Ta-053:鍋貼│台湾風焼き餃子
どの国を訪れても、外れのない楽しみの一つといえば、現地の屋台や食堂をめぐっての「粉もの」巡りでしょう。台北市にも水餃子、小籠包、麺、パンなどの有名店が目白押しで、人気の観光スポットの一つにもなっています。いろいろな店を覗いて、メニューを指さし注文した後、出てきた料理が想像と違った、なんてことも良い旅の思い出になるでしょう。さて、中華料理、とくに台湾では「餃子」の仲間たちの種類が多すぎて、普通の日本人にはさっぱりでしょう。これでは観光の楽しみも半減というものです。
台湾で単に「餃子(ジャオズ)」と頼むと、十中八九「水餃(シュイジャオ)」、つまり茹でた餃子が出てきます。餃子は茹でるのが基本。では、我々が愛する「焼き餃子」はどこへ行ったのか? それが今回紹介する「鍋貼」です。餃子の「餃」も「子」も使われていませんが、こちらが台湾でいう焼き餃子になります。
台湾の街角で出会う、餃子に似た美味なる粉ものたち。それぞれに個性があり、違う料理として確立されています。そう、台湾人の認識としては、それぞれ、「別の料理」です。お好み焼きとタコ焼きを「大阪焼き」と言われると大阪人が激昂するように、鍋貼と水餃子を指して、「どっちも餃子じゃん?」というと台湾人は激昂します。気を付けて。
鍋貼(グオティエ)
これが台湾式「焼き餃子」です。その名の通り、鉄板(鍋)に貼り付けて焼いたもの。日本の餃子と違って細長い棒状で、両端が開いていることも多いのが特徴です。皮はやや厚めでもちもち、底はカリカリ。多様な食感を一度に楽しめます。専門店では、見事な羽根(冰花)つきで提供されることもあります。
水餃(シュイジャオ)
台湾餃子の基本形であり、単に「餃子」といえばこれを指します。厚手でもちもちの皮で具を包み、たっぷりの湯で茹で上げます。これをニンニク醤油や酢、ラー油、香油(ごま油)などを自分好みにブレンドしたタレで頂きます。台湾では餃子といえばこれ。専門店も多く、家庭の冷凍庫にも常備されているソウルフードです。ちなみに宇都宮や浜松で人気のスープで食べる「変わり水餃子」は水餃には含まれません。
水煎包(シュイジェンバオ)
漢字を見れば有る程度理解できるかもしれませんが、これは「餃子」ではなく「包(バオ)」、つまり「まん」の仲間です。発酵させたフワフワの皮で具を包み、大きな平たい鉄板で蒸し焼きにします。「水で煎る包子」という名前の通り、少量の油で底を焼き固めた後、水を加えて蓋をし、蒸気で火を通します。底はカリッと香ばしく、上は蒸されてフカフカ。朝ごはんの定番でもあります。
蒸餃(ジョンジャオ)
読んで字のごとく「蒸し餃子」です。水餃子と同じ皮を使う庶民的な店もあれば、小籠包のような薄い皮(澄麺皮=浮き粉を使った半透明の皮など)を使う点心楼もあります。小籠包との境界線は曖昧ですが、こちらは肉汁(スープ)を楽しむというより、皮と具材そのものの味をストレートに楽しむもの、と区別されます。
湯餃(タンジャオ)
「湯(タン)」はスープのこと。つまりスープ餃子です。茹でた水餃子を、あっさりした野菜スープや、酸っぱくて辛い「酸辣湯(サンラータン)」に入れたものです。これ一杯で主食になる、満足度の高い一品。「酸辣湯餃」は多くの食堂で愛される定番メニューです。ここでも宇都宮や浜松でなぜかスープで食べる日本の「変わり水餃子」は含まれません。
小籠包(シャオロンバオ)
番外編。よく餃子の仲間と誤解されますが、これは「包子(パオズ)」、つまり小さな肉まんの仲間です。薄い皮に包まれた熱々の肉汁(スープ)が最大の特徴。中国史好きが三国志ににやりとするように、台湾人にとってはこちらも「餃子ではない」となります。
中華、特に台湾の粉もの文化は実に奥深く、ここで紹介したのはほんの一部。まずは日本人は必ずその名に困惑するという「鍋貼」の作り方をマスターして、台湾グルメの神髄に一歩近づいてみましょう。
それではレシピ行ってみましょう。
【初級編】(市販の皮で簡単! 棒餃子風 鍋貼)
(難易度) ☆
(調理時間) 約20分
(概要) 包み方を工夫するだけで、いつもの餃子が台湾風に早変わり。まずは雰囲気から楽しみましょう。
材料(約20個分)
餃子の皮(大判・厚手推奨):20枚
豚ひき肉:150g
キャベツ:100g(みじん切りにし、軽く塩を振って水分を絞る)
ニラ:1/4束(5mm幅に刻む)
A. おろし生姜:小さじ1
A. 醤油:小さじ2
A. 酒:小さじ1
A. ごま油:小さじ1
A. 塩・こしょう:少々
水溶き片栗粉(羽根用):片栗粉 小さじ2 + 水 100ml
サラダ油(焼き用):大さじ1
ごま油(仕上げ用):小さじ1
調理方法
ボウルに豚ひき肉とAの調味料を入れ、粘りが出るまでよく練り混ぜます。
キャベツとニラを加え、野菜を潰さないようにさっくりと混ぜ合わせ、タネを完成させます。
餃子の皮の中央にタネを細長く乗せます。皮のフチ半分に水をつけ、半分に折ります。
日本の餃子のようにヒダを寄せず、中央部分だけを指でつまんで閉じます。両端はあえて開けたままにして「棒状」にします。(※これが鍋貼の特徴です)
フライパンにサラダ油を熱し、餃子を並べます。中火で底面に焼き色がつくまで焼きます。
水溶き片栗粉をよく混ぜてからフライパンに回し入れ、すぐに蓋をします。
中火で4〜5分、水分がほぼなくなるまで蒸し焼きにします。
蓋を取り、残った水分を飛ばします。鍋肌から仕上げのごま油を回し入れ、羽根がカリッとなったら完成です。フライパンより大きい皿をかぶせ、ひっくり返して盛り付けます。
注意点
両端を開けておくことで、火の通りが早くなり、肉汁が適度に抜けてベチャッとなるのを防ぎます。
皮は「大判・厚手」を選ぶと、より台湾の「鍋貼」らしいもちもち感が出ます。
【中級編】(手作りの皮で本格! 冰花(羽根つき)鍋貼)
(難易度) ☆☆
(調理時間) 約1時間(皮を寝かせる時間を除く)
(概要) 皮から作ることで、専門店のもちもち感を再現します。美しい羽根(冰花)作りにも挑戦しましょう。
材料(約20個分)
[皮]
中力粉(または薄力粉+強力粉を半々):150g
塩:ひとつまみ
熱湯:50ml
冷水:30ml〜 (調整用)
[タネ]
豚ひき肉(赤身多め):200g
キャベツ:150g(粗みじん切り、塩もみして水気を絞る)
ニラ:1/2束(5mm幅)
長ネギ(みじん切り):大さじ2
B. 醤油:大さじ1
B. オイスターソース:小さじ1
B. 砂糖:小さじ1/2
B. おろし生姜:小さじ1
B. ごま油:小さじ2
B. こしょう:少々
[羽根]
片栗粉:大さじ1
水:150ml
サラダ油(焼き用):大さじ1
調理方法
[皮作り] ボウルに中力粉と塩を入れ、熱湯を回し入れます。菜箸でかき混ぜ、そぼろ状にします。(※半湯ごね)
冷水を少しずつ加えながら手でまとめ、台の上で滑らかになるまで約10分捏ねます。
生地を丸め、ラップをして常温で最低30分寝かせます。
[タネ作り] ひき肉にBの調味料をすべて加え、よく練ります。粘りが出たら、野菜類を加えてさっくり混ぜます。
寝かせた皮を棒状に伸ばし、20等分にカットします。打ち粉(片栗粉)をした台で、中央を厚めに、円形に伸ばします。
【初級編】と同様に、タネを細長く乗せ、中央だけを軽くつまんで閉じ、両端が開いた棒状にします。
フライパンにサラダ油を熱し、餃子を並べて中火で焼きます。底に焼き色がついたら、よく混ぜた[羽根]用の水溶き片栗粉を回し入れ、蓋をします。
中火で水分が少なくなるまで蒸し焼き(約5〜6分)。
蓋を取り、水分を完全に飛ばします。油がパチパチと音を立て、羽根がキツネ色に固まってきたら火を止め、皿に返して完成です。
注意点
皮を熱湯でこねる(湯ごね)ことで、グルテンの形成が抑えられ、もちもちしつつも柔らかい食感になります。
羽根用の水溶き片栗粉は、片栗粉を多めにするとパリパリ感が強くなります。
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【上級編】(専門店に迫る 究極の鍋貼)
(難易度) ☆☆☆
(調理時間) 約1時間半(皮を寝かせる時間を除く)
(概要) 皮の配合、タネのジューシーさ、成形まで専門店の手法に迫ります。もはや趣味の領域です。
材料(約20個分)
[皮]
強力粉:100g
薄力粉:100g
塩:小さじ1/4
熱湯(80℃以上):70ml
冷水:40ml〜
[タネ]
豚ひき肉(粗挽き):150g
豚バラ肉(脂身):50g(細かく叩く)
ニラ:1/2束(5mm幅)
キャベツ:100g(粗みじん切り、塩もみ不要)
鶏ガラスープ(または水):大さじ2
C. 醤油:大さじ1
C. 酒:大さじ1
C. 砂糖:小さじ1
C. 五香粉(ウーシャンフェン):ほんの少々(※台湾らしさの鍵)
C. 白こしょう:たっぷり
C. ごま油:大さじ1
[羽根]
小麦粉:小さじ1
片栗粉:小さじ2
水:150ml
サラダ油(焼き用):大さじ1
調理方法
[皮作り] 【中級編】と同様に、粉類に熱湯を加えて混ぜ、冷水を加えて滑らかになるまで捏ねます。ラップをして1時間以上寝かせます。
[タネ作り] ひき肉と叩いた豚バラ肉に鶏ガラスープを加え、肉に水分を吸わせるようによく練ります。
Cの調味料(ごま油以外)を加えてさらに練り、最後にキャベツとニラを加えて混ぜ、仕上げにごま油を回しかけて香りを閉じ込めます。キャベツの水分はあえて絞りません(ジューシーさの元)。
皮を20等分にし、麺棒で楕円形(重要)に伸ばします。
タネを皮の真ん中に細長く置きます。皮を半分に折り、真ん中を指で押さえて貼り付けます。両端は完全に開けたままにします。皮の長さがタネより長くなるように、両端の皮はあえて余らせるのが専門店風です。
フライパンに油を熱し、餃子を並べ、中火で底をしっかり焼きます。
[羽根]の材料をよく混ぜてから回し入れ、蓋をして中強火で一気に蒸し焼きにします。
水分がほぼ無くなったら蓋を取り、火を少し弱めて水分を飛ばし、羽根がカリカリになるまでじっくりと焼き揚げます。
注意点
タネにスープと脂身を加えることでジューシーに、キャベツの水分を絞らないことでシャキシャキ感を残します。
皮を楕円形に伸ばし、両端を大きく開けるのが「鍋貼」の伝統的な形です。
羽根に小麦粉を混ぜると、よりしっかりとした食べ応えのある羽根になります。
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コーヒーが好きだ。とくにミルクコーヒー。外出の予定がない時は、これにハチミツ酒をひとさじ加えて飲む。これがまたすこぶるいい。それぞれの銘柄を変えると、がらりと味が変わる。どうだい?一杯おごってはくれないか?