推進室はなぜ嫌われるのか:陥りやすい罠と回避策
最近はまた現場の悩みを聞く機会が増えてきました。そこでちょくちょく耳にするのが、いわゆる「推進室」の悩みです。昔からあるアジャイル推進室に加えて、DX、内製化、AIなど、さまざまな「推進室」が乱立しているように感じます。それだけ変化への圧力が強まっている時代なのでしょう。
そして、いつ聞いても「推進室」のみなさんは苦労されています。今日は、推進室はなぜ苦労するのか、どうしたらいいのかを考えてみます。
社内推進には構造の問題が潜んでいる
社内推進と聞くと、大義名分を掲げて組織に堂々と働きかけられるイメージがあります。しかし、このイメージ通りに機能している例はほとんど聞いたことがありません。
というのも、推進室は構造として、自然と手段と目的が反転してしまうからです。
推進室はだいたいこんな流れで作られます。
これからの時代はXX(例:アジャイル、デジタル活用、AI)が重要だ
しかし我々の組織はXXの知識・経験が不足している
各部署でやると非効率だから、まずは「XX推進室」を作ろう
XX推進室が主導してガイドライン整備、教育、効果測定をよろしく。うまくいったら他部門へ広げるので。
XXは「推進したい何か」です。「XXを実現するとこんな良いことがあるはず」という希望から推進室が作られます。しかし推進室は、「実現したい未来」の実現よりも「推進すること」自体が責任になってしまう。これが推進室の一番の難しさだと思っています。
そして「推進すること」の責任を負った推進室は、次のような罠にはまり、苦しむことが多くなります。
罠1:推進の「なぜ」を語れない
アジャイルもDXもAIも、推進できたらきっと良い成果が出るのでしょう。しかしこれらはすべて手段であり、目的ではありません。
ある手段を推進するのであれば、なぜその手段が大事なのか、組織の目的の達成にどう寄与するのかを語る必要があります。推進の「なぜ」を語ることが重要です。
推進室の人と話をしていると、「なぜ」を掘り下げないまま、言われた通り推進施策を考える人が一定数いるように感じます。この状態で進めても共感は得られず、表面的な施策しか実施できません。
推進室がオペレーションを回す意識しか持てないと、推進に対する熱量を持った人が不在のまま、空虚な推進施策だけが動き続けるという奇妙な状態になります。そしてそんな光景を、よく見聞きします。
罠2:現場への追加仕事化
推進室は何しろ社内で推進することが仕事ですから、その施策を一生懸命考えて実行します。説明会の実施、勉強会の開催、オンラインでのトレーニング、ワークショップ、全社イベントでの宣伝……。
こうした推進室の努力は、現場から見れば余計な仕事でしかありません。率直に言えば迷惑です。しかし推進室にも言い分はあります。「組織として重要だからやってくれ」と言われてやっているわけです。
現場には嫌われ、上司からは成果を求められる。関係者たちの利害関係の狭間で苦しみながら、現場の負担にならず、かつ評価されそうな活動は何かと考え続ける日々を過ごします。
たまに「標準ガイド」のようなものを延々と作っている人を見かけます。このあたりの罠で苦しんだ結果なのだろうかと想像しました。
罠3:何の価値も生まないKPI
ままならない社内推進の中で生まれるのが、成果につながらないKPIです。生成AIの利用率80%、イベントの参加率100%、アンケート満足度7点以上、といった数字です。
推進室が設定するKPIは、組織が生み出す成果そのものを測る指標ではなく、測りやすい代理指標が使われ、最適化対象になりやすい。いわゆるグッドハートの法則ですね。
罠としては分かりやすい一方で、とてもはまりやすい罠でもあります。たとえば「企業理念を浸透させたい」という課題に対して、「全員が企業理念を言える状態にする」とKPIを設定するのはとてもよくある光景です。
上記のような罠を避けるために、推進室が意識すべきことは何でしょうか。
回避策1:理想状態をオーナーと握る
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ありがとうございます。書籍代に使ったり、僕の周りの人が少し幸せになる使い道を考えたいと思います。
