証拠評価」を任せた。WHOのガイドライン文書には、こう記されている。「ウェブ検索の結果、利益相反は発見されなかった」。

これは虚偽である。オーウェンの利益相反は、彼の所属大学の公式ウェブサイトに明記されていた。にもかかわらず、WHOは「利益相反なし」と記載した。

ヒルの論文が公開された後、Unitaidとの契約は2021年4月1日に終了した。その後、ヒルは独立系の資金提供を受け、改めてメタアナリシスを行った。今度のスポンサーは、レインウォーター財団(Rainwater Foundation、製薬企業と無関係の慈善団体)だった。

2021年7月、ヒルは新たな論文を発表した。今度は23件のRCTを分析し、こう結論づけた。「イベルメクチンは、炎症マーカーの減少、ウイルス消失の加速、入院期間の短縮、そして死亡率の統計的に有意な低下をもたらす」。

つまり、ヒルはスポンサーが変わった瞬間、データに忠実な結論を出したのである。だが、主流メディアはこの論文を完全に無視した。ニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストもCNNも、一言も報じなかった。一方、2021年1月の否定的な論文(Unitaid資金下)が出たときは、即座に「イベルメクチンは無効と証明された」という見出しが世界中を駆け巡った。

この一連の出来事が示すのは、単純な事実である。科学は、カネを出す者によって書き換えられる。そして、WHOという「権威」は、その書き換えを正当化する道具に過ぎなかった。

「偽造試験」ビッグ・シックス——どうやって証拠を消したか

嘘は真実よりも速く走る。なぜなら、真実は靴を履くのに時間がかかるからだ。

——マーク・トウェイン(作家)

2021年から2023年にかけて、イベルメクチンを「無効」と結論づける6つの大規模臨床試験が、次々と一流医学誌に発表された。これらは「ビッグ・シックス(Big Six)」と呼ばれ、世界中のメディアで「決定的証拠」として報じられた。だが、独立系の研究者たちがこれらの試験を精査した結果、驚くべき事実が判明した。すべての試験に、致命的な設計上の欠陥があったのである。

6つの試験とは、以下である。

  1. Lopez-Medina試験(コロンビア、2021年3月、JAMA誌)

  2. I-Tech試験(マレーシア、2021年)

  3. TOGETHER試験(ブラジル、2022年2月、NEJM誌)

  4. COVID-OUT試験(米国、2022年5月)

  5. ACTIV-6(400mg)試験(米国、2022年10月)

  6. ACTIV-6(600mg)試験(米国、2023年2月)

これらの試験には、共通する不正手法があった。以下、その詳細を見ていこう。

手法1:対照群にもイベルメクチンを投与する

最も露骨だったのは、Lopez-Medina試験である。この試験はコロンビアで行われ、JAMAという米国医師会の最高権威誌に掲載された。だが、論文には驚くべき記述があった。「薬剤師のミスにより、プラセボ群に誤ってイベルメクチンが投与された期間があった」。

つまり、両群ともイベルメクチンを服用していた可能性がある。これでは「イベルメクチン vs. プラセボ」ではなく、「イベルメクチン vs. イベルメクチン」の比較になる。当然、差は出ない。

さらに、南米で行われた複数の試験では、イベルメクチンが薬局で市販されていた。対照群の患者が自主的に購入して服用していた可能性が高いが、試験実施者は「服用していないか」を確認しなかった。これは、意図的な試験妨害である。

手法2:軽症患者のみを対象にして、効果を見えなくする

ビッグ・シックス試験の多くは、軽症患者のみを対象にした。イベルメクチンは、重症化予防に最も効果を発揮する。軽症患者の大半は、何もしなくても自然に回復する。そのため、軽症者だけを対象にすると、「差が出ない」という結果になりやすい。

これは、「風邪薬の効果を検証するために、風邪をひいていない人に投与する」ようなものだ。当然、効果は確認できない。

手法3:投与量を意図的に低くする

6つの試験すべてで、投与量が異常に低く設定されていた。FLCCCやその他の臨床医が推奨する用量は、体重1kgあたり0.4〜0.6mg、重症例では0.6〜0.9mgである。だが、ビッグ・シックス試験では、多くが0.2〜0.3mg程度だった。

さらに悪質なのは、体重制限を設けたことである。たとえば、TOGETHER試験では「体重90kg以上の患者には、90kg分の用量しか投与しない」というルールが適用された。肥満患者は重症化リスクが高いため、最も治療が必要な層である。にもかかわらず、彼らには不十分な用量しか与えられなかった。これは「脱水症状の患者にコップ半分の水を与えて、『水は効かない』と結論づける」ようなものだ。

手法4:空腹時に投与して、吸収を妨げる

イベルメクチンは脂溶性の薬剤であり、食事と一緒に服用すると血中濃度が2〜3倍に上昇することが知られている。FLCCCは当初から「食後の服用」を推奨していた。だが、ビッグ・シックス試験の多くは、空腹時投与を指示した。

これは明らかに吸収を妨げるための操作である。にもかかわらず、論文にはこの点が「制限事項」として記載されなかった。

手法5:投与を遅らせる

ファイザーのパクスロビド(Paxlovid)試験では、症状発現後平均2日以内に投与が開始された。メルク社のモルヌピラビル(molnupiravir)試験では、2万5000人を平均2日で登録し、迅速に投与を開始した。これは驚異的なスピードである。

ところが、イベルメクチン試験では、7〜14日後の投与が許容された。オックスフォード大学のPRINCIPLE試験に至っては、症状発現から14日後までの患者を登録した。14日後とは、すでに重症化が進行している時期である。

ウイルス性疾患の治療は、早期介入が鉄則だ。遅れれば遅れるほど、効果は減少する。にもかかわらず、イベルメクチン試験だけが意図的に遅延させられた。

手法6:試験の途中で評価項目を変更する

最も露骨だったのは、NIH(米国立衛生研究所)が資金提供したACTIV-6試験である。当初、主要評価項目は「14日後の回復率」に設定されていた。ところが、14日後の時点で、イベルメクチン群が統計的に有意な改善を示したため、試験実施者は評価項目を「28日後の回復率」に変更した。

28日後には、両群とも回復していたため、差は縮小し、統計的有意性が消失した。これは研究倫理上の「never event(決してやってはいけないこと)」である。試験の途中で評価項目を変更することは、科学的詐欺に等しい。

だが、NIHはこの変更を「正当な修正」として発表し、論文は一流誌に掲載された。主流メディアは「イベルメクチンは無効と証明された」と報じた。

手法7:データ公開を拒否

すべての試験に共通するもうひとつの問題は、個別患者データ(IPD)の非公開である。科学的透明性を確保するため、臨床試験のデータは公開されるべきだとされている。実際、ビッグ・シックス試験の多くは、論文中で「データは公開される」と明記していた。

だが、複数の独立系研究者がデータ公開を要請したにもかかわらず、誰一人として応じなかった。特に、TOGETHER試験の主任研究者エド・ミルズ(Ed Mills)は、プロトコル(研究計画書)に「試験終了後にデータを公開する」と明記していたにもかかわらず、2年以上経った今も公開していない。

これは何を意味するのか。データを公開すれば、不正が露見する可能性があるからだ。実際、c19early.orgという独立系統計学者グループが、公開されているデータだけで再分析を行った結果、ビッグ・シックス試験を除外しても、イベルメクチンの有効性は変わらないことが判明した。逆に、ビッグ・シックス試験を除外すると、効果の統計的有意性はむしろ強まるという結果が出た。

つまり、ビッグ・シックス試験は、イベルメクチンの効果を意図的に隠蔽するために設計されたのである。

利益相反の嵐

では、これらの試験を実施したのは誰か。答えは、製薬企業と密接な関係を持つ研究者たちである。

  • TOGETHER試験のエド・ミルズは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金提供を受けていた(後に論文から削除)。

  • ACTIV-6試験の主任研究者スザンナ・ナギー(Susanna Naggie)は、ギリアド(レムデシビル製造元)、Vir Biotechnology(モノクローナル抗体開発企業)の株式を保有し、複数の製薬企業から個人的な報酬を受け取っていた。

  • Lopez-Medina試験の共同研究者には、ファイザーのコンサルタントが含まれていた。

そして、すべての試験に共通するのは、イベルメクチンの競合製品を扱う企業との利益相反である。

一方、イベルメクチンの有効性を示した90件以上の試験のうち、利益相反を申告した研究者はわずか1件だった。つまり、ポジティブな試験は独立系研究者が行い、ネガティブな試験は製薬企業の資金で行われた——この構図が、すべてを物語っている。

メディアの共犯

ビッグ・シックス試験が発表されるたびに、世界中のメディアは「イベルメクチンは無効と証明された」という見出しを掲げた。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN、BBC——すべてが同じ論調を繰り返した。

だが、アンディ・ヒルの独立系メタアナリシス(23件のRCT、死亡率の大幅低下を確認)が発表されたとき、主流メディアは一切報じなかった。オックスフォード大学PRINCIPLE試験の結果が2年以上公表されないという異常事態についても、誰も追及しなかった。

これは、単なる「報道の偏り」ではない。組織的な情報統制である。そして、その背後にいるのは、ワクチン市場を守りたい製薬企業と、その利益に奉仕する「権威」たちだった。

ウッタル・プラデーシュの奇跡——2億人がコロナを克服した理由

政治は科学を無視できるが、現実は政治を無視しない。

——カール・セーガン(天文学者)

インド北部、ウッタル・プラデーシュ州(Uttar Pradesh、以下UP州)。人口2億3100万人、英国と同じ面積を持つこの州は、2021年春、デルタ変異株の猛威に直面していた。隣接するデリーやムンバイでは病院が崩壊し、酸素ボンベが不足し、火葬場が遺体を処理しきれない状況だった。UP州にも、都市部から逃れた数百万人の出稼ぎ労働者が流入し、感染は急速に拡大した。

だが、UP州は他のインド諸州とはまったく異なる道を選んだ。州首相ヨギ・アディティヤナート(Yogi Adityanath)が率いる「チーム11(Team 11)」と呼ばれる対策チームは、大規模なイベルメクチン配布プログラムを実施した。結果は、歴史的なものだった。2021年9月までに、UP州はコロナをほぼ根絶したのである。

州首相ヨギ・アディティヤナート(中央)

プログラムの全貌

UP州の戦略は、「TTT(Test-Track-Treat、検査・追跡・治療)」と呼ばれた。その中核にあったのは、イベルメクチンである。

  • 2020年8月、UP州はハイドロキシクロロキンからイベルメクチンに切り替えた。

  • 州内の100万人以上の医療従事者に、予防的イベルメクチンを2週間ごとに配布した。

  • 陽性患者には、12mgのイベルメクチンを3日間投与し、症状に応じて再評価した。

  • 陽性患者の濃厚接触者にも、予防的イベルメクチンを配布した。

  • 40万人の医療ワーカーが家庭を訪問し、迅速抗原検査を実施した。

  • バスステーション、空港、駅で、流入する労働者をスクリーニングし、陽性者には即座に「医療キット」を配布した。この医療キットには、イベルメクチン、デキサメタゾン(ステロイド)、アスピリン、抗凝固薬が含まれていた。

2021年4月17日、UP州政府は主要新聞に「7つの推奨薬」を公表し、イベルメクチンの服用方法を明記した。「食後に服用すること」——FLCCCの推奨と同じである。

結果:感染爆発から根絶まで

2021年3月19日、UP州の1日あたり症例数は300件だった。4月下旬には4万件に急増した。デルタ変異株の猛威である。だが、イベルメクチン配布が本格化すると、状況は劇的に変わった。

  • 5月12日:症例数が1万8023件に減少

  • 5月30日:症例数が600件以下に減少

  • 9月10日:州内75地区のうち67地区で新規症例ゼロ、33地区で「アクティブケース(現在の患者数)ゼロ」を達成

  • 州全体のアクティブケース数:199人(2億3100万人中)

  • 陽性率:0.004%(22万6000件の検査中、11件陽性)

これは、事実上の根絶である。同時期、イベルメクチンを拒否したケララ州では、陽性率が**19.7%**だった。デリーやムンバイでは、ロックダウンを繰り返しても感染は止まらなかった。だが、UP州は、薬剤による介入で制圧したのである。

WHOの奇妙な沈黙

UP州の成功は、世界的なニュースになるはずだった。だが、国際メディアはほぼ完全に無視した。それどころか、WHOは2回にわたり、UP州のプログラムを称賛する報告書を発表した——ただし、イベルメクチンについては一言も触れなかった

2020年11月、WHOは「Learnings from Uttar Pradesh(ウッタル・プラデーシュからの学び)」という文書を公表した。この文書は、UP州の「包括的で洗練されたTTTプログラム」を絶賛した。だが、「治療(Treat)」の中身については、こう記すのみだった。「陽性者には迅速に隔離され、疾病管理のアドバイスとともに医療キットが提供された」。

医療キットの中身は書かれなかった。

2021年9月、UP州がコロナをほぼ根絶した後、WHOは再び報告書を発表した。今度も、イベルメクチンについては触れられなかった。代わりに、「検査と接触者追跡の成功」が強調された。

一方、インド国内メディアも奇妙な沈黙を守った。地元紙『ヒンドゥスタン・タイムズ』は9月21日、UP州の成功を報じたが、「ワクチン接種の効果」と記した。だが、当時のUP州のワクチン完全接種率は、わずか10%だった。ワクチンで説明できるはずがない。

メディアが報じなかった真実

UP州の成功を報じた数少ない国際メディアのひとつが、元オーストラリア議員クレイグ・ケリー(Craig Kelly)だった。彼はTwitterで、こう皮肉った。「オーストラリアの『絶望的に無能な州首相たち』を、UP州首相アディティヤナートと交換できないだろうか」。

クレイグ・ケリー

すると、UP州首相府の公式アカウントが返信した。「私たちは喜んであなたをホストし、ベストプラクティスを共有します。協力しましょう」。

だが、オーストラリア政府はこの申し出を無視した。

同じ頃、インド政府の最高医学機関AIIMS(All India Institute of Medical Sciences)とICMR(Indian Council of Medical Research)は、国家ガイドラインにイベルメクチンを追加した。2021年4月22日、軽症から中等症の患者に「イベルメクチンを3〜5日間投与すべき」と推奨したのである。

ところが、その2週間後、インド保健省の一部門DGHS(Directorate General of Health Services)が「イベルメクチンを推奨しない」という公報を発表した。DGHSは技術的助言機関に過ぎず、政策決定権はないにもかかわらず、この公報はメディアで大きく取り上げられた。

そして、決定的な出来事が起きた。2021年9月末、ビル・ゲイツがインドのモディ首相と会談した。会談の2日後、インド政府はイベルメクチンとHCQを国家ガイドラインから削除したのである。


証言——「この薬が夫を救った」

統計は人々を隠す。だが、物語は人々を見せる。

——レベッカ・ソルニット(作家、歴史家)

コリー医師のもとには、世界中から数千通のメールが届いた。その多くは、「イベルメクチンが家族を救った」という感謝の言葉だった。だが、同じくらい多かったのは、「病院が投与を拒否し、家族が亡くなった」という悲痛な訴えだった。以下、本書に収録された証言の一部を紹介する。

「父が奇跡的に回復した」

ある男性の父親(72歳、心房細動と高血圧の既往)が、家族全員とともにコロナに感染した。父親は血液凝固を防ぐ抗凝固薬(ワルファリン)を服用していたため、家族はイベルメクチンの使用を躊躇した。だが、症状が悪化し、男性はコリー医師にメールを送った。

「父はすでに5日目で、かなり苦しんでいます。イベルメクチンを飲ませても大丈夫でしょうか」

コリー医師は6時間以内に返信した。「抗凝固薬との併用は問題ない。今すぐ服用させるべきだ」。

男性は南アフリカの医師を探し、ようやくイベルメクチンを処方してもらった。父親は服用後、一晩で劇的に改善した。「呼吸音が変わり、表情が明るくなった。もし投与が遅れていたら、間違いなく入院していただろう」。

男性は手紙の最後に、こう記した。「メディアがこの薬をどれほど悪く言おうと、私たち家族は真実を知っています。この薬が父を救ったのです」。

「父を病院で失った」

ある男性の父親は、テネシー大学病院に入院中、重症化した。息子は医師にイベルメクチンの投与を懇願したが、拒否された。医師は「臨床試験がない」と繰り返すのみだった。

息子は、ポール・マリク医師の論文とFLCCCプロトコルを印刷して病院に持参したが、医師は「マリク? 彼は店員かもしれない」と嘲笑した。

絶望した息子は、イベルメクチンを密かに病院に持ち込み、父親のミルクシェイクに混ぜて飲ませた。火曜日に投与し、水曜日には酸素流量が25Lから10Lに減少した。木曜日に再度投与すると、金曜日には酸素流量が2Lまで低下した。

息子は後に、涙ながらにこう語った。「もし最初からイベルメクチンを投与できていたら、父はもっと早く回復していただろう。あの肺専門医は、父から学ぶ機会を逃したのです」。

「夫はICUから生還した」

ある女性の夫が、大学病院のICUで人工呼吸器につながれた。医師は「肺の瘢痕がひどく、生存の見込みは低い」と告げ、ホスピスケア(終末期医療)の準備を始めた。

妻は弁護士ラルフ・ロリゴ(Ralph Lorigo)に連絡し、裁判所命令でイベルメクチンの投与を勝ち取った。だが、病院は命令を無視した。裁判官は病院に1日5000ドルの罰金を科し、ようやく投与が始まった。

夫は48時間以内に劇的に改善し、人工呼吸器から離脱した。退院後、妻はこう語った。「夫は『奇跡的な回復』と呼ばれています。でも、奇跡ではありません。ただの医学です」。

統計の裏に隠された人生

弁護士ラルフ・ロリゴは、2021年だけで200件以上のイベルメクチン裁判を担当した。そのうち80件が裁判所命令にまで至った。結果は驚くべきものだった。

  • 裁判に勝訴した40件:死亡は2件のみ(死亡率5%)

  • 裁判に敗訴した40件:死亡は39件(死亡率97.5%)

つまり、裁判に勝つか負けるかで、生死が決まったのである。

ロチェスター医療センターでは、ロリゴが担当した6件の裁判のうち、勝訴した3件はすべて生存し、敗訴した3件はすべて死亡した。

これらの数字が示すのは、単純な事実である。イベルメクチンは効く。だが、それを使わせないシステムが、人々を殺したのだ。

ラルフ・ロリゴ

なぜ日本では使われなかったのか——権威と保身の連鎖

権威は、真実を守るためではなく、権威自身を守るために機能する。

——ミシェル・フーコー(哲学者)

インドのウッタル・プラデーシュ州で2億人超がコロナを克服し、南米の複数の国でイベルメクチン配布プログラムが成功を収め、米国では裁判所命令で投与された患者が次々と回復した。だが、日本では、イベルメクチンはほとんど使われなかった。その理由は、権威への盲従保身の連鎖にある。

日本は、イベルメクチンの発見者である大村智教授の母国である。2015年、大村教授はノーベル医学・生理学賞を受賞し、イベルメクチンは「日本の誇り」として称賛された。だが、パンデミックが始まると、日本の医療界はイベルメクチンを見捨てた。

厚生労働省は、WHOとFDAのガイドラインに追従し、「臨床試験以外での使用を推奨しない」という立場を取った。日本医師会も、日本感染症学会も、沈黙を守った。テレビに出演する「専門家」たちは、「エビデンスが不十分」と繰り返すのみだった。

だが、日本国内にもイベルメクチンを処方する医師は存在した。彼らは、FLCCCプロトコルを参照し、患者に投与した。その多くが、劇的な改善を経験したと証言している。だが、彼らの声は、主流メディアでは取り上げられなかった。

日本の医療システムは、欧米以上に「権威主義的」である。厚労省が認めなければ、学会が推奨しなければ、大学病院が採用しなければ——医師たちは動かない。それは、科学的根拠の問題ではなく、社会的リスクの問題だ。もしイベルメクチンを処方して患者が亡くなれば、「ガイドラインに従わなかった」として訴訟や懲戒のリスクがある。逆に、ガイドラインに従って患者が亡くなっても、責任は問われない。

これは、「正しいこと」より「安全なこと」を選ぶシステムである。

さらに、日本のメディアは、イベルメクチンを「陰謀論」と結びつけた。ワクチン反対派や「反科学的な人々」が支持する怪しい薬——そんなイメージが流布された。

だが、FLCCCの創設メンバーは、全員が上級医師であり、何千もの論文を発表してきた研究者であり、実際のコロナ患者を数多く診てきた臨床医師でもあるそして世界中の同じ志をもつ医師・研究者らとの情報ネットワークも築いている。

彼らの総合的なスペックを超える医師チームは、おそらく地球上に存在しないか、いたとしても数えるレベルだろう。彼らを「反科学」と呼ぶのは、ギャグ漫画の出来事に等しい。

そして、日本で最も問題だったのは、ワクチン一辺倒の政策である。政府とメディアは、ワクチンを「唯一の希望」として喧伝し、他の選択肢を封じた。イベルメクチンのような早期治療薬が広まれば、ワクチン接種率は低下する。それは、政府の失策を意味する。だから、イベルメクチンは無視されたのだ。

結果として、日本では何が起きたか。ワクチン後遺症とロングコビッドの蔓延である。多くの患者が、原因不明の倦怠感、心筋炎、神経障害に苦しんでいる。だが、医療機関の多くは「気のせい」「ストレス」と診断し、適切な治療を提供していない。

一方、米国では、コリー医師が2022年にワクチン後遺症とロングコビッド専門のクリニックを開設し、イベルメクチンを含む治療プロトコルで多くの患者を救っている。ポール・マリク医師も、I-RECOVERプロトコル(ワクチン後遺症治療ガイド)を公開し、425の科学的参考文献をもとに包括的な治療法を提示している。だが、日本の医療界は、これらの情報をほとんど参照していない。

この構造は、今後も変わらないだろう。権威は、自らの過ちを認めない。WHOがイベルメクチンを再評価しない限り、厚労省は動かない。厚労省が動かない限り、学会は動かない。学会が動かない限り、医師たちは動かない。

そして、その間にも、人々は苦しみ続ける。

終わらない戦い——真実は「遅れてやってくる」のか?

歴史は、真実を語った者たちが最初に迫害され、最後に称賛されることを繰り返してきた。だが、その「最後」は、いつ来るのか。

——ピエール・コリー

ピエール・コリー医師は、三つの職を失った。ウィスコンシン大学を辞め、ミルウォーキーの病院を解雇され、最後にはアスパイラス・ウォソー病院からも追放された。彼の「罪」は、イベルメクチンを処方したことではない。真実を語ったことだ。

彼は今、ワクチン後遺症とロングコビッドの患者を治療する私設クリニックを運営している。彼のもとには、世界中から患者が訪れる。システムに見捨てられた人々、「気のせい」と言われた人々、医師に嘲笑された人々——彼らは、コリー医師のクリニックで初めて「信じてもらえた」と語る。

だが、彼の闘いは終わっていない。FDA(米国食品医薬品局)は今も、イベルメクチンを「馬の駆虫薬」と嘲笑し続けている。ポール・マリク医師、メアリー・タリー・ボウデン医師、ロバート・アプター医師は、2023年、FDAを名誉毀損で訴えた。彼らの主張は明快だ。「FDAには、医療行為に干渉する権限はない」。

裁判は一審で却下されたが、控訴が続いている。一方、WHO(世界保健機関)は、2023年時点でも「イベルメクチンは臨床試験以外での使用を推奨しない」という立場を変えていない。95件の臨床試験、13万人超のデータ、そして大村智教授のチームが示した「4兆分の1の誤り確率」——これらすべてが、「不十分」とされ続けている。

だが、変化の兆しもある。2023年、テネシー州はイベルメクチンを市販薬として認可した。医師の処方箋なしで購入できるようになったのである。他の州でも、同様の動きが広がりつつある。これは、草の根の圧力によって勝ち取られた小さな勝利だ。

「証拠」は誰のものか

この戦いを通じて浮かび上がった問いは、単純だが根源的である。「科学的証拠」とは、誰が決めるのか

かつて、科学は「観察と経験」に基づいていた。医師は、患者を診て、治療法を試し、効果を確認した。それが何百年も続いた医学の進歩の方法だった。だが、今日の「証拠に基づく医学(Evidence-Based Medicine, EBM)」は、異なる構造を持つ。

EBMは、「ランダム化比較試験(RCT)」を最高の証拠とし、それ以外を「低質」とみなす。だが、RCTには致命的な欠陥がある。カネがかかるということだ。大規模RCTには、数千万ドル、時には数億ドルの資金が必要である。その資金を出せるのは、製薬企業か政府だけだ。

つまり、証拠は、カネを持つ者が作る

特許切れの安価な薬、ビタミン、自然療法——これらには、RCTを実施する資金的インセンティブがない。誰が数億円を投じて、1錠数十円の薬を研究するだろうか。結果として、これらの治療法は「証拠不十分」のレッテルを貼られ、無視される。

一方、製薬企業が開発する新薬は、潤沢な資金でRCTが実施され、「高品質な証拠」として承認される。たとえその試験が、利益相反まみれで、データが操作されていたとしても。

「誤情報」という武器

もうひとつ、この戦いで明らかになったのは、「誤情報(misinformation)」という言葉が、検閲の道具として機能していることだ。

イベルメクチンを支持する医師たちは、「誤情報を拡散している」として、YouTubeから削除され、Twitterから追放され、医師免許の剥奪を脅された。だが、彼らが語っていたのは、査読済み論文に基づく事実だった。

逆に、「イベルメクチンは馬の駆虫薬」「イベルメクチンで毒物管理センターへの通報が急増」といった主張は、事実無根だった。FDAの「馬の駆虫薬」ツイートは後に削除されたが、謝罪はなかった。毒物管理センターへの「急増」は、ミシシッピ州でわずか4件の問い合わせがあっただけだった。

つまり、本当の誤情報(嘘)を流していたのは、権威の側だった。

「専門家」は誰か

コリー医師は、集中治療医として20年以上のキャリアを持ち、500本以上の論文を発表してきた。ポール・マリク医師は、h-index(研究者の影響力を示す指標)が118という、ノーベル賞受賞者レベルの実績を持つ。ピーター・マカロー医師は、心臓病学の世界的権威である。

だが、彼らは「フリンジ(異端)の医師」と呼ばれた。一方、製薬企業から資金提供を受け、利益相反まみれの研究者たちは、「専門家」として主流メディアに登場し続けた。この逆転現象は、何を意味するのか。

沈黙という共犯——私たちは何を学ぶべきか

悪が勝利するために必要なのは、善良な人々が何もしないことだけだ。

——エドマンド・バーク(政治哲学者)

イベルメクチンをめぐる三年間の戦いは、単なる「医学論争」ではなかった。それは、権力と情報の非対称性利益相反の蔓延、そして沈黙という共犯の物語である。

コリー医師が上院で証言したとき、YouTubeはその動画を削除した。だが、誰も抗議しなかった。製薬企業が利益相反まみれの試験を発表したとき、主流メディアはそれを「決定的証拠」として報じた。だが、誰も検証しなかった。WHOが恣意的にデータを除外してガイドラインを作成したとき、各国政府はそれに追従した。だが、誰も異議を唱えなかった

そして、ウッタル・プラデーシュ州で2億人がコロナを克服したとき、世界は沈黙した。

この沈黙は、単なる「無関心」ではない。それは、システムへの従属である。医師は、キャリアを守るために沈黙した。ジャーナリストは、スポンサーを失わないために沈黙した。政治家は、選挙を恐れて沈黙した。そして、一般市民は、「陰謀論者」と呼ばれることを恐れて沈黙した。

「Follow the money」金の流れを追え

「Follow the money」は、誰が利益(お金)を得ているかを追跡せよ(そうすればすべてが明らかになる)、という意味で、1970年代のウォーターゲート事件を題材にした映画『All the President's Men』(1976年)で人気になったキャッチフレーズだ。

イベルメクチンの物語から学べる最も重要な教訓は、この言葉に尽きる。「科学的コンセンサス(合意)」という言葉が使われるとき、問うべきだ。誰が、その合意を形成したのか。どんなデータが除外されたのか。そこには、どんな利益相反があるのか。

「専門家」という肩書が強調されるとき、問うべきだ。過去に、どんな発言をしてきたのか。間違えたとき、謝罪したのか。そして、専門家は、誰から資金を得ているのか。

「エビデンス(証拠)不十分」という言葉が使われるとき、問うべきだ。なぜ、大規模試験が実施されないのか。試験の実施費用がどれだけかかるのか。高価な試験費用を安価な薬剤で回収できない医療システムについてなぜ誰も言及しないのか?

コロナ禍の長い期間を経て、イデオロギーの影響や、心理操作など、必ずしも「お金」だけで、悲劇のすべてが説明できるわけではないこともわかってきた…であるにも関わらず「誰が利益を得るのか」を問うことは、今なお多くのことを明らかにする。イデオロギーやプロパガンダだけですべての人が動くわけではないからだ。そして、非人道的な組織的計画が機能するためには、多くの金の力も必要とする。

イベルメクチンが承認されれば、誰が損をするのか。ワクチンメーカー、新薬メーカー、そして彼らに資金提供されている研究者、ジャーナリスト、政治家である。逆に、イベルメクチンが承認されなければ、誰が利益を得るのか。同じ人々である。この「単純な問い」に答えるだけで、なぜ95件の試験が無視されたのかが見えてくる。


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