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ilo
最低二万里【毎週ショートショートnote】
「隣、いいかな?」
バーに現れた素敵な女性に声をかける。
「……このカクテル、あなたの仕業?」
「そう。綺麗な青でしょ、『ブルーラグーン』って言って……いや、失礼。どうやら、きみの瞳のほうが美しいようだ」
「……何それ。別に普通の黒い目よ」
「いや素敵だよ。青よりもずっと深い、深海のような黒」
つれない返しにも引かずにグイグイ行く、これが大事。
「それ、褒めてるの?」
「もちろん。そのミステリアスな深海に飛び込んで、冒険してみたいな」
「ふうん……面白いこと言うのね」
おっ、なかなかいい反応。
「深海を冒険したくなるって――『海底二万哩』みたいに?」
……何のことだ?
ここは話を合わせなきゃ――
「そうそう、それそれ。たくさん冒険させてほしいな、『最低二万哩』は」
「……ごめんなさい。私、ネモ船長のように聡明で信念のある人が好きなの。学がなくて軽薄な、『ナンパ』するような男じゃなくね」
心の距離がぐっと開いた気がした。
最低でも、二万哩ほど。
