なぜ第三次世界大戦に向かうことが避けられないのか?──すべての世界大戦はこうして始まった
すべての戦争は限定的な戦争として始まり、一方の当事者が特定の戦略目標を達成しようとする。だが常に、誰のコントロールも超えた全面戦争へとエスカレートしてきた。
米国は国家安全保障戦略において極めて明確に述べている──米国は帝国を守るために最後の息まで戦う。世界から撤退することはない。
はじめに
ニュースを見ていて、どこか違和感を覚えたことはないだろうか。ウクライナ、中東、そして今度は南米。世界中で同時多発的に緊張が高まっているのに、それぞれがバラバラの「地域紛争」として報じられている。だが本当にそうなのか。
歴史を振り返れば、第一次世界大戦も第二次世界大戦も、誰も「世界大戦」を望んでいなかった。限定的な紛争のつもりだった。それが連鎖反応を起こし、気がつけば全世界を巻き込む戦争になっていた。今、私たちが目撃しているのは、まさにその前兆ではないのか。
米国の覇権が揺らぎ、中国とロシアが台頭し、世界の権力構造が根本から変わろうとしている。この転換期に、平和的な移行などありえるのか。それとも、歴史が示すように、新たな世界秩序は戦争を経てしか生まれないのか。
この記事では、ゲーム理論と地政学分析で知られるジャン・シュエチン教授とノルウェーの国際関係学者グレン・ディーセンの対談を通じて、第三次世界大戦へと向かう構造的な力学を読み解いていく。
対談『第三次世界大戦への道:2026年の地政学的危機』Glenn Diesen & Jiang Xueqin(江学勤)
— Alzhacker (@Alzhacker) December 20, 2025
~帝国の終焉と多極化する世界秩序
➢ モンロー主義復活:南米が新たな戦場に
➢ イラン戦争の現実味:ユーラシア同盟を阻止せよ
➢ 帝国の死:歴史が示す衰退のパターン… https://t.co/vKQ57PxyTs
対談者について
本記事は、ジャン・シュエチン(Jiang Xueqin/江学勤)とグレン・ディーセン(Glenn Diesen)の対談を基にしている。
ジャン・シュエチンは、ゲーム理論と構造分析を用いた地政学予測で知られる研究者だ。彼の予測手法は占いではない。各国の利害関係、権力構造、歴史的パターンを冷徹に分析し、起こりうる未来を論理的に導き出す。トランプの再選、そしてトランプ第二期政権下での米国・イラン戦争など、具体的な予測を的中させてきた。
グレン・ディーセンは、ノルウェーの国際関係学者で、特にロシアと欧州の関係、米国覇権の衰退について鋭い分析を展開している。主流メディアが語らない視点から、NATO東方拡大がウクライナ戦争の必然的原因であったことなどを一貫して主張してきた。
トランプの新国家安全保障戦略──モンロー主義2.0という転換
4年前、米国は世界を多国間組織によって組織・調整されるものと見ていた。重要だったのは、米国がルールに基づく国際秩序を人々が守るよう強制する執行者、警察官となることだった。この文書では、トランプはこの秩序が消滅したと極めて明確に述べている。
2025年初頭に公表された米国の国家安全保障戦略は、表面的には穏やかな政策文書に見えるかもしれない。だがジャン・シュエチンによれば、この文書は世界秩序の根本的な転換を宣言している。
かつて米国は、「ルールに基づく国際秩序」の番人を自任していた。もちろん、そのルールは米国に都合よく解釈され、適用されてきた。だが少なくとも建前としては、多国間主義、国際協調、普遍的価値の擁護といった理念が掲げられていた。この偽善的な外皮が、今や完全に剥ぎ取られた。
新戦略が明示しているのは、むき出しの国益追求だ。具体的には「モンロー主義のトランプ補強」と呼ばれる政策──西半球は米国の勢力圏であり、ロシアや中国の進出は許さないという19世紀的な帝国主義の復活である。
この転換は、米国海軍の配置にも表れている。米国の海軍資産の10%がカリブ海に集結し、ベネズエラの石油タンカーを拿捕し、ヒューストンに回航するという「公然たる海賊行為」が行われた。表向きの理由は「麻薬カルテルとの戦い」だが、誰もがその本質を理解している。ベネズエラは世界最大級の確認石油埋蔵量を持つ。トランプ政権の狙いは、ベネズエラを経済的従属国にすることだ。
だがこの政策には、米国が認識していない──あるいは認識していても無視している──連鎖反応がある。ベネズエラへの軍事介入は、南米全体への脅威と受け止められる。ブラジル、コロンビア、メキシコは、次は自分たちの番だと理解している。
特にブラジルにとって、これは存亡の危機だ。米中貿易戦争以前、中国は米国から大豆を輸入していた。だが関税戦争により、中国の大豆輸入先はブラジルに移った。以来、ブラジルと中国の経済関係は劇的に深化し、今や中国はブラジルの最大の貿易相手国だ。米国のベネズエラ介入は、この関係を断ち切ろうとする試みでもある。
するとどうなるか。表面上は米国とベネズエラの限定的な軍事作戦に見えても、ブラジルや他の南米諸国が秘密裏にベネズエラ政権を支援する可能性がある。なぜなら、ベネズエラが倒れれば、次は自分たちが標的になるからだ。CIA主導のクーデターで何百万人もの市民が殺されてきた歴史を、南米の人々は忘れていない。
こうして「限定戦争」は、南米全体を巻き込む代理戦争へと拡大していく。
ウクライナ戦争の泥沼化──欧州が直面する二者択一
ウクライナには戦い続ける人的資源も、物的資源も、意志もない。約10万人のウクライナ兵が脱走し、数百万人が国外に逃れた。同時に、欧州はウクライナに戦い続けることを要求している。
ウクライナ戦線では、ロシアが戦場で優位に立っている。これは西側メディアが報じたくない現実だが、データは明確だ。約10万人のウクライナ兵が脱走し、数百万人が国外に逃れた。ウクライナには、戦い続ける人的資源も、物的資源も、そして何より意志もない。
それにもかかわらず、欧州はウクライナに戦い続けることを要求している。欧州各国は、ロシアから凍結した3000億ユーロの資産を没収し、直接ウクライナに送ることを検討した。だがこの政策が「自殺的」であることに気づき、代わりに1000億ユーロの無利子ローンを供与する方向に転換した。
なぜ欧州はこれほどまでにウクライナを戦わせようとするのか。
答えは単純だ。欧州は、いずれ自らがこの戦争に直接参戦しなければならないと理解している。もし今、和平条約が結ばれれば、ロシアは領土と資源を統合し、さらに強力になる。そうなれば、ロシアが「欧州の覇権」に挑戦する能力を持つことになる。
欧州のエリート層にとって、これは受け入れがたい悪夢だ。だから、ウクライナ人に代理戦争を続けさせ、ロシアを消耗させようとする。欧州の若者を戦場に送る前に、ウクライナ人を使い果たすつもりなのだ。
だがこの戦略にも限界がある。ドイツはすでに徴兵制の復活を検討している。若者たちの反応は冷ややかだ。「プーチンに支配される方がマシだ」という声さえ上がっている。なぜ自分たちがウクライナのために死ななければならないのか、明確な答えを誰も示せないからだ。
ウクライナ戦争は、欧州を二者択一に追い込んでいる。ロシアとの和解を受け入れるか、全面戦争に突入するか。そして欧州の政治エリートは、後者を選ぼうとしている。
イラン紛争の拡大──ユーラシア統合を阻止する最後の賭け
イランは要だ。すべての貿易同盟がイランを通る。欧州にはIMEC(欧州・インド・中東経済回廊)があり、ロシアには南北回廊がある。中国にはもちろん一帯一路構想がある。イランは中心的な世界であり、すべての貿易同盟がイランを経由する。だからこそ米国は、イランでの政権転覆を必要としている。
第三の戦線は中東だ。より正確には、イランをめぐる紛争である。
イスラエルとハマス、イスラエルとヒズボラの間で和平条約が結ばれた。だがジャン・シュエチンによれば、これらの条約は守られない。イスラエルは今後2週間以内にレバノンのヒズボラを攻撃する計画を持っているとされ、ハマスとの和平も崩壊するだろう。なぜなら、ハマスがすべての武器を放棄すれば、イスラエルに完全に殲滅されることをハマス自身が理解しているからだ。
そしてすべての道はイランに通じている。
オーストラリアのボンダイビーチで16人が死亡した悲劇が起きた。犯人はイスラム国の共鳴者だった。だがイスラエルは何の証拠もなくイランに責任を押し付け始めた。モサドの工作員がオーストラリアに飛び、捜査に参加している。彼らが「イランの関与」を示す証拠を捏造することは、容易に予想できる。
評論 『ボンダイビーチの悲劇の秘められた歴史』Xueqin Jiang(江学勤)Predictive History
— Alzhacker (@Alzhacker) December 16, 2025
~疑惑が渦巻く惨事と「誰が得をするのか」という問いhttps://t.co/fo7jn1ZuBc
➢高精細画像が示す不自然な「記録」
➢ネタニヤフ首相の迅速な「政治利用」
➢歴史に学ぶ「偽旗作戦」の可能性…
なぜイランなのか。
地政学的に見れば、イランはユーラシア大陸の要衝だ。すべての主要な貿易回廊がイランを通過する。欧州の「IMEC」(インド・中東・欧州経済回廊)、ロシアの「南北回廊」、中国の「一帯一路」──これらすべてが、イランという結節点で交わる。
もしロシア、イラン、中国が同盟を強化し、ユーラシア大陸に統合された貿易システムを構築すれば、それは米英帝国にとって悪夢だ。海上貿易の支配という英米の地政学的優位性が無効化され、ユーラシア大陸が鉄道で結ばれれば、海洋国家としての覇権は終わる。
だからこそ米国は、イランでの政権転覆を必要としている。戦争に勝つ必要すらない。目的は、可能な限りの混乱を作り出し、この同盟の形成を阻止することだ。
そしてイラン戦争が始まれば、それは中東に限定されない。イランは自衛のためにホルムズ海峡を封鎖するだろう。すると中国、日本、韓国など、中東の石油に依存する東アジア諸国が経済的混乱に陥る。米国は海峡を再開するために地上軍を投入する。するとロシアがイランを支援し、欧州の注意を引くためにオデッサ(ウクライナの港湾都市)に進軍する可能性がある。欧州は全成人男性の徴兵を余儀なくされ、日本と中国の間で緊張が高まる。
このように、一つの火種が世界中に燃え広がっていく。
『イスラエル・米国の攻撃がイランの決意を強化』https://t.co/1azU44yyfC
— Alzhacker (@Alzhacker) July 6, 2025
「決定権を持つ者たちは戦争前、反イスラエル路線を放棄するかどうかを議論していた。しかし今では全員が強硬派になった」—改革派に近い学者…
マッキンダー理論と現代地政学──なぜユーラシアなのか
過去200年間、英国はユーラシア大陸全体にできるだけ多くの混乱と紛争を引き起こしてきた。もし大国がユーラシア大陸に出現すれば──フランスであれ、オスマン帝国であれ、ドイツであれ、ロシアであれ──それはユーラシア大陸を鉄道で統一し、海上貿易を無効化するだろう。そうなれば英国は経済的、軍事的、人口統計学的に崩壊する。
この地政学的思考の背景には、ハルフォード・マッキンダーの「ハートランド理論」がある。
マッキンダーは20世紀初頭の英国の地理学者で、彼の理論は今日まで英米の外交政策を形作っている。その核心はシンプルだ──「東欧を支配する者がハートランドを支配し、ハートランドを支配する者が世界島(ユーラシア・アフリカ大陸)を支配し、世界島を支配する者が世界を支配する」。
英国は小さな島国だ。人口も資源も限られている。だが海を支配していた。この海洋支配を維持するために、英国は一貫した戦略を採ってきた──ユーラシア大陸に強大な陸上勢力が出現することを阻止すること。
ナポレオン戦争を思い出してほしい。ナポレオンはアウステルリッツの戦いでオーストリアとロシアを破り、ヨーロッパ大陸をほぼ征服した。彼が目指したのは「大陸システム」──ヨーロッパを鉄道と陸上貿易で統合し、英国を経済的に孤立させることだった。

英国はこれを阻止するため、7度にわたる対仏同盟戦争に資金を提供した。英国自身は直接戦わず、大陸諸国に戦わせた。これが英国の伝統的な「分断統治」戦略だ。
19世紀末から20世紀初頭、今度はドイツが台頭した。1871年、英国の鉄鋼生産はドイツの2倍だった。だが22年後の1893年、ドイツが英国を追い越した。第一次世界大戦が始まる1914年には、ドイツの鉄鋼生産は英国の2倍になっていた。
これは単なる経済統計ではない。鉄鋼生産は軍事力と産業力の指標だ。ドイツは英国主導の欧州秩序を超えて成長し、独自の勢力圏を求めた。だが欧州の安全保障構造は依然として英国主導だった。ドイツの主要な水路はすべて英国海軍に監視され、ドイツは自国の経済力に見合った地位を持っていなかった。
この構造的緊張が第一次世界大戦を引き起こした。そしてベルサイユ条約は、ドイツを「悪」として一方的に戦争責任を負わせた。だがこれは不正義だった。戦争の原因は、英国がドイツの台頭を受け入れられなかったことにもあった。
そして今日、同じパターンが繰り返されている。
冷戦後、ロシアは弱体化し、衰退の一途をたどると思われていた。だから欧州の安全保障構造は、ロシア抜きで設計された。NATO東方拡大は、ロシアの影響圏を侵食し続けた。これは新たなベルサイユ条約だった。
だがロシアは予想に反して回復した。今やロシアは欧州最大の国家であり、最大の経済(購買力平価ベース)、最大の領土、最大の人口、そして最大の軍事力を持つ。それにもかかわらず、ロシアだけが欧州安全保障の議論から排除されている。
この構造的不均衡は、戦争を不可避にする。
帝国の衰退パターン──シュペングラーのチェックリストが示す西洋の「死の兆候」
オスヴァルト・シュペングラーには、社会がいつ衰退しているかを知るためのチェックリストがあった。彼が「衰退」と言うとき、それは死を意味する。なぜなら彼の世界観では、社会は有機体であり、生まれ、成熟し、死に、そして散り散りになるからだ。
グレン・ディーセンが尋ねた。「なぜ欧米の指導者たちは、この構造的現実を認識できないのか。なぜ対話と妥協ではなく、戦争へと突き進むのか」。当然の疑問である。
ジャン・シュエチンの答えは、ドイツの哲学者オスヴァルト・シュペングラー(Oswald Spengler)の「文明の衰退(Der Untergang des Abendlandes)」理論だった。

シュペングラーによれば、文明は生物のように生まれ、成長し、老い、そして死ぬ。そして衰退期には、特定のパターンが現れる。
チェックリスト1:過度な都市化──寄生的メガシティの出現
すべての人々が田舎から都市に集まり、巨大都市が形成される。ニューヨーク、ロンドン、パリ──これらの都市人口は国全体の20-30%を占める。だがこれらの都市は寄生的だ。実際には何も生産せず、金融、広告、メディアといった虚業の中心地となる。贅沢、退廃、腐敗の温床である。
チェックリスト2:人口崩壊──未来への希望の喪失
若者たちは子供を持つことを拒否する。日本では合計特殊出生率が1.20(2023年)まで低下し、韓国では0.72という史上最低を記録した。欧州も同様だ──ドイツ1.46、イタリア1.24、スペイン1.19。未来に希望を見出せないからだ。自分たちの未来さえ見えないのに、どうして子供の未来を想像できるだろうか、というわけだ。
チェックリスト3:極端な不平等──0.1%による資源独占
1%、いや0.1%の超富裕層が、すべての資源を支配する。米国では、上位0.1%(約33万人)が国全体の富の約20%を所有している──これは下位90%(約3億人)の所有する富とほぼ同じだ。ラリー・エリソン(Oracle創業者)一族がTikTokを買収し、Viacom(メディア大手)を買収し、CNNの入札に参加している。一つの家族がメディア帝国全体を所有しようとしている。
チェックリスト4:傭兵への依存──自国民が戦わない帝国
自国民を戦場に送ることができなくなり、傭兵や「野蛮人」に戦争を任せる。米国が最後に自国軍を主力として戦ったのは2003年のイラク侵攻だった。リビアやシリアでは代理勢力を使い、ウクライナではウクライナ人に戦わせている。米国人自身は戦場に行かない──これはローマ帝国末期と同じパターンである。
チェックリスト5:全般的退廃──文明的価値の崩壊
若い女性の10%から20%がOnlyFans(性的コンテンツ販売プラットフォーム)で身体を売っている。これが合法であり、推奨されてさえいる。日本でも「パパ活」という言葉が一般化し、援助交際が若者文化の一部になっている。これが文明の死の兆候でなくて、何だというのか。
チェックリスト6:大量移民──社会的結束の崩壊
自国民が労働を拒否するため、移民を大量に受け入れる。米国では推定約1100万人の不法移民が滞在し、欧州では2015年以降約500万人の難民・移民を受け入れた。だがこれが社会的結束を破壊する。言語、文化、価値観の断絶が深まり、共同体意識が消失する。
これらすべてが、今日の欧米そして日本で同時に起きている。そしてシュペングラーのチェックリストには、もう一つ項目がある──戦争による延命の試み。だが衰退する帝国の戦争は、問題を解決しない。
ドイツで徴兵制が議論されたとき、若者たちは「プーチンに支配される方がマシだ」と答えた。なぜ彼らを責められるだろうか。過去数十年、西洋文明が彼らに教えてきたのは、個人主義、快楽主義、消費至上主義だった。「働けば良い人生を送れる」と約束された。ところが今、突然「ウクライナやイランやベネズエラで死ね」と言われる。矛盾の極みだ。
覇権の移行と戦争──歴史は本当に繰り返すのか
歴史を研究すると、帝国が台頭し、若く、活力があり、結束し、開放的であるという非常に強いパターンがある。そして帝国として頂点に達すると、傲慢になり、内向的になり、閉鎖的になり、傲慢さに敗北する。そして衰退し、帝国は死ぬ。
グレン・ディーセンは、歴史的連続性を指摘する。第一次世界大戦前のドイツと英国の関係は、今日の中国と米国の関係に酷似している。
当時、ドイツは急速に成長する産業大国だった。だが世界秩序は依然として英国中心だった。ドイツの成長を受け入れる構造的余地がなかった。結果は戦争だった。
今日、中国は2014年以来、購買力平価ベースで世界最大の経済大国だ。だが国際秩序は依然として米国主導だ。中国の成長を受け入れる構造的余地がない。
冷戦後、ロシアは弱体化し、欧州安全保障の議論から排除された。だがロシアは回復し、今や欧州最大の国家だ。それでもロシアだけがテーブルに席を持たない。これも構造的緊張を生む。
歴史的パターンは明確だ──覇権の移行は、平和的には起こらない。新しい世界秩序は、大戦を経てのみ確立される。ウェストファリア体制は三十年戦争の後に、ウィーン体制はナポレオン戦争の後に、国際連盟と国連は二つの世界大戦の後に生まれた。

権力の分布が根本的に変化するとき、既存の制度やルールは機能しなくなる。だが誰も自発的には権力を手放さない。結果として、暴力的な調整が起こる。
ディーセンが言うように、「欧州では誰もこれを議論しようとしない」。支配的な物語は単純だ──「すべては平和で良好だった。自由と民主主義が広がっていた。ところが悪が現れた。プーチンや習近平という形で。彼らを倒せば、平和が戻る」。
これは子供じみた物語だ。だがそれ以上に、危険だ。なぜなら、構造的な問題を個人の悪に還元することで、本当の解決を不可能にするからだ。プーチンや習近平を倒しても、権力の分布は変わらない。多極化の現実は変わらない。
そして欧米のエリートたちは、この現実を受け入れることができない。受け入れれば、自分たちの特権的地位を失うからだ。だから彼らは戦争を選ぶ。
限定戦争という幻想──エスカレーションを止められない構造
すべての戦争は限定戦争として始まった。一方の当事者が特定の戦略目標を達成しようとする。だが常に、誰のコントロールも超えた全面戦争へとエスカレートしてきた。
「今回は違う」。戦争を始めるとき、指導者たちは必ずこう言う。
ベトナム戦争の教訓を学んだ、イラクの失敗を繰り返さない、今回は本当に限定的な作戦だ──過去の過ちを認識しているからこそ、今回は制御できると信じる。だがこの「学習した」という感覚こそが、最も危険な認知バイアスかもしれない。
なぜ「限定戦争」は常に拡大するのか。それは指導者の愚かさだけでは説明できない。むしろ、戦争には制度的・心理的なエスカレーション・メカニズムが組み込まれている。
サンクコスト(埋没費用)の罠
一度介入すれば、引き返すことが政治的に不可能になる。「我々の兵士は無駄死にだったのか」という問いに、どの政治家も答えられない。だから追加投資をし続ける。ベトナムで米国は20年戦い続けた。アフガニスタンでも同じだった。最初の目的はとうの昔に忘れられ、「負けられない」という理由だけで戦争が続く。
敵の過小評価
「彼らはすぐに降伏するだろう」──侵略者は常にこう考える。だが現実には、自国の防衛のために戦う側の抵抗は予想を超える。するとより多くの兵力、より強力な兵器が必要になる。2003年、米国はイラクを「6週間で制圧できる」と考えた。結果は8年の占領と数十万の死者だった。
同盟の連鎖
ベネズエラへの介入は、米国とベネズエラだけの問題ではない。ブラジルが秘密裏にベネズエラを支援すれば、米国はブラジルへの圧力を強める。するとロシアや中国がブラジルを支援する。キューバが関与し、コロンビアが反応し、メキシコが立場を変える。一つの介入が、半球全体の地政学的再編成を引き起こす。
そして最も恐ろしいのは、この連鎖を誰も止められないことだ。
核エスカレーションの梯子
ウクライナで欧州軍(NATO軍)がロシア軍と交戦すれば、通常戦力で劣勢に陥った側──ロシアであれ、NATO側であれ──が核兵器で補おうとする誘惑が生まれる。「限定的な」戦術核使用。だが核使用に「限定的」などない。一度核の閾値を越えれば、戦略核報復の可能性が現実になる。
ジャン・シュエチンが描く連鎖シナリオは、荒唐無稽に聞こえるかもしれない。米国がベネズエラで戦闘中、イスラエルがイランを攻撃し、イランがホルムズ海峡を封鎖、米国が海峡再開のため地上軍を投入、ロシアがイランを支援しウクライナでオデッサへ進軍、欧州が全面徴兵制を導入、日本と中国が緊張を高める──。
だがこれは「起こりうる」シナリオではない。これは「起こってきた」パターンなのだ。1914年8月、誰もヨーロッパ全体が炎に包まれるとは思っていなかった。だが同盟システム、動員計画、威信の問題、そして「後に引けない」という心理が重なり、4年間で2000万人が死んだ。
今日、私たちはより速く、より広範囲に、より破壊的に、同じ過ちを繰り返そうとしている。
そして誰もが「これは限定的だ」と、まだ信じている。
帝国の最期──ゆっくりとした自殺か、壮大な自爆か
米国は史上最大の帝国だ。これほどの技術的、経済的、軍事的洗練を持って全世界を支配できた帝国は、かつて存在しなかった。だからこの死は美しくはないだろう。すすり泣きではなく、大爆発になる。
帝国はどのように死ぬのか。
ローマ帝国は数世紀かけてゆっくりと衰退した。辺境から侵入する蛮族、内部の腐敗、経済の停滞──気がつけば「永遠の都」は廃墟になっていた。
大英帝国は二度の世界大戦で消耗し、植民地を次々と失い、最終的には中規模の島国に戻った。暴力的ではあったが、少なくとも世界を道連れにはしなかった。
ソ連は1991年、驚くほど静かに崩壊した。核兵器を持つ超大国が、一発の核も使わずに解体された。これは歴史的な奇跡だったかもしれない。
では米国はどうか。
グレン・ディーセンが引用したT.S.エリオット──「世界はこうして終わる、バンではなくすすり泣きで」──は、希望的観測にすぎない。ソ連型の静かな崩壊、新たな何かが廃墟から生まれる平和的移行、これを私たちは願う。

だがジャン・シュエチンの分析は容赦ない。米国は史上最大の帝国だ。その権力の範囲、深さ、技術的洗練は、かつてのどの帝国も及ばない。全世界の金融システムを支配し、すべての大陸に軍事基地を持ち、情報空間を監視し、文化的ヘゲモニーを行使し、衛星から核兵器まで、あらゆる暴力の手段を独占している。
このような帝国が、「すすり泣き」で終わるはずがない。
さらに重要なのは、米国エリートの心理だ。ソ連の指導者たちは最終的に、帝国を維持するコストが利益を上回ることを認めた。だから平和的に手放した。
だが米国の新国家安全保障戦略は、正反対のメッセージを送っている──「最後の息まで戦う。世界から撤退しない」。
これは単なるレトリックではない。政策の核心だ。かつて米国は「ルールに基づく国際秩序の守護者」という仮面を被っていた。人道的介入、民主主義の促進、普遍的価値──これらの美辞麗句が、覇権を正当化していた。
その仮面が今、剥がれ落ちた。ベネズエラの石油タンカーを拿捕し、中国向けの船舶を臨検し、同盟国の資源を「米国の経済ツール」と公言する。「我々はマフィアだ。海賊だ。だから何だ」という開き直りがある。
衰退する帝国が暴力的になるのは、歴史の法則だ。だが核兵器を持つ衰退帝国が、AI監視システムと宇宙兵器を備え、「絶対に降伏しない」と宣言しているとき、その暴力は人類史上前例のない規模になりうる。
トランプとプーチンが握手し、和平条約を結び、2020年の「正常」に戻るという幻想を抱く人もいる。だが2020年の世界はもう存在しない。権力の分布が根本的に変わった。中国は経済的に台頭し、ロシアは軍事的に復活し、グローバルサウスは自律性を主張し始めた。米国中心の単極世界は、構造的に維持不可能だ。
戻る道はない。私たちは未踏の領域に入った。
そしてこの領域で、史上最大の帝国が、どのように死ぬのかを、私たちはこれから目撃することになる。
ジャン・シュエチンの予測──10年から20年にわたる世界規模の紛争──は、悲観的に聞こえるかもしれない。だがそれは歴史的パターンと現在の構造分析から導かれた、論理的な帰結なのだ。
最後に──並行社会という希望
私も間違っていてほしい。1年後に戻ってきて、「プーチンとトランプが和平条約を結んだ。世界は再び平和だ。私は間違っていた。もう二度とインターネットに出ない。子供たちと時間を過ごしたい」と言いたい。
この対談は、暗澹たる未来を描いている。第三次世界大戦への道筋、限定戦争の幻想、帝国の断末魔──どれも希望のある話ではない。
だがジャン・シュエチンの最後の言葉には、人間的な願いが込められていた。「自分が間違っていてほしい」。
彼は予測が外れることを望んでいる。トランプとプーチンが和平条約を結び、世界が平和に戻ることを願っている。そうなれば、彼は喜んで間違いを認め、二度と予測などせず、子供たちと時間を過ごすと言う。
この願いは、私たち全員が共有している。誰も戦争を望んでいない。誰も破滅を望んでいない。
だが願望と現実は違う。構造的な力学は、個人の願いを超えている。覇権の移行、権力の分布、帝国の衰退──これらは、善意や願望で止められるものではない。
それでも、私たちには選択肢がある。
欧米のエリートたちは、失われた覇権を暴力で取り戻そうとしている。だが私たち一般市民は、その戦争に参加する義務はない。ドイツの若者たちが「プーチンに支配される方がマシだ」と言ったように、私たちは拒否できる。
さらに根本的には、並行社会を構築することができる。ヴァーツラフ・ハヴェルが全体主義下のチェコスロバキアで示したように、支配的なシステムの外側に「真実の生活」の領域を作り出すことは可能だ。中央集権的なシステム、企業支配、政府の検閲、メディアの洗脳──これらすべてから距離を置き、ローカルなネットワーク、相互扶助、独立した情報源、分散化されたコミュニティを築くことができる。
ハヴェルの並行構造(パラレルポリス)は、革命のために作られたのではなく、今を生きるために作られた。だが結果として、それがベルベット革命の基盤になった。
崩壊のタイミングは予測できないが、準備ができていれば機会は訪れる。
帝国が崩壊するとき、新しいものが生まれる余地ができる。その新しいものが何になるかは、私たちの選択にかかっている。
「現代人の悲劇は、自分自身の人生の意味がだんだんわからなくなっていくことではなく、それがだんだん気にならなくなっていくことなのだ」
— Alzhacker (@Alzhacker) May 12, 2024
ヴァーツラフ・ハヴェル チェコスロバキア大統領(1989 - 1992) pic.twitter.com/ZcZQo47jDF
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