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aoneko
踏切オーディション【毎週ショートショートnote】
「上京したら、まず何するの」
「バイト探しつつ、どんどんオーディション受けるつもり」
「お、早速か。やる気だな」
「まあね。送ってくれてありがと」
「おう、じゃな。頑張れよ、役者の卵」
駅の最寄りの踏切。
私は、一人足を踏み出した線路上で、くるりと手を振る彼に向き直る。
「……あのね」
「?」
「今まで言えなかったけど……実は、私……ずっと、きみのことが――」
カンカンカン。
言い終わらないうちに、警報音が鳴り響いた。
「……なーんてね。どうだった、今の私? ドキッとした?」
ニコッと笑って、私は踏切の反対側へ。
「……ああ、演技か! ビックリしたー、一瞬、本気なのかと思っちまった」
あからさまに安堵の表情を浮かべる彼。
「お前、やっぱり才能ある――」
と、そこで駅に止まる電車が走り込んできて、私と彼の間を遮った。
違うよ。
演技は、ここから。
この電車が通り過ぎるまでに――
涙をこらえて、笑顔を作らなくちゃ。
「これからも友達」枠には、残らなくちゃ。
