オカルティック・シティ 第二話「ヤタガラス・コード」
【あらすじ】
浅草・ナナシバシで発生したライブ配信中の怪異失踪事件。現場に急行した三枝しきみは、そこに残された「データの痕跡」から、ある異常な暗号を発見する──それは、ネット都市伝説の中でも"最も触れてはいけない存在"とされる「ヤタガラス・コード」だった。
【本文】
0:57AM──浅草。
モノレールのガード下、無人の夜道を歩く三枝しきみの目に映るのは、ARグラフィックが乱れ、チカチカと点滅するノイズの風景だった。
「ここ、だね……“#アサクサ・ナナシバシ”」
橋の入口にはすでに規制線が張られている。だが物理的な封鎖は意味をなさない。
しきみはヘッドセットを軽くタップし、〈シキミ〉アプリのUIを展開。
視界には数値化された空間情報と共に、"怪異反応レベル:B"の表示が点滅した。
「やっぱり、出てる……」
橋の中央──目撃者が最後に見たという“何か”の座標。
その周囲に散らばる謎のコード片を拾い上げ、解析を始める。
── 01001001 00101110 10011001 00100000 …
「これは……暗号化された“可視化データ”……?」
スミスとのチャットが開く。
《それ、噂になってる“ヤタガラス・コード”かも。》
《正体不明。解析すると“見るな”って警告が出るタイプ。ヤバい系。》
「……了解。危険でも、やるしかない」
しきみはコード断片を仮想空間上で再構築し始める。
次の瞬間──
画面がバグる。 視界が赤く染まり、鼓膜にノイズが直接響く。
──ザザ……見つけた。
デバイスに直接メッセージが流れ込んできた。
「誰……!?」
視界の奥、橋の対岸に“それ”は立っていた。
白いマントに三本足のシルエット。 人ではない何か。
「可視化対象……“識別不能”」
〈シキミ〉の反応が真っ赤に染まり、 怪異反応レベル:S
*
しきみは走った。都市の影が騒ぎ出す。
イヤフォン越しに、スミスの声が響く。
《しきみ、戻れ! “それ”はまだ解析できない!》
「だめ、今逃げたら次は誰かが……」
彼女は橋の中央に立ち、呼吸を整える。
「来なさい、“ヤタガラス”」
そして、怪異は動いた。
その存在が空間を歪め、気温を落とし、 現実と電脳の境界を曖昧にしていく。
まるで都市そのものが“意志”を持ったかのように。

第二話「ヤタガラス・コード」
【続く】
次回:第三話「ゴーストリンク」
いいなと思ったら応援しよう!
もし記事が気に入ったら、チップを送ってサポートしてね💖 あなたの応援が私の創作活動のモチベーションにつながるよ!🚀 いつもありがとう🌈