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「戦略の不手際は戦術で補えない」のか?W杯日本代表の敗退を『銀河英雄伝説』から紐解く

序章:永遠の夜の中で

今回は完全に番外編(趣味回)です😅
お金の話は一切出てこないのでご了承ください🙇🏻‍♂️

巷で盛り上がっているサッカーワールドカップ(以下「W杯」)。日本代表は残念な結果になりましたが、私の中ではまだまだ盛り上がっています🎉
というのも、以前どこかで書いたと思いますが、今でも趣味はフットサルです⚽️
元をただせば、(記憶が正しければ)小学校2年生の時、初めて週刊少年ジャンプを読みました。その時からキャプテン翼にはまってしまい、以来、サッカーが大好きになりました。
下手くそながら高校の時、部活動でやっていた経験もあります。

そしてもう一つ。知る人ぞ知る超名作スペースオペラ『銀河英雄伝説』(以下、銀英伝)の原作(ノベルズ)本伝10巻・外伝4巻を中学生の時に全巻読破した人間です。銀英伝はそれ以来、アニメや漫画もチェックしており、最近では、ヤングジャンプで連載していた藤崎竜作画の漫画、我が家の本棚に全巻揃っています。

そんな私ですが、今回のW杯の結果を受けて、また、YouTubeで様々な検証動画を見ながら、ふと思いました。

銀英伝には、物語全体を貫く一つの普遍的なテーゼがあります。それは「戦略」と「戦術」の峻別です。
戦術とは、戦場でその瞬間に兵力をどう動かすか、局地戦をどう戦うかという「現場の采配」のことです。
一方、戦略とは、そもそも戦いが始まる前の準備、兵力より配分などはもとより、国力、制度、人材の育成システムといった「土台そのもの」のことです。

そして、戦場における大逆転劇、つまり「戦術による逆転」は見た目には派手ですが、戦いの王道は「事前準備を怠らず、敵より多い兵を揃え、補給も万全にしておく」こと、と言うのが作品中、常に語られています。

今回のW杯、ブラジル戦での日本代表の敗因は、果たして「戦術のミス」だったのでしょうか。それとも、「戦略の不手際」だったのでしょうか
田中碧選手のボールロスト、2つの失点シーン、後半に日本を襲った嵐のような猛攻、選手交代の是非——一つひとつの局面を解剖しながら、最終的には日本サッカー界そのものの構造にまで話を広げていきたいと思います。

第1章:雷鳴 〜田中碧のボールロストと局地戦の孤独〜

試合後、世間で「戦犯」のように扱われたのが、試合終了直前の田中碧選手のボールロストでした。
正直言うと、私の中ではあれはミスではないんです。いや、ロストしているからミスになっちゃうんですが😅、プレイする人間としては、自分だったらどうするか、と考えるわけです。

田中選手がエンドリッキ選手からをボールを奪った時点では、ボールをつなぐことができる選手はいませんでした。本来であれば外側にいるはずの左WB鈴木淳之介選手は守備のためPA内にいました。そのため、自分でキープする以外の選択肢は「大きくきく外へ蹴り出す」だけだったと思います。

結果から見れば、とりあえず外に出しておけばいいということになりますし、下手くその私であれば、何も考えずに外に蹴り出していたでしょう。
しかし、この後半、クリアしてもクリアしてもボールがすぐに戻ってくるという状況です。エリア外でもありますし、なんとか繋ごうと判断したのも仕方ないと、下手くその私としては考えます

スポーツライターの木崎伸也氏は試合後、いくつかのYouTubeチャンネルで「周囲の選手はパスを受ける体制をつくっていたか」という趣旨のコメントをしています。
ロストした時点でミスはミスになってしまうのでしょうが、その原因はどこにあるのか、ということですね。

第2章:死線 〜1点目・2点目の失点と局地戦の攻防〜

では、田中選手がボールロストした後、そして、そもそもの1点目のシーンはどうだったのかを見ていきます。

問題となった決勝点(2点目)からです。
田中選手がボールカットされた後、中央のギマランイス選手にボールが入ったため中央寄りになった富安選手と、外側のヴィニシウス選手を警戒して外も注意していた菅原選手。その二人のわずかな隙間にマルティネッリ選手はポジショニングしました。そこに早いボールが入り、ワントラップでシュート。鈴木彩艶選手の左手をかすめてポストの内側に当たり、ゴールネットを揺らしました

このシーンなんですけど、ゴール前に人がたくさんいるんですよね。富安選手も試合後に言っていましたが「人数はいたがやられた」ということです。
先に書いた富安選手と菅原選手、どちらが寄せれば防げたんではないか、という話です。

そして1点目に戻りますが、得点したカジミーロ選手は完全にフリーな状態でジャンプしています。1点目にしても2点目にしても、特別なスーパープレイではなく、この時点で、すでにチーム全体の守備システムには小さくない歪みが生じていたと考えられます。

第3章:ギャラルホルンは鳴った 〜押し込まれ続けた後半のデータ〜

少し視野を広げて、後半全体で考えてみます。

前半と後半で、この試合の景色はまったく別物でした。
前半、日本は5バックと速攻をベースに互角以上の戦いを見せ、スコアも1対0とリードしていました。むしろ日本優勢とも言える時間帯すらありました。選手たちも計算通りだったと言っています。

しかし後半、ブラジルが布陣を4-2-3-1気味に変更してくると、試合の流れは一変します。スコアはブラジルが2対0と逆転。クロスの本数は前半に比べて激増しました(日刊スポーツの記事には「前半11本、後半18本とあります」)。

見逃せないのが、両ウイングバックを務めた堂安選手と中村敬斗選手の負担です。彼らは大会を通じて4試合をほぼフル稼働し続けていました。そのため、66分で2枚替えという結果になり、守るだけの戦いになってしまいました。
つまり、後半の2得点はたまたま起きたミスではありません。すり潰された末に訪れた、ある意味で必然の決壊だったのです。

ここで言われるが、両チーム監督の対応についてです。
次章は監督とその対応について、おまけも交えながら書きたいと思います。

第4章:双璧相撃つ! 〜指揮官の限界論とベンチのオプション〜

さて、日本の森保監督とブラジルのアンチェロッティ監督

この試合の講評などを見ると、この2人の能力差が取りだたされています。
後半に入り、サイド攻撃に切り替えたアンチェロッティ監督と、その対策として守備重視の選手交代をしたが最後まで守り切れなかった森保監督、という構図ですね。

これはもう結果を見るとアンチェロッティ監督監督が一枚上手、とするしかないですよね。ただ、森保監督がダメだったかというと何ともで、批判されるのは、両サイドを同時に守備的な選手に変え、シャドーの伊藤純也選手も交代したところです。これが攻撃の手をさらになくしてしまって、結果、ひたすら押し込まれるだけになってしまった、という評価です。

WBのどちらか、もしくは伊藤純也選手を残しておけば、という意見もありますが、そもそも、どうしようもなく攻められいたので、守備を強化する必要はあったと思います。
そして、がっちり守備を固めてもダメだったという結論なので…サッカーってある意味、陣取りゲームだと思っていて、ボールをいかに敵ゴールに近づけるか、というゲームかと。相手ゴールに近づければ得点率も上がるし、自分のゴールから遠ざかるので失点率は下がります。
ですので、攻撃の目を消してしまうと逆にやられるというのもわかるのですが、どうなんでしょうね…。
少なくとも上田綺世選手と前田大然選手はいたわけですし、この2人がいたら、カウンターチャンスがあれば(あくまであれば)いけたんじゃないかと、私は思います。

※今は戦術ベースの話ですので、「キックオフしてからできること」で考えています。ここまでの試合の回し方や選手選考の話は、戦略コーナーの方で書きます。

おまけ:それぞれ監督を銀英伝の提督にたとえると?

森保監督とアンチェロッティ監督。
実はタイプとしては似ているようです。というのは、2人とも、人心掌握術に優れ、個性的な人材も上手くまとめ上げるタイプ、と言えるのではないかと思っています。

逆のタイプを例に挙げるとわかりやすいかと思いますが、グアルディオラ監督やクロップ監督のように「斬新なアイデアで優れた戦術を生み出し、その型に選手をはめる」というのとは違う、ということです。

せっかくの銀英伝ネタでもあるので、銀英伝の提督と照合してみます。
(興味のない方は読み飛ばしてくださいね)

グアルディオラ監督やクロップ監督のような常識を覆す監督は、ラインハルトやヤン=ウェンリーになります。逆に言うと、常識を打ち破るような監督でなければ、どんな名監督でもラインハルトやヤンにはできません(これは銀英伝ファンのこだわりです😓)。

では、森保監督とアンチェロッティ監督はどうかというと、

・森保監督:ウランフ中将
・アンチェロッティ監督:ウィリバルト=ヨアヒム=フォン=メルカッツ上級大将

くらいではないかと思います。
先述の通り、両者ともタイプとしては、人望に厚く、用兵術に優れた提督ということです。
アンチェロッティ監督は元帥クラスでもいいと思いましたが、ちょうどいいキャラがいない。
元帥だとミッターマイヤーくらいしか合うキャラがいませんが、ちょっと違うかな…と思うと…陽気なキャラはビュコックでもいいのですが、今回、クラブから代表監督に移ってきた経歴が、同盟に亡命してきたメルカッツとなんとなく被るかなと。
逆に森保監督は、上級大将以上はまだ早いと思いながら、それ以下だと人材が薄い作品なんですよね。かといって、ある程度の結果は出している監督ですので、用兵巧者として知られ、最後まで善戦しながら、最後の最後、黒色槍騎兵の火力にやられてしまったウランフにさせていただきました。

ちなみに、モウリーニョ監督はAIに言わせるとオーベルシュタインだそうです(笑)

第5章:黄金樹は倒れた 〜選考段階における予備兵力の思想〜

ここから話を、戦術の話から戦略の話へと転換していきます。
考え方の一つは、①選考されたメンバーの中でやりくりすること。
もう一つは、②そもそもの選考メンバーはどうだったのか、ということです。
それぞれ見ていきましょう。

①選考されたメンバー内でのやりくりですが、私の中ではやはり3戦目のスウェーデン戦、もっと大幅にメンバーを入れ替えるしかなかったのではないかと思います。

思い出すのはロシアW杯のやはり予選3戦目、無気力試合のように負けながら予選通過したアレです。
散々物議を醸し出したアレですが、私としては予選突破できたので全然ありでした。

そこで今回に話を戻すと、2戦目までに勝ち点4と得失点差+4がとれていたので、ロシアの時と違い、負けてもほぼ安全圏だったと思います。
もちろん、負けてフランスも嫌でしたが、今回のチームはロシアの時以上に、ターンオーバーしても勝ちや引き分けも十分狙えたと思います。
ならば、ここで休養しないと。
正直、2戦目までのアドバンテージを活かせなかったと思いました。

②そもそもの選考メンバーはどうだったのかですが、この話をすると、必ず出るのが守田選手の話です。「やはり守田選手を入れておけば」という話もあるのですが、遠藤選手が怪我で離脱した際、召集されたのは町野選手でした。
ここで思うのが、チーム首脳陣は、足りないのはアタッカーだと判断したということではないか、ということです。

単純にボランチを1試合2人と考えると、3人でもローテすれば3試合のうち1試合は休ませることができる計算です。
ですので、4人いれば盤石だったでしょうし、何かあれば他の選手でサポートするという計算がたつと判断したのでしょう。
一方、アタッカーは足りなかった。

ご存知の通り、三苫選手、南野選手が負傷で召集できなかったこともあり、ブラジル戦のように試合が劣勢になった局面で、流れを一気に変えることのできる「超弩級のジョーカー」——それこそカタールW杯の三苫選手のような前線での決定的な切り札——を、ベンチに残しておくことができなかった。
加えて、初戦で久保選手も負傷したことで、余計に際立ったと思います。

久保選手の怪我は事後ですけど、アタッカーを増やしたい、そのために守田選手のような守備的な選手を入れて、鎌田選手をシャドーに上げるという方法もありますが、これだと鎌田選手が休めません。

ですので、もし守田選手を呼ぶなら鎌田選手はシャドーでしょうが、鎌田選手はあくまでボランチで使いたい、だから町野選手を呼んだ、ということなのだと思います。

そう考えると、もし召集時の問題があるとすれば、大穴狙いになりますが、相馬勇紀選手とかどうかなと思います。

でも、町野選手がダメだったわけではないですし、本音としては怪我人多すぎて、さすがに選手層も薄くなったよね、ということだと思います。


第6章:作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』 〜日本サッカー界の構造改革・未来〜

ここまで見てきたように、ブラジル戦における敗戦は、戦術レベルでの敗戦ではなく、現場の采配だけでは解決できない、もっと大きな構造の問題につながっていると考えられます。

試合後、多くの選手や評論家が「力が及ばなかった」「個の力がたりなかった」と言っていたように、戦術レベルでどうにかすればいいという話ではなかったのだと思います。

そして、ヤン=ウェンリー曰く「戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属するというわけさ」ということです。

これからさらに上を狙うためには、戦略レベル、さらにそれ以上で対策を立てる必要があるということです。

皆さん、ご存知のシント=トロイデンというベルギーのチーム、ご存知の方もいると思いますが、このチームは日本人選手をヨーロッパに送り込むためのチームになっています。
このチーム、地元での歴史は長いのですが、2017年にDMM.comが買収して以来、純日本資金の企業となっています。
そして、現在のCEO立石 敬之氏は実はJFAの「特任理事」や「技術委員」を歴任していた、まさにJFAの中枢にいた人物です。この人物が、今後の日本サッカー発展のために、DMM.comに買収するように仕向けたとも言われています。

また、ドイツのデュッセルドルフにはJFAのヨーロッパ支部があり、ヨーロッパにいる日本人選手をサポートする役割も担っています

こうして、日本人選手を海外に積極的に送り出す取り組みはすでに行われており、その結果、今の日本の躍進につながっているわけです。

また、今後していくべき課題として、以下のような提言をする方たちもいます。

①内政改革——選手登録制度の流動化
サッカー解説者のセルジオ越後氏は硬直化した選手登録制度そのものにメスを入れるべきだと提言していました。現在はチームごとにJFAに登録したいますが、これだと、出場機会に恵まれない優秀な選手が増えてしまいます。これを例えば、クラブチームで試合に出れない若手が、学校のチームなど別の場所でもプレーできるよう流動性を高め、実戦経験を積める環境を整えることができればどうか、という話でした。
セルジオさんは「試合に出る選手だけ登録すればいい」と言っていました

②教育戦略——指導者ライセンスの門戸開放
サッカー系YouTuberとして知られるレオザフットボール氏は、指導者ライセンスのための受講者を増やす取り組みを訴えていました。
代表監督になるにはライセンスが必要なわけですが、今のところ、この講習会の参加希望がいっぱいで、「ライセンスを取りたいけど取れない」となっているようです。
これを多くの人が積極的に受講できるようにし、指導者同士で競争率をあげれば、指導者のレベル向上につながるのでは、と考えていました。
有能な指導者を、草の根のレベルから大量に生み出していくための「指揮官育成システム」の整備は、まさに戦略の根幹に関わる部分です。

ピッチの上でどれほど巧みな奇策を弄しても、指導者や選手の質と量、そして選手たちが実戦経験を積む機会という根本的な部分に問題が残っている限り、いつか必ず限界がやってきます。
田中碧選手の孤立も、DFのずれも、ジョーカーの不在も——すべては、その日その瞬間に起きた「たまたまの出来事」ではなく、戦略という土台の上に積み上げられた、必然の結果だったのではないでしょうか。

日本が本当の意味で世界を統べる日——W杯という頂を掲げる日のために。次なる戦略の幕は、もう上がり始めているはずです。


最後までお読みいただきありがとうございました。ご意見、ご感想など、コメントなどいただけると嬉しいです🥰
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