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麦茶が炎上している

HIKAKINが麦茶を発売したらしい。その名も「鬼茶」。

私は詳しく知らなかったのだが、どうやらネットが荒れている。

ことの発端は、HIKAKINチャンネルで流されていた「意味深な映像」だったようだ。

何日にもわたって重大発表を予感させる演出を続け、ファンの期待値を最大まで引き上げていたらしい。

「みそきんの激辛味か」「ワンピースとのコラボか」といった様々な考察が飛び交い、一種のお祭り騒ぎになっていたという。

しかし、発表されたのは「麦茶の発売」。

これには「なんだ、ただのプロモーションかよ」と肩透かしを食らった層が多かったようだ。

もちろん、新商品の発売は予想の範囲内だったのだろうが、今回は「商品に対する本人の思い入れ」が見えにくいという点が、違和感の火種になっているように見える。

批判の矛先は、主に3つのポイントに集約されている。

1. キャラがHIKAKINではない
2. 原料の大麦が外国産
3. 既存商品のネガキャン

まず、「1. キャラがHIKAKINではない」について。
以前の「みそきん」のときは、パッケージに彼の顔が載っていただけでなく、「下積み時代を支えてくれたラーメンを作りたい」という個人の物語が背後にあった。だからこそ、ファンも「HIKAKINが本当に頑張って作ったんだな」と納得できた。

対して今回の「鬼茶」は、HIKAKINとは関係のない謎のキャラクターが前面に押し出されている。そこには、これまで私たちがHIKAKINというアイコンに感じていた「顔の見える安心感」が希薄だ。

もちろん、彼自身が広告塔から一歩引いて、純粋なブランドとして育てたいという意図はあるのかもしれない。けれど、これまで「自分自身」をコンテンツにして信頼を積み上げてきた以上、急にキャラクターの影に隠れてしまうと、どうしてもビジネスの匂いだけが先行してしまう。

次に、「2. 原料の大麦が外国産」という点。
「究極」という強い言葉でプロモーションを打てば、受け手は無意識に「国産の厳選素材」といった高いスペックを期待する。しかし、実際は外国産の大麦だった。

外国産が悪いわけではない。ただ、日本を元気にしたいと言うのであれば、その言葉に見合う「この素材でなければならない理由」という納得感が欲しかったと思う。

そして最後に、「3. 既存商品のネガキャン」に見える演出。「これまでの麦茶はワクワクしない」と言ってしまった。普段から他者を下げないことで信頼を築いてきた彼が、既存の普及品に対してネガティブなレッテルを貼るような言い方をしてしまったのは、見ていて少し座りが悪い。

「究極」や「体にいい」といった強い言葉を使って既存品を遠回しに否定する割に、中身のこだわりが期待を超えてこない。そのギャップが、言葉をコンテンツを装飾するためのラベルとして消費しているように映ってしまう。

HIKAKINという圧倒的なブランドをもってすれば、どんな商品でも一定数は売れるだろう。
けれど、これだけ情報が溢れる世界で、人々が最後に求めているのは「強い言葉」ではなく「誠実な手触り」なのだと思う。

大衆の期待を煽り、物語を大きくしすぎた結果、その熱量が商品の実態を追い越してしまった。そんな「言葉のインフレ」が引き起こした騒動のようにも見える。

私たちは、彼の作る麦茶が飲みたかったのではなく、彼のこだわりに触れたかっただけなのかもしれない。


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