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「努力しているのに人生が変わらない人へ―フランクリンに学ぶ、時間・お金・習慣を整えて自分の道を切り拓く方法」「フランクリン 人生を切り拓く知恵」を小学生でも分かるように説明します


フランクリン 人生を切り拓く知恵

著者 ベンジャミン・フランクリン

翻訳 佐藤 けんいち




はじめに

このnote記事は、無料部分の「小学生でもわかる解説」だけでも十分にご理解いただけます。

有料エリアには「音声考察(日本語版・英語版)」と本のエッセンスをより深く理解するための「大人向けの解説」を用意しております。

なお、この記事は無料・有料・音声考察のすべてにおいて、原著の引用は一切使用しておりません。すべて、私自身の言葉のみで構成したものです。



皆さんはベンジャミン・フランクリンという名前を聞いたことがありますか?

おそらく、理科の授業や伝記の本で、雷が鳴っている嵐の日にタコを空に上げて、雷が電気であることを証明した人として知っているかもしれません。

この実験の発見が、建物のてっぺんにつける「避雷針」という、雷から家を守る発明につながったことも習ったかもしれませんね。

また、英語の授業や本の中で、「時は金なり(タイム・イズ・マネー)」という有名な言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。

実は、この言葉を作ったのもフランクリンなのです。

アメリカのお金である100ドル札の肖像画にも、彼の穏やかな顔が描かれています。

フランクリンは、アメリカという国が誕生するときに大活躍した「アメリカ建国の父」のひとりであり、科学者、発明家、ビジネスマン、政治家、外交官など、数えきれないほどの仕事をすべて自分で学び、大成功させた「万能の天才」です。

しかし、彼はもともと、お金持ちの家に生まれたわけでも、頭が良いエリートだったわけでもありません。

17人兄弟の15番目の子どもとして、ロウソクや石鹸を作る貧しい職人の家に生まれ、家にお金がなかったため、学校にはたったの2年間しか通えませんでした。

それなのに、なぜ彼はこれほど偉大な人物になれたのでしょうか?

今回の記事は、フランクリンが自分の人生を切り拓くために実践した数々の知恵を紹介します。


ベンジャミン・フランクリンって、一体どんな人?

ベンジャミン・フランクリンは、今から300年ほど前の18世紀に生きたアメリカ人です。

アメリカでは「ベン」という愛称で呼ばれ、どこにでもいる親しみやすいおじさんのように愛されています。

フランクリンという名字には、英語で「率直で気取りがない」という意味を持つ「フランク」という言葉が含まれていることも、彼が人々に親しまれる理由のひとつです。

彼の人生を一言で表すと、「自分で自分を作り上げた人(セルフ・メイド)」です。

学校を2年で辞めたあと、12歳のときからお兄さんの印刷所で働く見習い職人になりました。

そこから必死に独学で勉強し、20代で自分の印刷所を持ち、新聞を発行するビジネスで大成功を収めて大富豪になりました。

驚くべきなのは、彼はただお金を儲けただけではないということです。

42歳という若さでビジネスの一線を退き(今でいう早期リタイア)、その後は亡くなる84歳までの42年間、お金のためではなく、科学の研究や、アメリカを一つの国として独立させるための政治活動、そして外国との交渉をまとめる外交官としての活動にすべての時間を使いました。

実業家であるイーロン・マスク氏も、フランクリンのことを「社会の仕組みをゼロから作り直す実験に挑んだ偉大な起業家」として大絶賛しています。

フランクリンは、どんなに難しい障害が目の前に立ちふさがっても、「人生は実験の連続だ」と考えて、最後の最後まで自分の限界を突破し続けた人だったのです。


時間を宝物にして、みんなから「信用」されるコツ。

フランクリンは、若い職人たちに向けて、仕事や人生で成功するために最も大切なのは「勤勉(一生懸命に働くこと)」と「倹約(お金を大切に使い、無駄遣いをしないこと)」だと語っています。

特に、彼がお金と信用について語った言葉には、現代の私たちにも深く突き刺さる知恵がたくさん詰まっています。

まず、有名な「時間は金なり」という言葉について、彼はこう説明しています。

「もし、1日に10シリング(当時のお金)を稼げる力がある人が、半日だけ散歩をしたり、のんびり怠けたりして過ごしたとしよう。その人がお小遣いとして使ったのがたとえ6ペンスだけだったとしても、実際には怠けた半日分の5シリングも同時に捨てているのだ」

つまり、時間を無駄にすることは、自分のお財布から直接お金をドブに捨てているのと同じことなのです。

時間は、誰にとっても平等に与えられた最も貴重な宝物です。

さらに、フランクリンは「信用はお金そのものだ」と言っています。

みんなが友達からゲームや本を借りるときを想像してみてください。

約束した日よりも早く、きれいに返してくれる友達なら、「次もまた貸してあげよう」と思いますよね。

これこそが「信用」です。

ビジネスの世界でも同じで、お金を借りたときは、返済の約束の時間を1分でも遅れてはいけません。

フランクリンは、こんな面白い例を挙げています。

「朝の5時や、夜の9時に、君が一生懸命にハンマーを叩いて働いている音が聞こえれば、お金を貸してくれた人は『あの人は借金のことを忘れずに、真面目に働いているな』と安心し、返す期限を待ってくれる。

しかし、働くべき時間なのに遊んでいるところを見られたり、お酒を飲んでいる声が聞こえたりしたら、貸し手はすぐに『全額今すぐ返しなさい』と怒ってやってくるだろう」どんなに小さな行動も、周りの人が自分をどう見ているか、つまり「信用」につながっています。

また、お金を無駄にしないために、フランクリンは「小さな水漏れが、大きな船を沈めてしまう」と警告しています。

毎日なんとなく使ってしまう小さなお金や、安物だからといって必要のないものを買うことは、やがて大きなお金を失い、自分を苦しめることになります。

「お財布とよく相談し、欲しいという気持ちは最初に抑え込むこと」が、お金に困らない生活を送るための秘訣です。

見栄を張って、自分の身の丈に合わない贅沢をしたり、借金をしてまでカッコつけたりすることは「狂気の沙汰(とてもおろかなこと)」だとフランクリンは言います。

お金を借りるということは、自分の自由を相手に売り渡してしまうことと同じだからです。

お金がないときほど、人は見栄を張ってお金があるように見せたがりますが、そんなことをしてもあっという間に落ちぶれてしまいます。

自分の収入と支出を正確にノートに書き留め、何が無駄なのかをしっかり見極めることが大切です。


自分を素晴らしい人間に育てる「13の目標」

フランクリンは25歳のとき、「道徳的に完璧な人間になる」という、とても大胆で難しい計画を思いつきました。

彼は、何一つ過ちを犯さず、常に正しいことだけをして生きていきたいと願ったのです。

しかし、頭の中で「良いことをしよう、悪いことはやめよう」と決心するだけでは、どうしても昔からの悪い癖や習慣、周りの友達からの誘惑に負けてしまうことに気がつきました。

そこで彼は、完璧な人間になるための具体的な仕組みとして、一生かけて身につけるべき「13の徳目(目標)」を整理しました。

その13の目標とは、次のようなものです。

節制(せっせい):お腹がいっぱいで体がだるくなるまで食べない。お酒に酔っ払うまで飲まない。

沈黙(ちんもく):自分や他人のためにならない無駄話はしない。くだらないおしゃべりは避ける。

規律(きりつ):自分の持ち物はすべて置き場所を決めて整理整頓する。仕事や勉強は時間を決めてきっちり行う。

決意(けつい):やるべきことは必ずやると決める。決めたことは絶対にやり抜く。

倹約(けんやく):人のため、あるいは自分のためにならないことにお金を使わない。無駄遣いをしない。

勤勉(きんべん):時間を無駄にしない。常に何か役に立つことをする。必要のない行動はすべてカットする。

誠実(せいじゅつ):嘘をついて人をだましたり、傷つけたりしない。物事をシンプルに、公正に考える。

公正(こうせい):他人の権利を傷つけない。自分の義務をしっかりと果たして、社会の邪魔をしない。極端を避ける:怒って当然だと思うようなひどいことをされても、怒りを抑えて我慢する。

清潔(せいけつ):体や服、部屋が汚れているのをそのままにしない。

平静(へいせい):つまらないことや、日常の小さなトラブルで心を乱さない。避けられない事故が起きてもどっしり構える。

禁欲(きんよく):体と心を健康に保ち、自分の評判を落としたり、他人の平和を乱したりするようなだらしない行動はしない。

謙譲(けんじょう):イエスやソクラテスをお手本にして、謙虚な心を持つ。

フランクリンは、これらを一度に全部やろうとすると、注意が散漫になって失敗してしまうと考えました。

そこで、「1週間に1つの目標だけに集中する」という素晴らしい方法を編み出しました。

例えば、第1週は「節制(食べすぎない)」だけに全神経を集中させます。

そのほかの目標については、いつも通りに過ごします。

そして、小さな手帳を作り、赤インクで縦線と横線を引いて、曜日ごとの表を作りました。

もしその日に失敗してしまったら、黒いインクで点を打ちます。

1週間が終わって、最初の「節制」の行に黒い点がつかなくなったら、その目標が習慣になった証拠です。

次の第2週は、2番目の「沈黙」に集中します。

こうして13の目標を1週間ずつクリアしていくと、13週間(約3か月)で1つのサイクルが完了します。

1年は52週間なので、1年にこのサイクルを4回繰り返すことができるのです。

フランクリンはこの手帳をいつも持ち歩き、毎日自分の行動をチェックしました。

79歳になったとき、彼は「完璧な人間にはなれなかったけれど、この努力を続けたおかげで、何もしなかったときよりもはるかに素晴らしい人間になれたし、幸せな人生を送ることができた」と振り返っています。

これは、習字のお手本を真似して字の練習をするのと同じです。

完璧にお手本通りの美しい字は書けなくても、一生懸命に練習を続けたおかげで、誰が見てもきれいで読みやすい字が書けるようになるのと同じなのです。


みんなと仲良くし、自分の意見を伝えるための話し方。

みんなは友達と話し合っているとき、ついつい自分の意見を押し通そうとして、言い争いになってしまったことはありませんか?

フランクリンは、若いころは議論が大好きで、相手の言い間違いを指摘して論破することが得意でした。

しかし、社会に出てから、「相手を論破してやり込める人は、絶対に成功できない」ということに気がつきました。

議論に勝つと、自分の一時のプライドは満たされるかもしれません。

しかし、負かされた相手は深く傷つき、あなたに対して嫌な気持ちや敵意を持つようになります。

これでは、せっかく友達になれたかもしれない人を失うことになり、仕事でも人間関係でも、誰からも協力してもらえなくなってしまいます。

そこでフランクリンは、話し方をガラリと変えました。

彼は、自分の意見を言うときに「絶対にそうだ」「間違いなくこうだ」という断定的な言葉を使うのを一切やめました。

その代わりに、次のような言葉を使うようにしたのです。

「私はこう思います」 「私にはそのように見えるのですが、いかがでしょうか」 「もし私の思い違いでなければ、こういう理由で、このように考えられるかもしれません」

このように、一歩引いて「控えめに話すこと」を習慣にすると、不思議なことに、相手はフランクリンの意見をすんなりと受け入れてくれるようになり、反対されることも少なくなりました。

もし自分の意見が間違っていたとしても恥ずかしい思いをせずに済み、逆に自分の意見が正しかったときには、相手を嫌な気持ちにさせることなく、自然と同意してもらうことができるようになったのです。

また、自分を嫌っている相手や、反対している人を友達に変えてしまう、フランクリンならではの驚くべき方法があります。

あるとき、フランクリンの政治活動に強く反対している議員がいました。

フランクリンは、その議員にゴマをすりに行くのではなく、全く別の方法を試しました。

その議員がとても珍しい本を持っていると聞いたので、「ぜひ読みたいので、数日間だけ貸していただけないでしょうか」と丁寧な手紙を送ったのです。

議員はすぐに本を貸してくれました。

フランクリンは本を読み終えると、心から感謝の気持ちを伝える手紙を添えて、きれいに本を返しました。

すると、次に議会で会ったとき、その議員はこれまでになかったほど丁寧で優しい態度でフランクリンに話しかけてくれたのです。

その後、二人は彼が亡くなるまで、生涯にわたる大親友になりました。

フランクリンは言います。

「一度君に親切にしてくれた人は、次に頼み事をしたときにも、また親切にしてくれるだろう」

相手を攻撃して敵対し続けるよりも、相手を信頼して頼ることで、敵を友達に変えてしまう方が、はるかに賢く、有益な方法なのです。

また、人を動かすときには、力ずくで罰を与えるよりも、「インセンティブ(ごほうびや、やる気が出る仕組み)」を工夫する方がうまくいくことも、彼は実験から学んでいます。

要塞を建設しているとき、兵隊たちが教会の礼拝やお祈りに全く集まらないことに、牧師さんが悩んでいました。

フランクリンは、兵隊たちが毎日2回、楽しみにしているラム酒の支給があることに目をつけました。

「牧師さん、お祈りが終わった直後に、あなたがラム酒を配る係をやったらどうですか?」と提案したのです。

牧師さんがこれを実行したところ、大成功でした。

それまでお祈りに来なかった兵隊たちも、ラム酒をもらうために、全員が時間通りにお祈りに集まるようになったのです。

力で命令するよりも、みんなが自然と動きたくなるような仕組みを作る方が、はるかに優しく、効果的な方法ですね。


学校に行けなくても大丈夫!自分で学び、文章をみがく方法。

フランクリンは、家が貧しくて学校を2年しか卒業できなかったため、子どものころは算数が苦手で、恥ずかしい思いをしたこともありました。

しかし、「勉強したい」という強い気持ち(読書欲)だけは、誰にも負けませんでした。

彼はどうやって、大人になってから新聞社を経営し、素晴らしい文章を書いて人々を説得できるほどの力を身につけたのでしょうか。

その方法は、みんなの日々の勉強にもそのまま使える、とても具体的でユニークな「独学のトレーニング」です。

10代半ばのころ、フランクリンは本屋さんで働く見習い友達と仲良くなり、夜の間にだけ本を貸してもらう約束をしました。

「本がお店からなくなっていることに気づかれないよう、夕方に本を借り、翌朝の早くに本屋が開く前に、きれいにしたまま返却しなければならなかった。

だから、自分の部屋で一晩中、眠るのも忘れて本を読みふけることがよくあった」 限られた時間だからこそ、彼は一言も聞き漏らさないように、必死になって本の内容を頭に叩き込んだのです。

そして、彼が文章力をみがくために行ったのが、お気に入りの雑誌『スペクテーター』を使った、次の3つの特訓方法です。

特訓1:文章の組み立て方を学ぶ練習

まず、素晴らしい文章を読み、それぞれの文が意味している内容を、自分の言葉で短いメモ(要約)にしてノートに書き出します。

数日経って、元の文章をすっかり忘れたころに、本を閉じて、そのメモだけを頼りに、元の文章を自分の力で再現して書いてみます。

書き終わったら、元の本と見比べて、自分の文章のどこが間違っていたのか、どうして元の文章の方が優れているのかを比較し、赤ペンで修正しました。

特訓2:言葉(ボキャブラリー)を増やす練習

フランクリンは、文章を組み立てる力はついても、自分が自由に使える言葉の数(単語のストック)が足りないことに気づきました。

そこで、読んだ文章を一度「詩(し)」に書き換える練習をしました。

詩を作るためには、同じ意味でもリズムや文字数に合う、別のいろいろな言葉に言い換える必要があります。

こうして頭の中に言葉の貯金を増やしたあと、再びその詩を普通の文章に戻すという練習を繰り返したのです。

特訓3:考えを整理する練習

文章を読むときに作ったメモをバラバラに切り離して、トランプのようにごちゃ混ぜにします。

数週間経ってから、そのバラバラのメモを、最も分かりやすく、論理的な順番になるように並べ替えて、もう一度文章を組み立て直します。

これにより、物事を順番に沿って、筋道立てて考える「思考の整理力」が身につきました。

時には、自分の直した文章の方が、元の文章よりも分かりやすくなっていることもあり、フランクリンは「自分も素晴らしい文章が書けるようになるかもしれない」と大いに自信を深めました。

フランクリンは、知識というものは自分一人で独り占めするべきではないと考えていました。

本が簡単に手に入らなかった時代、彼は自分の友達と本を持ち寄り、みんなで共有する仕組みを提案しました。

これが、アメリカで最初の「会員制図書館」の誕生です。

みんなが少しずつお金を出し合って本を買い、借りたい人が順番に借りていくこの仕組み(サブスクリプション方式)は、アメリカ中の公共図書館のモデルとなりました。

お金がなくても、本を読むチャンスを自分で作り出し、社会全体に広げていく行動力は、本当に素晴らしいですね。


みんなの役に立つ「アイデア」を形にして社会を良くする。

フランクリンは、科学者や発明家としても非常に有名ですが、彼の発明に対する姿勢には、とても美しい信念がありました。

彼は、部屋をとても効率よく温めることができる「フランクリン・ストーブ(巻きストーブ)」や、目の前と遠くの両方がよく見える「遠近両用の2天レンズメガネ」、船の走行距離を測る「オドメーター」など、数えきれないほどの便利な道具を発明しました。

当時、アメリカの知事は、フランクリンのストーブをとても気に入り、「君の発明に特許(とっきょ)を与えよう。

そうすれば、このストーブが売れるたびに君にたくさんのお金が入ってくるよ」と提案してくれました。

しかし、フランクリンはこれをきっぱりと断りました。

その理由はこうです。

「私たちは、昔の人が発明してくれた素晴らしい道具や知恵のおかげで、毎日を便利に、幸せに暮らしている。それなのに、自分が何かを発明したからといって、特許を取ってお金を独り占めするのは間違っている。

自分の発明も、みんなが自由に、惜しみなく使って、生活に役立ててほしい」フランクリンにとって、科学の実験や発明は、決してお金を儲けるための手段ではありませんでした。

「知識は、社会の役に立たなければ意味がない」という強い信念を持っていたのです。

彼の科学に対する「実験精神」をよく表している、雪を使った面白い実験があります。

ある冬の晴れた朝、フランクリンは雪の上に、黒、濃い青、薄い青、緑、赤、白など、いろいろな色の布の切れ端を並べて置いておきました。

数時間後、様子を見に行ってみると、黒い布は太陽の光をいっぱい吸収して温まり、雪の奥深くまで沈み込んでいました。

一方で、白い布は太陽の光をはね返したため、全く雪の中に沈んでいませんでした。

この簡単な実験から、フランクリンは「黒い服は太陽の熱を吸収しやすいから、夏の暑い日に着るのはふさわしくない。

逆に、白い服は光をはね返すから、冬に着るのには合わない」という、衣服と太陽光の素晴らしい科学的根拠を導き出したのです。

このように、フランクリンは日常生活の中の「なぜ?」を大切にし、自分の頭で考え、実際に手を動かして実験し、不便なことを解決していきました。

さらに、新しい社会のプロジェクトを提案するときには、あえて「自分が考えました!」と自慢せず、「黒子(くろこ)」に徹することが大切だとも言っています。

「これは、公共のことを考える数人の有志たちが計画した素晴らしいアイデアです。私はその手伝いをしているだけです」と説明すると、周りの人は嫉妬(しっと)することなく、快く協力してくれるようになります。

自分の手柄をアピールするのをちょっと我慢すれば、プロジェクトはスムーズに成功し、最終的には「やっぱりフランクリンのおかげだ」と、何倍もの大きな名誉となって自分に返ってくるのです。


健康な体を作り、何歳になっても学び続けるコツ。

フランクリンは、今よりもずっと医療が遅れていて、みんなが若くして亡くなってしまうことが多かった18世紀に、84歳という大変な長寿を全うしました。

彼がこれほど長生きし、年をとっても元気に働き続けることができたのは、彼自身が工夫して実践していた「健康法」のおかげです。

フランクリンが特に大切にしていた健康のコツを紹介します。

楽しい夢を見て、ぐっすり眠る方法 「寝苦しい夜は、ありとあらゆる不愉快な悪夢にうなされるものだ。それは、体や胃の調子が悪いからだ」とフランクリンは言います。

良い睡眠をとるためには、夕食の前に適度な運動をすること、そして絶対に「食べすぎないこと(節制)」が大切です。

頭を使う勉強や仕事をする人は、体を動かして働く人ほど消化が良くないので、特に食べる量に気をつけなければなりません。

部屋に新鮮な空気を入れる フランクリンの時代、多くの人は部屋の窓をぴったりと閉め切り、ベッドの周りをカーテンで囲って寝ていました。

しかし、フランクリンは「閉め切った部屋の空気ほど、体に悪くて不健康なものはない」と言い、寝室の換気をとても大切にしました。

人間が体から出す老廃物は、新鮮な空気によって運ばれていくべきだからです。

フランクリン流「冷気浴(れいきよく)」 フランクリンは、冷たい水に入る水浴(すいよく)は体への刺激が強すぎるため、代わりに「冷気浴」という独特の健康法を行っていました。

毎朝早く起きると、服を全部脱いで、すっぽんぽんの状態で部屋の椅子に座り、30分から1時間ほど本を読んだり、手紙を書いたりして過ごしたのです。

涼しい風を直接肌に浴びるこの習慣は、彼にとって何よりも爽快で、健康を維持するためにとても役立っていました。

水泳は命を守る一生の技術 フランクリンは子どものころから水泳がとても得意で、20歳のときにはロンドンの川を5キロメートルも泳ぎきって、周りの人を驚かせました。

彼は「水泳は一度覚えたら一生忘れない、とても役に立つ技術だ」と言い、すべての子どもたちに学校で水泳を教えるべきだと強く勧めています。

泳げるようになるためのコツは、「人間の体は水よりも軽いこと、慌ててもがかなければ、口を開けたままちゃんと浮いていられること」を、水の中で実際に体験して確信することだと教えてくれています。

理屈だけで安心せず、実際に水に入って体験することが何よりも大切なのです。

実は、16歳のころのフランクリンは、本の影響を受けて「ベジタリアン(菜食主義)」になり、肉を食べない生活をしていました。

お兄さんから食費を現金でもらい、肉を食べないことで浮いた食費を使って、自分でジャガイモや米をゆでて食べ、余ったお金をすべて本を買うために回して勉強していました。

しかし、あるとき船旅をしていたら、船乗りたちが釣り上げたタラのいい匂いが漂ってきました。

フランクリンは魚が大好きだったので、ベジタリアンのルールを破って食べたいけれど、どうしようかと悩みます。

そのとき、タラのお腹を割いたら、胃の中から小さな魚が出てくるのを目撃しました。

フランクリンは「魚が他の魚を食べるなら、人間が魚を食べてもいいはずだ!」と自分で理由を見つけ、船乗りたちと一緒にタラを美味しく食べました。

フランクリンは、自分のルールに厳しくなりすぎてガチガチになるのではなく、「人間は、自分がやりたいことに合わせて、あれこれと理由をつけられる便利な生き物だな」と、ユーモアを交えて自分の頭を柔らかく保つことの大切さを語っています。


自分の人生を、自分の手で切り拓こう!

ベンジャミン・フランクリンの人生から学べる最も大切な知恵は、「環境や親のせいにせず、自分を頼りにして、自分の道は自分で切り拓くこと」です。

現代では、思い通りにいかないことを親や生まれた環境のせいにする「親ガチャ」という言葉が使われることがあります。

しかし、フランクリンもまた、決して恵まれた大富豪の家に生まれたわけではありません。

17人兄弟の15番目の子どもで、学校を2年で辞めざるを得なかったという、とても厳しい条件の中でスタートしました。

それでもフランクリンは、環境のせいにしたり、不平不満を口にしたりすることは一度もありませんでした。

「本がないなら、みんなでお金を出し合って図書館を作ればいい」「学校に行けないなら、本を借りて一晩中読み、文章を真似して自分で学べばいい」と、むしろ制限された厳しい条件をバネにして、アイディアを形に変えていきました。

「天は自ら助くる者を助く(神は、自分で自分を助けようと努力する人を助けてくれる)」。

皆さんも、これから生活する中で、勉強が難しかったり、友達との関係で悩んだり、やりたいことが思うようにいかなかったりすることがあるかもしれません。

そんなときは、ぜひフランクリンの「実験精神」を思い出してください。

頭だけで悩んで立ち止まるのではなく、今日できる小さなことから始め、毎日手帳にチェックをつけ、話し方をちょっと工夫し、自分の手を動かして実験してみましょう。

自分の行動を少しずつ変えていけば、必ず自分の力で、素晴らしい未来を切り拓くことができるはずです。

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