世界一しょぼいタイムスリップ【毎週ショートショートnote】
「お、お、おのしゃきさん」
告白するために小野咲さんを屋上へ呼び出したのに、初手から噛んだ。
怪訝な表情の小野咲さん。ああ、情けない。こんなしょぼい告白、されるほうも迷惑だろう。
もう一度、初めからやり直したい――
すると、キュイーンと音がして、僕の目の前にいたはずの小野咲さんが、怪訝な顔で屋上のドアを開けてやってきた――ほんの数十秒前のように。
「あれ? え、あれ?」
どうやら、ほんの少し時間を巻き戻せたらしい。
だが、突然のことに、さっきより余計に取り乱してしまった。
ああ、情けない――
キュイーン。
また小野咲さんが扉を開ける。
どうも、強い自己嫌悪が引き金になってタイムスリップするようだ。
何ともしょぼい力だが、好都合だ。やり直すぞ、しょぼくない理想の告白ができるまで、何度でも――
「小野咲さん、好きです。付き合ってください!」
……三十四回目。今度こそ、お辞儀の角度まで完璧だ!
「ひゃ、ひゃい、よりょこん」
キュイーンと音がした。
※だいぶ前に別所で書いたお気に入りの自作短編があって、そのセルフオマージュっぽく書いてみました。
「屋上」「告白」「繰り返し」まで同じ! ですが、展開はだいぶ違います。よろしければ……!
