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書籍「あなたは何も所有しない」:コロナ禍で加速した「持たない社会」への誘導計画

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世界経済フォーラムの2030年予測が示す新たな支配システム

「あなたは何も所有しないでしょう。そして幸せになるだろう」

この言葉を聞いたとき、多くの人は「まさか、単なるキャッチコピーだろう」と思ったのではないだろうか。しかし、世界経済フォーラム(WEF)が2016年に発表したこの予測は、単なる未来予想ではなく、綿密に計画された社会変革のロードマップだったのである。

キャロル・ロス(Carol Roth)の著書『You Will Own Nothing』は、この予測の背後にある恐ろしい仕組みを詳細に暴露している。元投資銀行家で起業家である彼女が、金融業界で30年近く働いた経験をもとに描き出すのは、政府、巨大企業、そしてビッグテックが結託して進める史上最大規模の財産没収計画だ。

キャロル・ロス

一体、なぜエリートたちは私たちから所有権を奪おうとするのか。そして、私たちはどうやって自分の財産を守ることができるのか。この記事では、ロスの分析を通じて、現在進行中の「金融世界大戦」の実態を明らかにしていく。

3つの敵対勢力が仕掛ける新たな戦争

現在私たちは「World War F(金融世界大戦)」の真っ只中にいる。この戦争の特徴は、従来の国家間の争いではなく、権力を持つエリート層が一般市民の富と自由を奪う構造にある。

この戦争を仕掛けているのは3つの勢力だ:

政府と政府関連機関(議会と連邦準備制度など)
悪質な行為者とエリート権力掌握者(世界経済フォーラムや大企業など)
ビッグテック(巨大テクノロジー企業)

これらの勢力は時に単独で、時に連携して行動する。しかし、彼らの目標は一貫している:あなたの財産権、お金、富、そしてその他の自由を奪うことである。

興味深いことに、ロスは彼らを「新たな金融世界秩序の建国の父たち」と呼ぶが、同時に「道徳的羅針盤や原則を持たない」と厳しく批判する。彼らは人間の最も低次の欲望-貪欲、権力、支配-に基づいて行動しているのだ。

所有権こそが富の源泉である理由

なぜ所有権がこれほど重要なのか。ロスは金融業界での長年の経験から、一つの不変の真理を見出している:富は所有から生まれる。

より具体的に言えば、富は時間とともに価値が上昇する資産の所有から生まれる。これは単に高い給料をもらうこととは根本的に異なる。

考えてみてほしい。週80時間働く建設作業員が貧しいままである一方で、何年もオフィスに足を向けていないボート所有者が裕福である理由は何か。それは資産所有が富の指数関数的増加を可能にするからだ。これは労働だけでは決して実現できない。

多くのアメリカ人にとって、世代を超えた富の創造は主に住宅所有から生まれてきた。株式やその他の金融商品を401(k)プランや証券口座で保有し、長期間にわたって価値を増大させてきた人も多い。数百万人のアメリカ人が顧客のニーズに応える事業を構築し、そのプロセスを通じて富を創造してきた。

「所有しない社会」への巧妙な誘導システム

しかし現在、この所有による富創造の機会が組織的に攻撃を受けている。そしてこの攻撃は決して偶然ではない。

ロスが指摘する「良いアイデアから悪い結果へ」のモデルは、この現象を理解する鍵となる。このモデルは3つの段階で構成される:

1. 信者(Believers)

最初に、何らかの問題を解決したいと考える人々が現れる。例えば環境保護という崇高な理念から始まる。この段階では多くの人が純粋な動機を持っている。

2. 利益追求者(Racketeers)

次に、このアイデアから利益を得る方法を見つけた人々が参入する。活動家への資金提供、研究の実施、講演の開催など、大きな利益機会が生まれる。一度この利益構造ができあがると、それを否定する情報は生み出せなくなる。資金が止まってしまうからだ。

3. 有用な愚者(Useful Idiots)

最後に、その大義を支持することで何らかの見返り(社会的承認、所属感、道徳的優越感など)を得る人々が加わる。彼らは詳細を理解していないにも関わらず、ソーシャルメディアで拡散し、運動に正当性を与える。

このモデルは、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資から気候変動対策まで、現代の多くの社会運動に当てはまる。そして最終的に、一般市民の所有権を制限する方向へと向かうのである。


テクノロジーによる所有権の破壊

ビッグテックもまた、巧妙な方法で所有の概念を破壊している。あなたがスマートフォンを「所有」していると思っているかもしれないが、実際にはどうだろうか。

スマートフォンの価値は、そのハードウェアではなくアクセスを提供する能力にある。オペレーティングシステムが利用できなくなれば、あなたが所有するのは「プラスチック、ガラス、マイクロチップのかなり役に立たない塊」でしかない。

ソーシャルメディアプラットフォームでも同様の構造が見られる。Twitterの利用規約を例に取ると、表面的には「あなたが投稿するコンテンツの権利はあなたが保持する」と書かれている。

しかし、その直後にこんな条項がある:

コンテンツを投稿することにより、あなたは当社に対して世界規模で、非独占的で、ロイヤリティフリーのライセンス(再ライセンスする権利を含む)を付与し、当該コンテンツを使用、コピー、複製、処理、適応、修正、公開、送信、表示、配布することを現在知られているか、または将来開発されるあらゆるメディアまたは配布方法で行うことを許可します。

つまり、あなたが創造したコンテンツを、Twitterは無料で世界中どこでも使用でき、他者にも使用許可を与えることができる。そして、たとえ第三者がその使用で収益を得ても、あなたには一銭も支払われない。

これは所有権の根本的な破壊である。テクノロジー企業は世代全体を訓練して、非所有とライセンスや購読による生活を受け入れさせているのだ。

迫り来る史上最大の財産没収

しかし、最も大規模な財産奪取はこれから始まる。コンサルティング会社セルリ・アソシエーツ(Cerulli Associates)の推計によると、今後23年間で84.4兆ドルの富が移転される予定だ。このうち70兆ドルが相続により移転される。

この数字がいかに巨大かを理解するために、比較してみよう。アメリカの最富裕層11人の総資産は約1.2兆ドルだ。つまり、相続予定の富は最富裕層の資産の約58倍に相当する。

政府はこの巨額の富移転を狙っている。その手段が富裕税と相続税の拡大だ。

バイデン政権の財務長官ジャネット・イエレン(Janet Yellen)は、「未実現キャピタルゲインに対する課税」を推進している。これは資産を実際に売却していなくても、理論上の価値上昇に対して課税するというものだ。

例えば、30万ドルで購入した住宅の価値が30年後に200万ドルに上昇したとしよう。未実現キャピタルゲイン税が導入されれば、170万ドルの理論上の利益に対して課税される。現金がなければ、税金を支払うために住宅を売却せざるを得なくなる

この政策の真の目的は明らかだ。一般市民を資産から引き離し、最終的に政府や最富裕層だけが資産を所有する社会を作り上げることである。

反撃のための具体的戦略

既存の類書の多くは、政治的陰謀や思想的対立に焦点を当てている。しかし、ロスの分析はより技術的で実務的だ。具体的な金融商品、制度設計、企業戦略がどのように組み合わされて中産階級を解体するかを、元投資銀行家の専門知識で解き明かしている。

1. 多様化された資産ポートフォリオの構築

  • 有形資産の重視:不動産、金、その他の貴金属など

  • 生産的資産への投資:長期的な価値保持・増加が期待できる資産

  • 物理的な金の購入:ETFなどの「紙の金」ではなく、実物の金を所有する

2. ESGや投資操作への対抗

  • ESGに反対する州当局への支持表明

  • ESGを推進する企業からの資金・支援の引き上げ

  • 株主としての議決権行使による企業への圧力

3. テクノロジーからの部分的脱却

  • 侵襲的テクノロジーの家庭からの排除

  • より小規模で個人の権利を尊重する企業への支援

  • デジタル・アナログ両方での選択肢の維持

4. 政治的・法的行動

  • 地方レベルでの政治参加(学校理事会、市議会など)

  • 財産権を守る法的組織への支援

  • 富裕税や拡大された相続税への反対活動

5. コミュニティの構築

真の対抗策は、共通の価値観を持つ本物の、対面での本格的なコミュニティを確立することである。オンラインのつながりではなく、実際に互いを支援し合える関係を築くことが重要だ。

最後に:私たちは分散型抵抗の最前線に立っている

ある意味では、この著作が訴えていることは特段新しいものではない。実際、世界経済フォーラムや政府による中産階級解体、資産収奪計画について、多くの専門家、識者が一貫して警告を発してきた。

この書籍を紹介すべきか一瞬迷ったが、類似する内容であるからこその重要性に気付いた。まず、複数の人々が声を上げることは、まさに分散型の抵抗であり、告発者が攻撃されるリスクを軽減してくれる。これは読者には直接関係しないかもしれないが、抵抗運動全体のエコシステムとして極めて重要である。

そして、おそらくより重要なことは、様々な独立した専門家、識者の声がほぼ同じことを訴えているという事実である。議論の広さと抵抗戦略については違いがあるが、コロナパンデミックが意図的、計画的なものであり、エリートによって財産権、所有権を奪う計画であるということについては、驚くほど一致している。

このことは、資産収奪計画が独りよがりの妄想的な陰謀論ではなく、現実の問題であるという証拠の強さや説得力を高めるものである。2030年というタイムラインもほぼ、皆が口をそろえて言っている。

同時に、告発者全員が希望を捨てていない。これはまさに救いである。そして、様々に現実的、具体的な対抗策を示しており、私たちには選択が残されている。我々は既に戦いの真っ只中にいるが、敗北は決定されていない。ある選択は機能し、ある選択は効果がないか、あっても限定的なものにとどまるといったように淘汰されていくだろう。

この試行錯誤は決して無駄ではない。それこそが、分散型コミュニティの最大の武器である。中央集権的な権力構造に対抗する我々の力は、多様性と創造性、そして諦めない意志にある。ロスが提示した戦略や、他の識者たちの知見を組み合わせ、各自の状況に最適な防御策を構築することが求められている。

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