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じゃない不倫②【毎週ショートショートnote】

出逢ったときから、素敵な人だった。
出逢ったときから、誰かのものだった。

仕事ができて、面倒見もよくて、優しくて気さくで。
だけど、いつも家族が第一で。

「ほら先輩、私の仕事はもういいですから……若い娘と遅くまでいたら、奥さんに疑われちゃいますよ?」

残業中に冗談めかしてこぼした私の発言も、

「はっはっは、これくらいじゃ疑わないよ。なんたって、俺の自慢の妻なんだからな」

と、さらりとかわしてくれて。
それで私は、さらに深みに填まってしまった。

「先輩、一日くらい夫を年休取りません?」

「二人で中東に支社作りましょう。私、秘書兼第二夫人になるので」

段々エスカレートしていく私に、先輩はいつもはっはっはと笑って、軽くあしらってくれた。

そう、私は、決して私などにはなびかない、その強さが何よりも大好きだったのだ。

だから、これは……
私の大好きな先輩じゃない。

あれほど求めていた先輩の力強い腕に包み込まれながら――私はぼんやりと虚空を見つめる。





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