住宅ローンをAIに相談した結果|ChatGPT・Gemini・Claudeに同じ質問をして検証
住宅ローンをAIに相談する人が増えているようです。
そのような専門家の記事もよく見ます。金利選びや団信の比較をAIに任せる動きは、もはや一部の人だけの話ではありません。
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」の調査によれば、直近1年でローンを借りた人の26%がAIを情報源にしたと答えています。25〜29歳に絞ると27%で、不動産会社(23%)や銀行(15%)を上回ります。
便利な時代になりました。でも、AIを仕事でも使っている人間としては少し怖いのです。
今回は私自身が3つのAI(ChatGPT(GPT-5.5)・Gemini(3.5flash)・Claude(sonnet4.6))に同じ3つの質問をぶつけ、その回答を並べてみました。住宅ローンをAIに相談する際にどんな注意点があるのか、検証します。
AIの回答が文章になっているものと表が挿入されているものがありますが、これもAIの回答を可能な限り再現しています。つまり、回答が文章だったものはそのまま、図表が作成されたものはその内容で再作成して挿入していますので、ご了承ください。
また、再現性の観点から、AIの回答部分は太字などの表現をつけることもやめています。
もし、読みにくいと感じるようなら、②以降の解説部分をご覧ください。
① 住宅ローンをAIに相談してみた|Claude・ChatGPT・Geminiの回答を比較
Q1. 金利が低い住宅ローンを3つ教えて。団信の内容も出して
【Claudeの回答】
2026年6月時点での変動金利(最優遇)を基準にした比較です。
① auじぶん銀行
変動金利は条件次第で約0.930〜0.984%。50歳以下で一般団信を選べば0.930%台に。業界トップクラスの変動金利で、がん・4疾病50%保障団信が無料で付帯。通常は保障を厚くするのに金利上乗せが必要なところ、無料なのは大きな強み。
② 住信SBIネット銀行(WEB申込コース)
変動金利は主要ネット銀行の中でも低水準。「スゴ団信」が特徴で、3つのプランから希望に合った保障を選択できる。全疾病保障(就業不能含む)を比較的低コストで付帯できる点が人気。
③ PayPay銀行
変動金利は0.9%台を維持しており、ネット銀行の中でもトップクラスの低金利。団信は8大疾病保障付きプランを選択可能で保障の手厚さが評価されています。
注意点: 表面金利が少し高くても疾病保障付き団信の価値まで含めると実質的に低い金利と判断できる銀行もある。金利だけでなく、手数料(融資額の約2%が多い)と団信内容をセットで比較することが重要です。
【ChatGPTの回答】

ただし、この質問には問題があります。
金利は頻繁に変わる
キャンペーンで変わる
地銀の方が安い場合もある
団信の内容が銀行ごとに全く違う
そのため、本当に家を買う人には「あなたの年齢・年収・健康状態・借入額によっておすすめは変わる」という前提が必要です。
【Geminiの回答】

現在のネット銀行は、単に金利が低いだけでなく「金利上乗せなしでがん50%保障がつく」のがトレンドです。ただし、50代以降での借り入れの場合、引受条件や年齢制限が変わるケースがあるため、事前審査の段階で必ず年齢ごとの保障内容を確認してください。
3つのAIの結果を整理すると以下のようになります。

ちなみに、団信は「保障内容」だけでなく「告知書にどう書くか」でも審査結果が変わります。健康診断でD判定が出た状態でも団信に通った実体験は、こちらにまとめています。
Q2. 変動と固定、どちらがおすすめ?
【Claudeの回答】
現時点では「変動有利」だが、上昇リスクは現実になっています。
2026年5月末時点で変動金利の中央値は0.9%台を推移しており、固定金利との差は約2%まで開いている。短期的には変動の方がコスト安です。
ただし、2026年6月の日銀会合での0.25%利上げ(政策金利0.75%→1.00%)をメインシナリオとする見方が市場の大勢となっており、その場合、住宅ローンの変動金利は2026年10月に多くの銀行で年0.25%程度引き上げられる展開が最有力シナリオ。
変動を選ぶべき人:
金利上昇時に繰上返済できる資金的余裕がある
返済期間が短い
金利動向を自分でフォローできる
固定を選ぶべき人:
返済が家計ギリギリ
長期で安心感を優先したい
金利の見通しに不安を感じる
今は「変動か固定か」よりも、変動を選ぶなら金利上昇シナリオへの備えがあるかどうかが本質的な問いです。
【ChatGPTの回答】
悪い回答(AIが陥りやすいパターン):
「今は変動金利がおすすめです。固定は金利が高いから損です」
良い回答:
変動と固定は、金利上昇リスクを取るか・安定を買うか、の違いです。
変動向き:
家計に余裕がある
繰上返済予定がある
金利上昇時にも対応できる
固定向き:
教育費が重なる
共働き解消の可能性がある
支出を確定したい
「どちらが得か」ではなく「金利が上がった時に耐えられるか」で考える方が失敗しにくいです。
【Geminiの回答】
現在の市場環境を考えると、一概にどちらが良いとは言えず、ご自身の「リスク許容度」と「完済までの期間」で選ぶのがセオリーです。
変動金利が向いている人(現在も約7割が選択):
借入額に対して毎月の返済額に十分なゆとりがある
将来金利が上がった際、繰り上げ返済できるだけの貯蓄がある、または世帯収入が上がる見込みがある
借入期間が短い(15〜20年など)、または元金を早く減らせる
固定金利(全期間固定・フラット35など)が向いている人:
「金利が上がったらどうしよう」という不安を抱えたくない(安心料として割り切れる)
子供の教育費など、将来の支出が完全に決まっていて、住居費を完全にロックしたい
2026年現在、固定金利はすでに2%台、大手変動は1%前後と差があります。「少しでも安く」と変動を選びがちですが、金利上昇のニュースに一喜一憂したくない場合は、一部を変動、一部を固定にする「ミックスローン」という選択肢も現実的なリスクヘッジになります。
3つのAIの結果を整理すると以下のようになります。

Q3. 4,000万円・35年・変動金利で組むのはリスクがありますか?
【Claudeの回答】
あります。ただし「管理できるリスク」かどうかが問題です。
現在0.9%台で借りると月々の返済は約11万円前後。これが仮に金利2%になると月々約13万円台、3%なら約15万円台へと上がります。
リスクを管理するためのチェックポイント:
返済額が月収の25%以内に収まっているか(金利2%想定で)
1〜2年分の返済額相当の現金を確保できるか
繰上返済の原資を定期的に積み立てられるか
市場・エコノミストのメインシナリオでは、政策金利は2027年末までに1.75%程度、最終的に2%を目指すとされている。つまり今後数年で段階的に上がっていく前提で考えておく必要があります。
【ChatGPTの回答】
借入額だけでは判断できません。年収400万円・600万円・800万円ではリスクが全然違います。

金利が2%上昇すると毎月約4万円増える計算になります。年間なら約48万円です。
本当に見るべきポイント:
世帯年収
子どもの人数
教育費予定
車の買い替え
老後資金
【Geminiの回答】
結論から言うと、「リスクはありますが、コントロール可能なレベル。ただし現在の年齢と今後のライフステージ次第」となります。
① 金利上昇による「返済額アップ」のリスク
多くの銀行の変動金利には「5年ルール(5年間は返済額が変わらない)」と「125%ルール(変動しても前回の1.25倍までしか上がらない)」があります。しかし、これは「支払いを先送りにしているだけ」であり、金利が急激に上がると、毎月の返済額のほとんどが利息に消え、元金が減らない(未払利息の発生)という事態になり得ます。
②「完済年齢」と「老後資金」のリスク(最も重要)
40代〜50代で35年ローンを組む場合、完済が75歳〜80代に達します。定年退職後(60〜65歳以降)も現役時代と同じ月12〜13万円前後の返済を続けるのは、年金生活において非常に大きなリスクです。

手元の現金を残しておくことが重要です。頭金を無理に入れたり、貯蓄をすべて購入資金に充てたりするのは危険。金利が上がった際に「一気に元金を減らすための資金(繰り上げ返済原資)」や「数ヶ月分の生活防衛費」は、必ず手元に現金として確保しておきましょう。
3つのAIの結果を整理すると以下のようになります。

② 住宅ローンをAIに相談する際の注意点|「3つの怖さ」
怖さ①:Geminiの金利が現実と乖離していた(AIのハルシネーション)
3つのAIの回答を比較して、最初に気になったのはGeminiが提示したauじぶん銀行とPayPay銀行の金利です。
「年0.4〜1.1%前後」——この数字、2026年6月時点の実態とは合わない。
実際には最優遇でも0.93%台であり、0.4%台という数字はコロナ禍以前の超低金利時代の記憶が混入した可能性があります。Claudeが「0.930〜0.984%」と具体的かつ現実に近い数値を出したのと対照的です。
実は、これはもう一度聞いたところ、2回目はちゃんと答えられているんです。ですが、普通に質問する時はAIが間違えている考えて何回も聞くことはないはずですので、何回かに1回でも間違えらるのは怖いですよね。
さらに厄介なのは、Geminiの回答が表形式で整然と並んでいるため、一見すると正確そうに見えることです。自信満々に提示された誤情報は、正確な情報より信じてしまいやすいのです。
住宅ローンにおける0.5%の違いは、4,000万円・35年で返済総額にして約100万円規模の差になりえます。
怖さ②:3つとも「あなたの状況」を聞いてこなかった
今回の3つの質問は、あえて「情報なし」で投げました。年収も健康状態も家族構成も何も伝えていません。
ChatGPTだけが回答の中で「年収・健康状態・借入額によっておすすめは変わる」と明記してくれましたが、逆に言えばそれを自ら指摘したのはChatGPTだけでした。
人間の専門家に相談した場合、最初にされることは、ヒアリングです。直接聞かれずアンケートに記入する場合もあると思いますが、「収入はどのくらいですか」「ご家族の状況は」「持病はありますか」——こうした問いなしに住宅ローンの最適解は出せません。
特に見落としやすいのが、勤務先提携による金利優遇です。特定の銀行と提携している会社に勤めていれば、金利が0.1〜0.2%優遇されるケースがあります。AIにはこの「個別の特典」を調べる手段がありません。
もう一つ、AIが絶対に拾えない個別事情が「信用情報」です。過去に審査で落ちた経験がある人ほど、AIの回答は無力になります。私が審査落ちした時にCIC開示から最終的に住宅ローンを組めた過程は、こちらに記録しています。
→ 住宅ローン審査に落ちた私が、信用情報を回復するまでの全記録【CIC開示あり】
怖さ③:3つとも変動金利を優先して提示した
Q1で3つのAIが提示した銀行は、全社が変動金利の商品でした。フラット35や全期間固定を選択肢として出したのはGeminiだけです(それもQ2の補足として)。
これは「金利が低い住宅ローン」という質問の仕方に引きずられた結果でもありますが、住宅ローン選びで「できるだけ金利を低く」という入力をすれば、AIは必然的に変動型を優先提示する構造になっています。
固定を選ぶ理由は「安心感」や「将来の見通せなさ」といった心理的・個人的な要素が大きいものです。これはAIが拾いにくい領域です。
「金利の低さ」だけを入力すると、AIは「金利の低さ」だけを返してきます。当然のことですが、これが住宅ローン選びでは大きな偏りを生みます。
③ 分析まとめ:住宅ローンをAIに相談する際のリスクと対処法

④ 住宅ローンでAIを賢く使う3つの方法
AIは使わない方がいいのか、というとそんなことはありません。ポイントは「何を任せて、何を任せないか」です。
1.情報を先に渡してから質問する
年収・家族構成・健康状態・勤務先(提携銀行の有無)・借入希望額・返済期間——これらを最初のメッセージに盛り込んでから質問しましょう。情報なしの質問は、一般論しか返ってきません。
2.金利の数字は必ず公式サイトで確認する
AIが提示する金利はあくまで参考値です。学習データの時点から金利は動いており、ハルシネーションのリスクもあります。気になった銀行の金利は、必ず各銀行の公式サイトか住宅ローン比較サービスで確認しましょう。
3.「逆の立場」からも質問する
「固定金利を選びたい場合のメリットを教えて」「変動金利のデメリットだけ教えて」——こうして意図的に逆から問いを立てると、AIが提示しなかった視点を引き出せます。AIは質問の方向に引っ張られるので、複数の角度から質問するのがコツです。
おわりに
私自身、6年前に変動金利で4,000万円の住宅ローンを組みました。当時の金利環境と今は違います。あの頃の私がAIに相談していたら、どんな回答を得ていただろうと思います。
おそらく「変動金利が有利」という結論は変わらなかったでしょう。でも、私が実際に判断した理由——年下のパートナーに債務を残したくないから単独名義にした、という個人的な事情——は、AIには絶対に拾えません。
住宅ローンは数字の問題ですが、最後は「誰のために、何のために借りるのか」という話でもあります。
AIは「情報を整理する助っ人」として使う。意思決定を委ねるツールではありません。
今回試した3つのAIは、どれも一定の情報は提供してくれました。でも「あなたの状況で変わります」という話はあっても、「あなたの状況を教えてください」と聞いてきたのは、1つも、1度もありませんでした。
これは住宅ローンだけの問題ではありませんが、AIを盲信することだけはさけてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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