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花より団子

 思ってもないことだった。知り合いからの連絡で、週末、空いてないかと。すこし構えてしまった私の元に、けれど、小田原行きのチケットが舞い込んできた。

 急に行けなくなった知り合いにかわり、週末、ロマンスカーのシートに身を預けていた。自分でつくってきたお弁当が、いつもよりおいしく感じられた。

 けれど、小田原に着いて、はたと思考が停止した。何か違う。その何かがわからなかった。わかりたくなかったのかも。箱根駅伝をテレビでみたときの「知識とも呼べないような知識」だけを頼りにここまで来た。どうやら、ごっちゃになっていたようだ。私の頭のなかで、小田原と箱根が。

 それでも小田原の価値を小さくする必要なんてない。気を取り直し海を見に行く。

 せっかく来たんだ、やっぱり海は見て帰りたい。それだけでもここへ来た理由としては十分だろう。

 スマホは置いてきていた。そんなことは大丈夫。心配のうちになんて入らない。海までの道は、風が、そして、海自身が教えてくれる。潮の香りが濃くなるほうへ歩いて行けばいい。簡単だ。

 途中、かまぼこのお店に立ちよった。小田原はかまぼこ。箱根駅伝の中継での知識、役に立った。

 ただ、そのあと行った海では、三十分ほど前にした決意ほどの感情の高まりがなかった。かまぼこがあまりにおいしく、海への思いが薄らいだか。海への気持ちはそんなものだったのか。こんなにも花より団子を地で行く性格だったとは。がっかりもしたけれど、その自分が選んだお土産のかまぼこは、知り合いによろこばれたのでよしにはできた。

 次は箱根かな。再び、知り合いからチケットがまわってこないかなと、こっそり期待している。その期待が叶わなかったとしても、もう一度、あの駅に、とそういった考えだって、もちろん私のなかにはしっかりある。




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