フェルディナンドの後悔~アルノーの悪意2
*『本好きの下剋上』のネタバレになりますので、未読の方はご注意ください*この項は2024年5月に挙げた「アルノーの悪意」について、コミカライズ第二部完結巻書き下ろしフェルディナンド視点SSを読んでさらに判明したことについての追加補足的感想になります*https://note.com/amanoakimi/n/n43ddf42516a3
◆フェルディナンドは隠し部屋で何をしていた?
ベーゼヴァンスがマインを狙うビンデバルトを招き入れた為、ギュンターやフラン達が闘う緊迫の前、頼みの綱フェルディナンドは不在だとアルノーに言われました。
フェルディナンドがそう命じたからという建前で本来は緊急時ならば呼び出せるのに、故意にアルノーが隠し部屋から呼び出さなかったがために。
外の騒ぎを知らずにいたフェルディナンドは、恐らくはヴェローニカを確実に追い落とすための算段や、マインを貴族社会に入れるための準備などに勤しんでいたのだと思っていました。
というのも『ふぁんぶっく8はみ出たQ&Aコピーシテペッタン』でベーゼヴァンスがゲオルギーネに頼まれて渡した小聖杯の件(他領へ領主に断りなく魔力を融通)は一発で処刑ということが分かったのでヴェローニカを確実に追い落とす為に敢えて泳がせているのだろうと。https://ncode.syosetu.com/n4099cd/26/
Q神殿長がアウブの許可を得ずに他領の小聖杯を預かり魔力を融通する、という行為は、一般的にそれ単体で発覚した際どの程度の罰を受ける罪でしょうか?
A処刑が妥当だと思います。
指輪がすっと出てきたのってフェルが準備してたんだろうって勝手に思ってた
— (📚好き専用)haneusagi (@haneusaamano) July 28, 2025
小聖杯の罪でベーゼは一発極刑なのを泳がせて、ヴェロの罪の証拠を掻き集めたり、マをカルの養女にする為の準備してた筈のフェル
なのにアル奴のせいで!
こんな筈じゃなかったという後悔がずっとずっと続くんだよね(苦しい)
準備してたのはフェルって記載あったなと思い出した↓
— (📚好き専用)haneusagi (@haneusaamano) July 30, 2025
》Qローゼマインが洗礼式でカルステッドから受け取り直した指輪が実はカルステッド作ではないというのは(略
A一族の長が妻と愛人の子を我が子として認めて洗礼式を行うくらい特異です。《
結局フェルマイどっちも特異whttps://t.co/f0FlclIGT4 https://t.co/DDGta6yRkP
◆準備万端、用意周到、証拠確実、魔術万歳だったのに!
その推測自体は合っていたのですが、ヴェローニカが領主に代わり勝手に許可証を発行するとしても、側近が忖度して自分達だけで行ったことだと庇いきれないよう、確実に本人が関わったとする証拠を掴む方法についての推測が足りていませんでした。(日本の政治でもよくある、お偉いさんを庇って秘書が「私が全て勝手にやりました」となったら元も子もない)
個人的には領主一族じゃないと領主印を取り出せないとかなのかな?とか思っていたのです。悪事に携わったヴェローニカ側近も処罰されたと後で出てくるので、側近が文書を作るにしても何か本人が関わった証拠が手に入ったはず…その方法についてはもう一つ想像出来ませんでした。
が、今回のSSを読むとなんと!もっと現世的な方法でした!これは目から鱗!
しかも私が思っていた以上に、フェルディナンドはヴェローニカが領主会議中に偽の許可証を出してビンデバルトを近い内に招き入れるだろうと推測しその準備をきっちり行っていました。エックハルト、ユストクス、ラザファム達を配置し道具も設置させ連絡方法も用意し周到に完璧に。
私はまったく考え落ちしてオルドナンツが届かない隠し部屋は「側仕えが手紙を受け取り呼び出す」以外には連絡が取れなくなるのかと思い込んでいたようです。でもよく考えるとローゼマインのユレーヴェを作る際に自分の隠し部屋とローゼマインの隠し部屋に転移陣を置いて物の移動を行っていたのだからその方法でなら連絡も物の移動も出来たわけです。そういえばグラオザムもやっていました。むしろ現世より魔術がある分優れているのに思いつかなかったです。なんとなく完璧に連絡を遮断して籠っているような気がしていたのですね。
そんなこんなで、コミカライズ書き下ろしSSでは色々考え落ちしていたことが判明して推測が当たってた半分、思い至っていなかったことが知れて楽しかったです。が、それだけに!!
証拠は偽造を側近に命じるヴェローニカの声を聴くための盗聴の魔術具!
偽造許可証が入手できたのが大きかったと思っていたけども、これがなくても十分追い落とせる証拠を手に入れていたのでした。
だったら!尚更、アルノーの悪意さえなければ!!
フェルディナンドの後悔が「こんなはずではなかった」だったのも改めてもっと身に迫ってきました。
アルノーを信用しすぎていなければ!とどれだけ悔やんだことでしょう。歯噛みして血が出るばかりの後悔だったことと思います。
◆でも計画を阻んだのは実は二つの嫉妬
そもそもギュンターにフェルディナンドが伝えた「領主会議中は他領の貴族への通行許可証は出ない」の連絡が生きてさえいれば。
偽造許可証を見せられた門番が騎士を呼び出してビンデバルトを神殿に入れる前に門で偽造許可証ともども確保できたはずでした。
ギュンターの上司である士長が彼に嫉妬して故意に連絡を伝えなかったことが分かるのは書籍版五部9「レクル 西門の戦い」です。
この書き下ろしでの他者視点SSがなければ、いったいなんの手落ちだというだけでした(わざわざギュンターは上司との報告連絡相談を怠るなとマインに釘を差していたのに大きなブーメランすぎる;;)
士長が、部下でありながら貴族から情報を得てくる部下ギュンターの存在が面白くなかったというだけで、大事な連絡を握りつぶした。そのせいでギュンターは娘を殺された(実際は引き離された)のです。
そして、過去のことでフランを妬み恨み続け、ネチネチと地味な嫌がらせを仕掛けていたアルノー。(この動機が分かるのはアルノー視点SS
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/171/)
マインはその二つの嫉妬による悪意に巻き込まれた形でした。
万全を尽くしていたフェルディナンドにこの二つの嫉妬は予測も想像もつかなかったのは致し方ありません。それでも彼の後悔は深く深くずっと残り続け、完結巻での「帰宅」につながっていきます。
◆終わりに
人の気持ちはままなりません。
ギュンターにしてもフランにしても本人たちには他人を妬む気持ちが少ないので想像も出来なかったかもしれません。
一方で他人の嫉妬を買わないように自分の言動に気を付けているトゥーリの話もあります。貧民の中から努力と向上心(とマインのアドバイス)で大出世を果たすトゥーリは周囲の妬みを買わないように自分の言動に気を付けて生活しています。結局は他人の気持ちに気を配ることではあるのだけど。
いつも身内自慢をしてしまっているギュンターにそういう繊細さを求めてもしょうがないし、欲しくもない寵愛を受けて妬まれるとは思いもしないフラン(むしろトラウマなのに)にもどうしようもない部分です。
こういうところからも心の在り方を考えさせてくれるのがこの物語の凄いところだと思います。
*いつもながら長文をお読みくださってありがとうございます*
アルノーの悪意については主に前に纏めた分をお読みくださいませ~。
コミカライズのフェルディナンド視点SSが心に沁みてしまってつい長々と補足してしまいました。
*関連の過去ツイートはこちら↓証拠の取り方の推測してたんだけど今一歩及ばず
フェルディナンドには自作便利魔術具あるのにねえ!
https://x.com/haneusaamano/status/1827483145245224993?s=46

